コールセンターの研修内容は?ついていけなくなる理由も解説

今回はコールセンターの研修について取り上げてみたいと思います。

コールセンターで働くには、事前に研修が行われることが一般的です。

経験者から未経験者まで一定期間の研修を受け、無事に研修を終えることが出来ればオペレーターとしてデビューする事ができます。

特にコールセンターのオペレーターは企業イメージを左右する大切な役割があり、失礼のない対応ができるまでしっかりと研修を受ける必要があります。

今回はそんなコールセンターの研修内容について触れていきます。

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コールセンター研修の目的は?

コールセンターで研修をする目的は何なのでしょうか。

コールセンターでオペレーターとして働くには、対応をするお客様に対して一定品質のサービスを提供する必要があります。

オペレーターの対応は企業イメージに大きな影響を与え、対応が優れていればそれはブランドイメージの向上にも繋がり、印象が悪ければ顧客満足度を下げてしまう事にもなり兼ねません。

それだけにコールセンターは企業と顧客を結ぶ大切な役割があり、顧客の疑問や不安をどれだけスムーズに解消できるかがオペレーターの大きな役割と言えます。

ましてコールセンターでは電話上でお客様の顔が見えない分だけ、相手を配慮した質の高い丁寧な対応が求められると言えるでしょう。

 

そんな大切なポジションを占めるコールセンターですが、多くの企業ではオペレーターの離職率の高さが課題になっています。

コールセンターによっては、1年間のうちに3割以上のオペレーターが辞めていくほど状況は深刻です。

また辞める理由としても「入社して数日で辞めた」「研修についていけなかった」「イメージと違った」など、意外にも入社以降すぐに退社を考える人が多いことにも驚かされます。

それだけオペレーター職は人材として定着しづらい職業とも言え、入社時の研修でどれだけ業務への理解を深めておけるかが重要になってきます。

コールセンターには未経験者も数多く応募してくる事から、座学やOJTを通して相応の教育を受け、必要な知識や技術をしっかり習得してから着台する事がその後の定着率にも影響してきます。

 

また以前のコールセンターと比較しても自動化は進んでいき、「チャット対応」「音声認識」「リモートワークの普及」など、今まで以上にオペレーターに求められるレベルは上がっています。

コールセンターが今まで難しかった応対品質の向上を実現できるようになる一方で、その分オペレーターの仕事負担も減り、高度化に対応できるオペレーターのスキル向上が増々求められていきます。

そのため入社研修を含め日々の業務知識をしっかりと吸収しながら、オペレーター業務に取り組んでいく必要があります。

 

コールセンターの研修で学ぶ内容は?

コールセンターの研修で学ぶ内容は、主に以下の4つになります。

 

①座学

コールセンターの研修では、まず座学が行われることが一般的です。

コールセンター社員などが講師にあたり、新人オペレーターに対しホワイトボードや資料を使用しながら、必要な知識を教えてくれます。

 

座学で学ぶことは主に2つあり、それは「応対品質」「業務知識」です。

応対品質ではお客様との話し方や敬語の使い方・聞き取りやすい発声やクレーム対応などについて学びます。

一方で業務知識においては、商品知識や個人情報の取り扱い・システム端末の使い方などを中心に学びます。

 

座学研修の期間については、インバウンド(受信)で1週間~、アウトバウンドであれば数日程度で終了する事もあります。

この座学で学んだ知識がお客様へのご案内の基礎となるため、研修でしっかりと知識を蓄えておきましょう。

座学で学ぶ例

  • 商品知識
  • 端末操作(顧客管理システム)
  • モニタリング(先輩スタッフの実際の案内を聞く)
  • 個人情報の取り扱い
  • ビジネスマナー
  • 電話応対
  • 発声・敬語など

 

 

②ロールプレイング

コールセンターの座学研修を終えたら、次にロールプレイング研修を実施します。

ロープレとは「役割演技」「疑似体験」のようなもので、お客様とのやりとりを想定して応対練習を行っていきます。

 

ロープレの流れとしては、新人オペレーター同士・もしくは先輩や講師とペアになって、実際の電話のやりとりを演じていきます。

一人がお客様役・もう一人がオペレーター役となり、トークスクリプト等を元にして実際に声を出しながら本番のトークの流れを把握していきます。

ロールプレイングを通して実際にシュミレーションをしてみる事で、座学研修で学んだ知識や自分の言葉遣い・決められた文言などを再確認することができ、実際の電話のイメージを具体的に掴めるようになります。

ロールプレイング研修の期間としては、数日~一週間程度になることが一般的です。

 

ロールプレイングのトーク例

講師
それでは隣席のスタッフさんと一緒にロープレを始めてください。

スタッフA
Bさん、宜しくお願い致します!

