派遣ループから抜け出せない?

今回は派遣社員から抜け出せないケースについて挙げてみたいと思います。

派遣社員を始めたきっかけは正社員としての転職活動のつなぎだった筈なのに、長年派遣社員を続けて

いる、、、キャリアアップの為に始めた派遣社員のつもりがいつの間にか今年で5年目、、、

といったようにふとしたきっかけで派遣社員の仕事を始めた人が意外に長く派遣社員を続けて

しまっているケースというのはよくあります。何年も派遣社員として仕事を継続できている事は

それはそれで凄い事なのかもしれませんが、中には実際の本人の本当の気持ちは別の所にあるのに

長年派遣社員を続けてしまっている人というのも多いものです。

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いつの間にかハマっている「派遣ループ」?

正社員と比較するとやはり条件面では劣っているケースが多い派遣社員。年収ベースでも正社員と比較

すると派遣社員は低めの収入しか得ていない事が多く交通費等も支給されない場合がほとんど。

正社員と違ってボーナスも支給されませんし福利厚生も正社員の方が手厚く、派遣は3か月等の期間限定の

細切れ契約が永遠に続く事で雇用も不安定にもなりがちです。社会的な地位としても正規雇用と比べると

やはり派遣は低く見られがちな面もあります。

ただそれでも長年派遣社員を続けている人はそのまま派遣を続ける傾向があります。条件面だけを見れば

どう考えても正規雇用の方が有利なのは本人も分かっているのですが、それでも派遣に執着するスタッフさん

もいるものです。一度ある派遣先を退職したとしても、その次の転職先はやっぱり派遣職場。収入を得るには

正社員・契約社員・独立・フリーランス・アルバイト・パート等、様々な働き方があるのに、長く派遣社員

として就業している人の中には、むしろ派遣社員という選択肢しか眼中には入っていない人もおり、

何年間も幾つもの派遣職場を転々としずっと派遣ループをぐるぐる廻っているスタッフさんもいます。

派遣社員というのは基本的には臨時的雇用として位置づけられる事が一般的ですが、本人からしてみれば

派遣社員が通常雇用の形となってしまっているのかもしれません。

派遣にハマるエリート大生?

以前にお会いした事がある派遣スタッフさんに少し珍しい人がいました。

その時は短期のお仕事という事で募集をしていて、仕事は都内でのお仕事。

約2カ月の期間限定の仕事でした。

そこで出会った1人のスタッフさんがTさん(仮名)。よくよく話を聞いているとTさんは

国内でもトップクラスと言えるあの○○大学卒。年齢は30代で今までも派遣社員を長く

続けていると言います。

一番驚いたのは今まで多くの派遣先を渡り歩いていて、単発仕事等を含めるとその数は

なんと「100社」超えとの事(本当の話のようです)。履歴書や職務経歴書を毎回どんな

感じで記入しているのか気になる所でもありますが(苦笑)、今回のような数日(単発)~

短期のお仕事ばかりを狙ってエントリーしているそうです。その上にTさんにはまだ

こだわりがあって、短期&「スタッフ大量募集」のお仕事のみにエントリーしているとか。

本人曰く、大量募集のお仕事だとスタッフ1人に対する派遣先上司の指揮力や監視の眼が分散

されるので、変に上司に目を付けられたりとか解雇の憂き目にもあいにくいそうです。。。

なんだかすごい理由ではありますがエリート大卒でありスキルもあるとなれば、30代

と言えども正社員を目指そうと思えば目指せるはず。しかしTさんは正社員は目指さないと

言っていました。正社員は会社の飼い殺し?のイメージのようなものがあるらしく、

もっと気軽なスタンスで仕事をしていたいとの事。

確かに短期は期間限定でゴールが見えている仕事なので気楽ですし、派遣なので職場での

人間関係も濃厚になるケースは少なく、仕事の責任感も正社員と比較すれば低い、

且つ大量募集の案件?(苦笑)であればなおさら気楽な部分もあるのでしょう。

昔は仕事においては「石の上にも3年」的な考え方が重視された時代もありましたが、

1つの会社にしがみつく事が昔ほどは評価されにくい現代では、様々な会社を渡り歩く人も

増えていくかと思います。少し変わった形ではありますが、Tさんも派遣ループにハマっている

1人なのかもしれません。

Tさんのように100社を超える職歴を作るのはあまりお勧めはしませんが、短期・単発に強い派遣会社をまとめていますのでこちらの記事もご参考にしてみてください。

※参考 単発・短期に強い派遣会社・サイトは?

