派遣の退職トラブル10。円満退社を目指すために
今回は派遣の退職トラブルについて取り上げてみたいと思います。
長い派遣期間が終わり、「やっと退職できる」と肩をなでおろしている人もいるのかもしれません。
ですが退職時こそ様々なトラブルが起きやすいもの。
辞める時になって問題が生じると、今までの努力や功績が水の泡になってしまう事にもなり兼ねません。
出来るだけ円満に退社できるよう、今回は派遣の退職トラブルについて解説をしていきます。
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派遣の退職トラブルは?
派遣の退職時におけるトラブルにはどのような事があるでしょうか。
ここでは派遣の退職トラブルを幾つか挙げてみます。
派遣の退職時には、担当者から引き止められるケースもあります。
「後任が見つかるまで居てほしい」「今抜けられると困るから..」など、何かしらの理由を付けて辞めさせてもらえないケースも。
引き止められるという事はあなたが「派遣先から認められている」場合や、「優秀な人材」であるとも考えられますが、本当に退職をしたいのであれば自分の意志をはっきりと伝えるべきと言えます。
自分の主張を伝えられないと、そのままズルズルと抜けられなくなる場合もあり、ありがちな派遣の退職トラブルの一つと言えるでしょう。
担当者のミスで、退職の件が派遣先に伝わっていない退職トラブルです。
退職をする場合には自分から派遣先には伝えず、まずは派遣会社の担当者に伝えることが通常であり、担当者から派遣先に対して伝えてもらいます。
しかし稀にですが、その話が派遣先に伝わっていない場合があります。
「担当者が忙しい」「退職の件を忘れている」「(後任者のことなど)諸事情がある場合」など、何かしらの事情があって派遣先に伝わっていないケースもあり得ます。
退職日が迫っているのに諸手続きについて担当者から案内がない場合には、自分から問い合わせをしてみても良いでしょう。
退職理由は「会社都合」なのに、派遣会社が「自己都合扱い」として認めてくれないケースです。
会社の業績悪化や経営破綻・強引な派遣切りなど、一方的な契約解除や退職は「会社都合扱い」となる事が一般的であり、自己都合と会社都合では失業保険の受給期間にも違いがあります。
ですが退職理由によっては、派遣会社側が簡単には会社都合として認めてもらえない事も考えられます。
このような退職トラブルに見舞われた場合には、なぜ自己都合扱いなのかきちんと説明を求め、退職理由を正しく判断してもらう必要があります。
派遣社員の場合、通常であれば退職をすると派遣会社から自宅へ離職票が送付されるので、特別に申請をする必要はありません。
ですが派遣会社によっては、自分から問い合わせをしないと送付してもらえない場合もあり、退職トラブルになる事もあります。
失業給付を申請するには離職票が必要ですし、離職票の内容である「離職理由」などは失業給付の開始日や金額にも影響してきます。
離職票が届かないからと言ってそのまま放置していると受給期間が短くなってしまう事も考えられますので、しばらく待っても届かない場合には早めに確認をしておきましょう。
退職時に、会社側が残りの有給消化を認めてくれないといった退職トラブルも考えられます。
ですが原則として有給休暇はあなたが指定した日に取れるものであり、会社側が拒否できるものではありません(時季変更等を除く)。
もちろん退職を申し出た後でも、有給を消化することは可能です。
ですがマナーとして、退職が決まった際にはできるだけ早く担当者に相談をし、事前に有給の消化スケジュールを決めておく事も大切になってきます。
もし有給の消化を認めてくれない場合には、派遣会社の担当部署や労働基準監督署等へ相談することも可能です。
また有給を申請した事実が曖昧にならないよう、メールやタイムシート・申請書などの記録を残しておく事も重要と言えるでしょう。