スタッフB
こちらこそよろしくお願いします。どちら役から始めましょうか?

スタッフA
そうですね。では私初めてなのでオペレーター役でやってみてもいいですか?

スタッフB
わかりました。それでは私がお客様役をやりますね。

ー(以降トークスクリプトを見ながら)ー

スタッフA
「お電話ありがとうございます。○○株式会社の担当○○と申します」

スタッフB
「契約内容を変更したいんですが..。」

スタッフA
「契約内容の変更でございますね。お問い合わせありがとうございます。恐れ入りますが、お電話を頂いている方は契約者様ご本人様でいらっしゃいますか?」

スタッフB
「はい、そうです」

スタッフA
「ありがとうございます。それでは契約内容を確認いたしますので、お名前とご住所からお伺いできますでしょうか?」

ー(以後省略)ー

 

 

③OJT

コールセンターの研修としてロールプレイングが終了すると、次にOJTに入っていきます。

OJTというのは「On the Job Training」の略です。

管理者や先輩オペレーターのサポートを受けながら実際のお客様からの電話を受け、様々なお問い合わせに対応していきます。

 

分からない用語があった時や会話に詰まった時でも、隣席につく先輩スタッフが横からサポートをしてくれますので、新人オペレーターでも安心して対応することが出来ます。

定型的なトークスクリプトとは違い、マニュアルに無いお客様とのリアルな通話を体感することができ、その分だけ臨機応変に対応する力も求められます。

対応に慣れてきたら徐々にフォローを減らしていき、最終的には一人立ちして自分で対応できるようにしていきます。

 

OJTのトーク例

新人スタッフ
○○と申します。宜しくお願い致します。

先輩スタッフ
こちらこそよろしくお願いします。何かあれば隣でモニターして聞いていますので安心してください。それでは準備ができたら開始してくださいね。

ー(お客様より入電)ー

新人スタッフ
「お電話ありがとうございます。○○株式会社の担当○○と申します」

顧客
「請求書が届いたんだけど。金額が間違ってるみたいなんだけど..。」

新人スタッフ
(本人確認後)「請求書の金額が間違っているという事でしょうか?」

顧客
「そう。先月こんなに使った覚えがないわよ?」

新人スタッフ
「さようでございますが..。え~と…」

先輩スタッフ
(横からメモ出し)メモ:”請求書の金額を聞いてみて?”

新人スタッフ
(先輩のメモを見て)「…恐れ入りますがその請求書の金額はいくらと記載されておりますでしょうか?」

顧客
「5902円になってる。高すぎるでしょ?先月こんなに使ってないわよ?」

新人スタッフ
「そうなんですね..そうしましたら..。えーと…」

先輩スタッフ
(再度メモ出し)メモ:”一旦保留にして”

新人スタッフ
(先輩のメモを見て)…恐れ入りますが一旦保留にさせて頂いても宜しいでしょうか?恐れ入ります。

ー(保留中)ー

新人スタッフ
..すみません、途中で訳が分からなくなってしまって..。

先輩スタッフ
慌てることはないよ。多分このお客様は先月の請求書を見て間違って電話してきているだけです。記載されている請求月と今月の正しい請求金額を教えてあげてください。

新人スタッフ
そういう事なんですね。ありがとうございます!

ー(保留解除)ー

新人スタッフ
「お客様、大変お待たせ致しました。確認をさせて頂いたのですが..」

(以後省略)

 

 

④着台判定

コールセンターの研修でOJTが終りオペレーターとして実力がついてきたら、最後に着台判定を行います。

今までの座学研修やロールプレイング・OJTで学んだことが実践できるかどうかの最終テストと言えるでしょう。

着台判定は一般的には本番と同じような環境が用意され、「オープニング」→「メイントーク」→「クロージング」までを一貫して行い判定されます。

 

トークの流れはコールセンターによって様々ですが、一般的には以下のようなフローになります。

名乗り

挨拶

本人確認

問い合わせ内容の確認

回答・処理

お礼・挨拶

終話

 

また着台判定のポイントは以下のような点になります。

  • マニュアルを遵守できているか
  • 顧客ときちんと対話できているか
  • 正確な案内・回答ができているか
  • 端末操作・システムの使い方
  • 敬語・言葉使いなど

 

上記のように着台判定では、トーク中での回答内容や話し方・専用端末の使い方などを総合的に見て、合否が判定される流れとなります。

このテストを無事に通過できれば、オペレーターとしてデビューできる事になります(着台判定がない派遣先もあります)。

またコールセンターによっては着台判定で一度落ちたとしても、上司がフォローにつき数日間の再研修を実施した後に、追試が行われることもあるでしょう。

 