派遣を抜け出せなくなる理由?

それでは派遣社員を抜け出せなくなる理由としてはどのようなものが挙げられるでしょうか。

①単純に気楽

派遣社員はざっくりと言ってしまえば正社員と比較すると気楽な部分が多いのは事実です。

大体は定時に仕事が終わりますし責任の軽いルーティン業務等をやらされる事が多く、人間関係が希薄だったり

重要なポストも任される事は少ないものです。確かに収入面や条件面等では正社員と比較すると劣る点も多々ある

でしょう。しかし一方で派遣が生活が出来ない程に困窮してしまうかと言えばそうではなく、派遣社員のお給料

でも並みの生活は出来てしまう。裕福な生活は望みにくいけれども何となく家計が成立してしまう部分も

あります。特に管理職や昇進を積極的に目指さなくなった今の若者からしてみれば、気楽に仕事をして生活して

いけるのであればそちらを選択するという人が一定数いるのも一部分かる気もします。

②後任 or 次の仕事が決まらない

今の派遣先職場を退職するとなると収入を途絶えさせない為には次の仕事を見つけておく事が

ベターです。突発的な退職以外は大抵は次の職を確保してから退職を申し出る人が多いものですが、

次の仕事が決まらないばかりに今の派遣に留まっている人というのも多くいます。また希望職が正社員職

等の場合には特に就職活動が難航していてなかなか今の派遣先を退職できないという人もいるでしょう。

また次の職は見つけられるとしても、今の自分のポストの後任が決まらないばかりに次の職場に移れない

というスタッフさんもいます。派遣で働く人の中には後任が決まろうが決まるまいが期間満了時や日付を

区切って退職をしてしまう人もいますが、一方では責任感の強い人や真面目な人・後任が決まっていても

思ったよりその後任者のスキルが足りなかったり不真面目だったりすると、踏ん切りが付かずに自分が

いつまでも退職出来ないという人もいます。

③派遣就業中に就職適齢期を過ぎた

正社員を目指す気持ちはあっても、長年派遣社員を続けているうちに転職適齢期を過ぎてしまったという

パターンです。一般的には天職リミットは35歳~40歳と言われていますが、長く派遣社員をしている

人の中には5年~10年も就業し続けているスタッフさんもおり、いざ40代以降になってふとしたきっかけで

正社員を目指そうと思っても、なかなか就職口が見つからないといったケースに陥る可能性もあります。

また今まで無期や26業務の専門職など法的な縛りで雇用が守られてきた人たちも、今後はある瞬間に

突然仕事が無くなってしまう可能性すらあり得ます。今後は中高年者や外国人労働者等も積極的に雇用する

事態が想定される事から適齢期も多少変化してくる可能性がありますが、それでも若年者ほど有利な事には

変わりはないでしょう。

④営業マンのフットワークの良さ

ある程度1つの派遣先職場で勤めていて退職をしたとすると、必ずと言って良いほどあるのが

現派遣会社からのお誘い電話。特に1つの現場で数年きちんと勤めた実績がある人は、派遣会社からしても

優良スタッフでもあり派遣会社が別の条件のお仕事をマッチングしてくる可能性が高いと言えます。

特に今回辞めるきっかけとなった条件をクリアできるような自分にとって好条件の仕事をぶつけて来られると、

次の仕事が決まっていない状況下であればなおさらその仕事にトライしてみたいと思えてくるのも人情です。

そうして毎回誘われるがままにズルズルと派遣職場を転々と続けていきながらいつのまにか派遣を抜け出せなく

なっているスタッフさんもいるかと思います。

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⑤正社員への就職がとてつもなく高い壁に感じる

派遣社員を長く続けている人の1つの特徴として派遣を何年も長く続けていると、正社員等への正規雇用への