関連記事:派遣社員に有給休暇はある?日数はどれくらい?取得条件も解説
派遣の退職時には、会社側からの貸与品を返還することが通常です。
入館カード・制服・ロッカーの鍵など、会社から借りている物があれば退職前までにきちんと返すようにします。
ですがスタッフさんの中には、貸与品を紛失してしまう退職トラブルもあります。
例えばもし入館証を紛失したとなれば、それが悪意の第三者に渡ると不正入室や企業情報の漏洩など、リスクが生じます。
また紛失届等を提出しなければならない場合もありますし、実際にそれが悪用された場合には個人への賠償請求の可能性もゼロとは言えません。
派遣先からの貸与品がある場合には、退職時まで責任を持って管理するようにしたい所です。
派遣の場合、通常は3か月程度の契約期間が定められている事が一般的です。
派遣会社も派遣スタッフもこの契約期間を守ることが前提となっており、原則としては契約期間中に辞めることは出来ません。
ただしやむ負えない事情がある場合、契約期間中であっても退職をする事ができる場合があります。
民法628条
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。
この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
また就業時に受け取る雇用契約書(就業条件明示書)にも、以下のような記載があるケースが多いでしょう。
「労働者本人の都合による派遣契約中途解除は、少なくとも30日前までに派遣元責任者に申し出ること」
ですがスタッフ本人が「契約期間中であっても辞められる」と思い込んでいた場合、認識の違いから思わぬ退職トラブルに発展する可能性もあります。
あくまで契約期間を守ることが前提ですが、事情によっては退職が認められる場合もありますので、早めに派遣会社の担当者に相談をしてみましょう。
退職時というのは何かとバタバタしがち。
周囲の社員への挨拶やデスクの片づけ・退職手続きなど、忙しくなる事もあります。
そのような多忙な中では、後任者への引継ぎがうまくいかない退職トラブルも。
マニュアル作成が間に合わなかったり、後任者の習熟度が遅れている場合など引継ぎが間に合わず、希望とおりの時期に退職ができないケースもあります。
最悪の場合には期間の延長を求められる事も考えられる為、引継ぎは時間の余裕を持って計画しておくようにしましょう。
派遣社員の場合、基本的には退職届の提出は不要となっています。
契約期間満了時に更新しない旨を担当者に伝えるだけでよく、特別な退職手続きは求められないケースが多いでしょう。
ですが稀に派遣会社によっては、退職届の提出を求めてくる場合もあります。
場合によっては強引に契約が打ち切りとなった場合など、会社が不当解雇を逃れるために退職届を提出させるケースも考えられます。
退職トラブルを避けるため、不明点がある場合にはしっかりと説明を求めるようにしましょう。
派遣社員の場合、退職金が支給されるケースは少ないと言えます。
ですが2020年4月の法改正(同一労働同一賃金)を元に、派遣社員にも退職金が支給されるようになりました。
派遣社員の退職金は「派遣会社の退職金制度」の場合や「前払い(時給に上乗せ)」の場合、「共済制度」を利用するケースなどがありますが、派遣社員に対して退職金の支給をどのような方法で実施するのか、説明がなされていないケースも多々あります。
何も説明を受けないまま退職をしてしまうと、離職後にトラブルに発展するケースも考えられます。
関連記事:同一労働同一賃金で派遣社員はどうなった?派遣切りは増える?
自分が登録をする派遣会社がどのような支給方法になっているのか、事前にしっかりと確認をしておくようにしましょう。
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派遣でトラブルメーカーになりやすいタイプは?
