派遣で試用期間を設けるのは禁止って?

派遣で試用期間を設けるのは禁止って?

 

今回は派遣の試用期間について挙げてみたいと思います。

派遣社員として勤務する事になった場合、最初に試用期間が設けられているケースも多いかと

思います。多くは1週間程度の期間から1か月程度の期間を試用期間として定めている所もあるでしょう。

また中には派遣期間が3か月なのに最初の1か月が試用期間であったり、試用期間中は本採用時より

時給が低めに設定されているケースもあります。正社員やアルバイト雇用時等でもよく見かけるこの

試用期間ですが、派遣社員の場合にはどのような扱いになっているのでしょうか。今回はこの試用期間

について触れてみたいと思います。

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そもそも試用期間って?

さて初めて就職活動をする人等は試用期間という言葉を聞いた事がない人もいるかもしれません。

試用期間とは採用時には本採用の適性があるかどうか全てを見抜けないため、一定期間を設け、

その期間中に勤怠や働き振りを観察する等して、最終的に雇用するかどうかを判断する期間の事です。

簡単に言えばお試し期間のようなものですね。トライアル期間やトライアルタームと呼ぶ事もあります。

試用期間を設ける事は派遣法違反?

派遣で就業する際には試用期間が設けられている事はよくあるケースではありますが、

実際にはこの試用期間を設ける事自体が派遣法違反と取られる場合もあります。

まず派遣法では派遣先が労働者を特定・選別するような行為は基本的に禁止となっています。

労働者派遣法26条第7項 

「労働者派遣(紹介予定派遣を除く)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、

当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように

努めなければならない」

これによれば事前面接やスタッフを名指しで指名する事はもちろんですが、年齢や性別による選別をしたり

履歴書やスキルシートの送付を派遣先が要望する事も違反と言えそうです。このように特定目的行為は

派遣法においても違反とされています。

この特定目的行為の禁止と試用期間を設ける事の何が繋がるのか?という声もありそうなものですが、

改めて派遣の契約形態について考えてみると派遣スタッフの雇用主は派遣会社であり、試用期間を

設定するのも雇用契約を締結した派遣会社が採用時に一度きりのみ設定できる筈です。

しかし実際には派遣先が変わる度にその派遣先に応じた試用期間が何度も設定されている傾向があり、

同じ派遣会社から派遣されていても派遣先が変わる度にその都度新たな試用期間が設けられる事が

多くなっています。そもそも派遣先は派遣スタッフを選ぶ権限はありませんので、派遣先によって

試用期間がその都度設けられるという事は、この試用期間の設定が特定目的行為と捉われても仕方がない

部分もあるでしょう。逆に言えば派遣先が試用期間を設定したのであれば、本来試用期間は雇用主が

設定するものですから、派遣先がその派遣スタッフを直接雇用したと見る事も出来ます。その為試用期間

中にもし不採用となったケースがあれば、解雇とみなし解雇予告手当等の請求を検討できる場合も

あるかもしれませんし、契約期間中の不採用であれば残り期間の休業補償の請求も考えられます。

また不採用にならずにそのまま雇用し続けられるのであれば、その雇用形態は遡って紹介予定派遣であった

という見方も出来るでしょう。

しかし前述した労働者派遣法26条の特定目的行為の禁止を遵守しようとする企業が少ないのは

条文末尾に記してある通り、「努めなければならない」と努力義務に終わっているからです。

この規定を破ったとしても特別な罰則規定がある訳でもないので、派遣先を始め派遣会社としても

積極的に遵守しようとする動きが見られにくいのが現状かと思います。

また現在のように当たり前のように派遣社員にも試用期間が設定されている現状では、不用意に

試用期間の設定を拒否する事は、逆に自信の職の幅を狭める事にもなり兼ねない為、やはり派遣スタッフ

側にも状況に即した柔軟な考え方が求められるとも考えられます。

派遣業界に限らずルールと現実にギャップが生じるのは常ですが、派遣スタッフとしてもどこまでが

許容できどこまでを違反とするのか、自分自信の中でも明確な線引きを引いておく必要があるのかも

しれませんね。

今回は派遣での試用期間について挙げてみました。

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