就職がとてつもなく高いハードルに見えてくる事があります。普段から正社員として働いている人にはイメージが

付きにくいかもしれませんが派遣で長く働く人の中にはこのような人が一部ではいます。「自分には今から

正社員は無理なのではないか、、」「今までラクな生活をしてきた自分に正社員仕事が務まるかどうか、、」

「正社員になったら派遣のように簡単には抜け出せない、、」といった不安がよぎり積極的に就職活動に

望めない人も。大袈裟に言えば今までぬるま湯に浸かっていた人が突然熱湯に投げ出されるようなイメージ

でしょうか。要はマインドの問題なのですが、今まではダメだったら他の派遣先へ行けば良いという気楽な

気持ちで仕事に臨んできた人が、突然正社員雇用を目指すとなると、なぜか必要以上にグッと重荷に感じる

場合があるのかもしれません。

⑥人付き合いが少ない

派遣を長年続けている人の共通点として、人との交流が少ない人が多いというのは一部では言えるのかも

しれません。これはあくまで個人的な体感で一概には言えませんが、派遣に長年ハマっている人はあまり

積極的に人との繋がりを持たない人が多いような気もします。やはり友人や知人との繋がりや会社間での

上下関係を持つ事で、社会性や共存意識や競争意識・周囲からの刺激やアドバイス等を享受する事により

「自分を磨いていく意識」が芽生えていく部分もあるかと思いますが、派遣の場合には人間関係が希薄な事も

多いため、自分の生活スタイルだけがいつまでも独り歩きしてしまうケースもあるのではないかと思います。

家族を持ちたい・昇進したい・高価なモノを身に付けたいといったようにある意味では自然な感情が少し奥に

引っ込んでしまっていて、生活さえ出来れば良いという現状維持の姿勢が派遣を長く続けるという事に繋がって

いる部分もあるのかもしれません。

⑦就職活動の面倒臭さ

長年派遣社員を続けている人の中には単純に就職活動が面倒臭くなってしまっている人もいるかと思います。

学生の頃の就職活動をイメージすれば学内でセミナーを受け自己分析を繰り返し、自分が就職したい業界や

職種の研究をし企業にエントリー。その後にリクルートスーツに身を包み企業説明会を受け筆記試験等を受け

面接、、通過すればその後に二次面接、、やっとの思いで内定。。といったように確かに就職活動には手間と

時間がかかり、平均的な就職活動期間としても2カ月程度は要するケースが一般的です。その点派遣の場合は

登録会に参加し仕事にエントリーした後はほぼ派遣会社任せ。派遣先によっては職場見学等が必要になる

ケースはあるものの、やはり一般的な就職活動と比較するとシンプルです。派遣を長く続ける人の中には

就職活動のように自分から仕事を取りに行くというスタンスが嫌いな人や、就職活動自体が面倒臭いという理由

も一部あるかと思います。

⑧派遣先・派遣会社が辞めさせてくれない

稀な例ではありますが、派遣先や派遣会社が辞めさせてくれないケースというのもあります。

「専門職だから今辞められると困る」「後任が決まるまでは居て欲しい」「条件面(時給等)を再度考え直す

から、、」「半ば強引に契約更新を迫られた」「今辞められると会社の立場が悪い」等々のようになんだかんだ

で退職を認めてもらえない場合というのもあります。実際には派遣先には雇用に関して口を挟む権利はありま

せんし派遣会社でも労働者の退職を認めないという事は出来ません。また更新時においても双方の同意が必要

という事になっています(派遣法:26条2項)。基本的に退職に関しては誰の同意も必要はないのですが

様々な理由を付けられて結局は退職出来ずにいるという人も中にはいます。

⑨いつか派遣先から登用の声がかかると信じている

派遣社員として長く就業している人の中には現場では正社員同様に扱われているスタッフさんもいますし、

スキル的にも正社員と同等もしくはそれ以上の技術を持ち合わせているスタッフさんもいるかと思います。