ですが着台判定はあくまで「通過点」であり、本当に大切なのは着台後の業務です。

毎日のように業務内容や周知事項は変わってきますし、オペレーターとして覚えなければいけない事がたくさんあります。

コールセンター事前研修でしっかりと基礎を身に付け、日々オペレーターとしてスキルアップを目指していきましょう。

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コールセンター研修についていけない理由

ここまではコールセンターの研修について幾つか取り上げてみました。

ですが全員の学習が順調に進む訳ではなく、中には「研修についていけない人」も出てきてしまうのが実際です。

ここではコールセンターの各研修についていけない人達の理由を挙げてみます。

 

座学研修についていけない人

座学についていけない人の理由は、まず第一に「覚えることが多過ぎる」という事です。

上述したように、座学では商品知識や業務知識・システム操作やビジネスマナー等、たくさんの事を学びます。

特にコールセンター未経験者の方にとっては、覚える量が多過ぎて面喰ってしまう事もあるでしょう。

 

また座学とは言え講義を聞いているばかりではなく、時には講師から質問をされたり回答をしなければならない機会もあります。

座学の内容の難しさや周囲のスタッフとの習熟度の差に自信を失くしてしまい、「もう辞めてしまいたい..」と落ち込んでしまう人も一定数出てくることがあります。

実際には勤務していく中で徐々に学んでいけば十分に挽回はできるのですが、座学研修の最初の段階でつまづいてしまい、ついていけなくなる人もいます。

 

ロールプレイングについていけない人

座学が終れば次はロールプレイング。

ロープレ研修でついてこれなくなる人の特徴としては、「コミュニケーション力」「周囲との人間関係」です。

座学の段階ではただ講義を聞いてただ学習をしていれば良かったものの、ロープレともなると周囲のスタッフとコミュニケーションを交わす機会が少しずつ出てきます。

コミュニケーション力にあまり自信がない方もいますし、口下手でロープレのような形式が苦手な人もいるものです。

 

またロープレの会話をきっかけとしてスタッフ同士の付き合いが始まったりする事も多いですが、中には少し浮いてしまったり周囲との人間関係が上手くいかない人も。

ロープレは基本的にはスクリプト通りに進めれば良いものの、座学研修の内容を理解していないと研修についていけなくなる人も出てきます。

 

OJTについていけない人

ロールプレイングが終了すれば次はOJTです。

OJTでついてこれなくなる人の特徴としては、やはり「プレッシャー」です。

今までの座学やロープレではスクリプト通りに進めれば良かったものの、OJTともなるとリアルに顧客との対話をする必要があるのでかなり緊張します。

当然にマニュアル通りに進むことばかりではなく、自分の知識にない事を聞かれたり、時にはクレームを受けてしまい自信をなくしてしまう人もいます。

 

隣席には先輩スタッフがついているものの、初めてのケースばかりでどのように対応すればよいか分からず、中には顧客対応に対して恐怖感を抱いてしまう人も。

また相性の悪い先輩にあたってしまうと「なんでマニュアルで確認しないの?」「座学で習わなかった?」などお叱りを受けることもあり、今後に会社内でやっていけるかどうか不安を感じてしまう人もいるのかもしれません。

 

着台判定が苦手な人

研修の最後は着台判定です。

着台判定でのプレッシャーは、言うまでもなく「受かるかどうか」という事でしょう。

着台テストでは学習してきた研修の成果が表れ、もし不合格ともなると今までの努力が水の泡となってしまう可能性もあります。

またもし落ちてしまった場合、今までサポートしてくれた上司や先輩スタッフに対して「申し訳ないな..」という気持ちにかられる事もあるでしょう。

 

もしこのテストで不合格になり契約が打ち切りになった場合、また他の職探しを始めなければならない事もあり、色々な意味でプレッシャーが乗っかってきます。

着台判定でどのような出題がなされるかは運にもよるので一概には言えませんが、できるだけ自分の実力が出し切れるようにリラックスして臨みたいものです。

 

コールセンター研修まとめ

コールセンターの研修について幾つか挙げてみました。

コールセンターの研修では様々なことを学んでいきます。

時には学習についていけなくなる事もありますし、自信を失くしてしまう人もいるのかもしれません。

 

ですが座学やロープレ・OJTなどをしっかりと学習していく事により、自分が苦手だった部分や改善すべき部分がはっきりと見えてきます。

その苦手意識や欠点を解消していくことで、着台後も自信を持ってオペレーター業務に取り組んでいく事ができます。

研修によって業務知識や商品知識・応対スキルなどをしっかりと身に付け、”会社の顔”として活躍していけるオペレーターになっていきたいですね。

今回はコールセンターの研修について取り上げてみました。

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