派遣社員の方には、色々な性格・考え方を持つ方々がいます。
職場においてトラブルメーカーになりやすいタイプの人は以下のような人です。
- 遅刻・欠勤が多い人
- いつも文句を言っている人
- 毎回同じミスを繰り返す人
- おしゃべりが好きな人(仕事しない・悪口を言いふらす)
- 自己中な人(周りに気配りができない)
- 思い込みが激しい人(被害妄想癖がある)
- 派閥を作ろうとする人
- 負けず嫌いな人(一番でないと気が済まない)
特に上記のようなトラブルメーカーが面倒なのは、自分が(トラブルメーカー)だと自覚がないという事です。
少し注意をしようものなら、改善されるどころか自分にも飛び火してくる可能性があります。
このような人に関わり過ぎると、仕事どころか余計な面倒事に巻き込まれてしまう事も。
トラブルメーカーに対してはしっかりと向き合って対応する事も必要ですが、時にはある程度の距離を保って接したり、第三者に相談する等の対処を取ることも必要です。
また逆を言えば、自分が上記に該当する場合、もしかしたら周囲にトラブルメーカーだと思われている可能性もあります。
「自分はそんな事はない」という固定概念を捨て、冷静に自分を見つめて身に覚えがあれば、時には謙虚になる姿勢も大切なのかもしれません。
派遣を突発退職することはできる?
派遣の仕事を突発退職する事はできるのでしょうか?
突発退職というのは、いわゆる「即日退職」のことです。
上述したように、派遣の場合は有期契約として期間が定められている事が普通であり、原則として契約期間中に勝手に辞めることは出来ません。
中でも即日の突発退職などは、派遣社員として避けておきたい行為と言えます。
まして無断退職をしたり音信不通になった場合、派遣先にも迷惑がかかりますし、派遣会社からも今後の仕事紹介が途絶えてしまう可能性もあるでしょう。
ですが人間である以上、働く上でどのような事情が起こるかは分からないのも事実。
実際面を言えば、突発退職として派遣社員が突然姿を消してしまうケースは珍しくありませんし、研修期間中に耐え切れなくなってしまうスタッフも少なくありません。
仕事に慣れるまでは自分なりに努力をしてみたり、せめて期間満了まで頑張ってみることをお勧めしますが、とは言え無理をして身体を壊してしまっては元も子もありません。
どうしてもやむ負えない事情がある場合には、まずは派遣会社の担当者に申し出て、事情を説明してみるようにしたいですね。
派遣トラブルの相談先
退職時のトラブルに限らず、派遣では様々な問題が生じることがあります。
勤務条件が異なる・待遇面・セクハラ・人間関係など、問題が起こった際に相談先を見つけておく事も大切です。
派遣のトラブル相談先としては、以下のようなものがあります。
職場においてのトラブル等、まずは派遣会社の担当者に相談をしてみましょう。
仕事の相談・職場の人間関係・契約上の問題など、様々な相談に応じてくれます。
派遣会社によっては、各種相談窓口を設けている場合もあります。
仕事上の悩みや将来のキャリアの事・セクハラ・マタハラなど、専門のカウンセラーが応じてくれる場合もあります。
全国の都道府県にあります。
法律を含め、雇用条件や勤務時間・賃金・解雇など、労働基準法に関連するトラブルにも相談にのってもらえます。
男女雇用機会均等法や育児・介護休業法などの法律を対象とし、労働者の相談に応じてくれます。
女性差別の問題やセクハラ・マタハラなど、プライバシーも保護されますので、相談しにくい問題にも対応してくれるでしょう。
関連記事:派遣の苦情申し入れ先はどこ?適切な苦情申し出先は?
派遣の退職トラブルまとめ
派遣の退職トラブルについて幾つか挙げてみました。
派遣社員として就業していると、様々な問題が起こることがあります。
職場内での仕事の進め方や人間関係・派遣会社の担当者とのやりとりなど、自分が想定していなかったトラブルに見舞われることもあるでしょう。
ですが周囲の人間への配慮や感謝の気持ちを忘れずに、時間の余裕を持って行動をすれば退職時のトラブルもなくスムーズに退職することが出来ます。
”飛ぶ鳥跡を濁さず”とはよく言ったものですが、お世話になった職場を気持ちよく退職するために、じっくりと準備を進めていきましょう。
今回は派遣の退職トラブルについて取り上げてみました。
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