上司や周囲との関係も良好で、社員と派遣という垣根も無く現場に溶け込んでいて、いつかは派遣先職場から

正社員登用の声がかかるかも?と期待を寄せているスタッフさんもいるのかもしれません。ただし残念ながら

そのようなケースはかなり稀であり、実際に派遣から正社員登用された案件というのは全体の5%にも満たない

ようです(紹介予定等を除く)。また多くの派遣先は人件費や事務等のコスト削減の為に派遣を雇用している

ケースが殆どであり、派遣として今のまま就業し続けてくれるのであれば、わざわざ派遣会社に多額の紹介料を

支払って正社員として雇用するメリットは低いと言えるでしょう。確かに今では人材不足から非正規を正社員等の

正規雇用に転換する動きも多く見られますが、それでもまだまだ実際に派遣先から正社員登用の話が持ちかけられる

ケースというのは割合としては僅かな様です。

⑩このまま派遣の仕事がずっとあると思っている

派遣社員を長く続けている人の中には、これからも派遣の仕事をずっと続けられると考えている人が

多いように思います。実際にそのような人もいるでしょうし、その人の経験やスキル等によっても変わって

きますが、一般的に言えばやはり30代後半~40代以降は派遣会社からの紹介の数はかなり少なくなって

くると考えておいた方が良いでしょう。派遣社員として長く就業していると、就業をし契約期間を終え

次の派遣先に行き契約期間を終えたらまた次の仕事が紹介してもらえる、、といったように永遠に仕事が廻って

来るような幻想に陥る事もありますが、ある一定時期に来るとパッタリ紹介電話が来なくなるといったケースも

派遣では珍しくありません。派遣就業を続けながら就職活動を地道に就職活動を継続していったり

自分なりのキャリアを積んでおく等、将来的なパスをしっかりと考えておく必要があります。

自己暗示を解く事から?

自己暗示なんて言うとマインドコントロールや催眠術みたいで少し恐いような気もしますが、

ある目標や物事を達成する為にスポーツ選手等も活用する事がある方法です。自分が思うように

動ける事をイメージ・連想する事で悪い自己暗示から解放されリラックスすると共に試合等で高い

集中力を得る事が出来るとも言います。

派遣を抜け出せなくなっている人を見てもどこかこの自己暗示にかかってしまっている人が多いような

気もします。自分には今から正社員なんてムリ、、責任の重い仕事を任されると潰れてしまいそう、、

といったように、実際の状況は意外とそうではないのに自分で決め付けている・自分がそう思い込んでいる

が為に思うように身動きが取れないといった人もいるのではないでしょうか。そうであれば本当に勿体ない事

だと思いますし、逆に言えば自分で良い方向にイメージを働かせれば状況は好転していく可能性もあります。

まして今では売り手市場。正社員としてでも社員を受け入れたいという会社は中小零細会社を中心に多くなって

きています。今まで年齢やスキルが少しネックと考えていた人もその暗示は一度払拭して、思い切ってトライ

してみるのも良いのではないでしょうか。

 

紹介予定派遣からのスタート

いきなり正社員になるのは精神的にしんどい…と感じる人は派遣会社の「紹介予定派遣制度」を利用してみるのも1つの手です。

紹介予定派遣は3~6か月程度の派遣期間を経て、本人と派遣先企業の双方の合意のもとに社員(直雇用)となる働き方です。

スタッフさんとしては派遣期間を経て、派遣先企業の環境をよく確認してから直雇用になるかどうか検討する事ができるというメリットもあります。

※参考:紹介予定派遣に強い派遣会社は?

紹介予定派遣で幾つかお勧めの派遣会社をピックアップしていますのでぜひ参考になさってみてください。

今回は派遣ループから抜け出せない?について挙げてみました。

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