派遣が「使えない」と言われてしまう10の理由
今回は派遣が使えないと言われてしまう時のケースについて挙げてみようと思います。
派遣社員として勤務するからには出来れば派遣先の社員さん達とも上手くやっていきたいもの。
ですが実際の職場では社員さん達から「派遣は使えない」とか「派遣は仕事が出来ない」と言われてしまうケースも多いようです。
私も昔派遣社員として勤務していた時代に社員さんに陰で「使えない」と小声で言われた事がありました(泣)。結構ショックでしたね。
自分なりに一生懸命仕事をしていたつもりではありましたが、やはり社員さん達には使えないと思えたのでしょう。
このような声が上がってしまうというのは、やはり派遣先の社員と派遣スタッフさんとの間に「仕事に対する意識の違い」が生じている事が多いように思います。
社員さん達は毎日フルで勤務していて、会社において自分のポジションや役割もあり、派遣社員と比較すると責任の重さは変わってきます。
当然賃金にもその責任の重さは表れており、また社員さんは基本的には派遣社員のことを「即戦力」と捉えているケースもあります。
一方で派遣社員からすればもちろん一生懸命仕事をしている人が殆どかと思いますが、中には一定期間の腰掛け仕事と考えている人もおり、仕事に対する意識の違いが垣間見える瞬間もあります。
また派遣スタッフからすれば「正社員並みの労働を期待するのであればそれに見合った賃金が欲しい」といった声や、「戦力になるにはある程度の期間が必要」いった声もあり、社員と派遣スタッフ間の待遇の格差や仕事に対する意識の問題など、埋まりずらい溝があるようにも思います。
今回はそんな社員が派遣スタッフを使えないと思う瞬間について取り上げてみます。
スポンサーリンク
「使えない」と言われる理由
派遣先からしてみれば即戦力として考えていた派遣社員でも、実際には期待するスキルに満たないケースが多いものです。
十分な研修を用意したとしても研修内容に付いていけない人や内容が理解出来ない人もいる等、派遣先が派遣会社に依頼したスキル水準に届いていない派遣スタッフがいる場合もあります。
またスタッフの責任だけではなくマッチングをした派遣会社に問題があるケースもあるでしょう。
そもそもその派遣社員がやる気がない場合もありますし、派遣先が受け入れ態勢十分なのに実際に入社してきたスタッフのやる気を感じない…なんてケースもあります。
研修を行ってもスタッフから質問も出ないし、仕事中に半分寝ているようなスタッフがいたりすると、派遣先としてはガックリ..なんて事もあるでしょう。
仕事に対するやる気の問題は、社員さんがスタッフに対して温度差を感じることも多いようです。
派遣先の社員は正社員である場合が多く、普段から遅刻や欠勤は厳禁であるのが普通ですが、派遣スタッフの中には遅刻・欠勤が日常的になってしまう人も稀にいます。
中には無断欠勤や数日間で姿を消して退職してしまう者もおり、派遣先からしてみれば「派遣スタッフは使えない」という印象を持つケースもあるのかもしれません。
また遅刻・欠勤程度ではスタッフの解雇や交代まで持ち込むのは行き過ぎとされる場合も多く、派遣先としては対処に困りストレスの貯まる所です。
正社員の場合、「コミュニケーションも仕事を円滑に行う為の仕事の1つ」と捉える人も多いものですが、派遣スタッフの場合、一時的な仕事・臨時的な仕事として考える人も中にはいます。
そのため必要以上の人間関係の構築をしなかったり、希薄な人間関係が派遣の魅力と感じるスタッフもおり、派遣先で積極的に人間関係を作りたがらない人も多いものです。
派遣先の社員としては、なぜスタッフたちが人間関係を構築しようとしないのかとヤキモキする事もあるかもしれません。
社員であれば定時できっちり退社できる事は少ないもの。まして会社によってはサービス残業を強いられる企業もあるかもしれません。
一方で派遣社員の場合には時給制で給与を得ている事も多く、定時できっちり退社できるのが派遣の利点と考える人もいます。
派遣先からしてみれば、このような派遣社員の姿勢は「協調性がない」「仕事への積極性がない」という見方をする人もいるのかもしれません。
また中には時間外手当を目当てにあえて仕事を少し遅らせて、残業手当をもらうという人もいたようです。
派遣先の社員からしてみれば、「自分が指示した仕事以外にも派遣スタッフ自らが周囲の仕事を自分で見つける等して、業務に前向きに取り組んで欲しい」と考える人も多いものです。
一方で派遣スタッフの中には「事前に取り決められた契約範囲内の仕事しかしない」といった意識を持つスタッフもいます。
法律の観点からすれば就業条件明示書等で定められている仕事をこなせば良いという事にはなっていますが、派遣先からすればスタッフにも会社全体の仕事を把握しようとする積極的な姿勢が欲しいと思うケースもあるでしょう。
派遣先の社員からしてみれば、派遣スタッフがミスをしたり誤った方法で仕事をしている時には注意をしなければならない場面も出てくる筈です。
注意やアドバイスには素直に従う派遣スタッフが殆どかとは思いますが、中には人から注意される事に嫌悪感を示すスタッフもおり、その後に社員とスタッフの間に溝が出来てしまうケースもあります。
これは「使えない」という問題とは多少異なりますが、職場において挨拶は基本ですね。
また挨拶できない人は心象が悪くなりやすいもの。
特に短期の仕事であればあるほどこのような最低限のマナーは忘れがちです。思い当たる節がある人は気を付けたいものです。
派遣スタッフに限った事ではありませんが、中にはプライドが著しく高い人もいます。
特に専門職や技術職など限られた職種に就く派遣スタッフの中には、担当社員に妙な対抗意識を持ち出す人もいたりします。
また社員よりも派遣スタッフの方が年配だったりすると、年上なりのプライドを誇示してくるスタッフさんもいるようで、派遣先社員としては指示命令を出しにくい状況に陥るケースもあるでしょう。
仕事をする時間が「他の用事」で多く削られてしまっているスタッフさんもいます。
例えば何度もトイレに行く・ロッカー室までお茶を何度も飲みに行く・休憩室から戻ってこない・スタッフ間のお喋り・スマホいじり等、派遣先社員からしてみれば「休憩時間に済ませておいて欲しい」と感じる事も多いでしょう。
特にそのような時間でも当然時給は発生しているので、苛立ちを隠せない派遣先責任者も少なくありません。
スポンサーリンク
派遣社員は即戦力ではないの?
派遣社員=即戦力というイメージを持っている方も多いかと思います。
派遣先会社としても、社会人経験が身に付いておりスキルも高く、多くの教育を施すことのない即戦力としての派遣社員を求めている企業が多い事でしょう。
不景気も重なり、多くの企業では人材を一から育成していく余力がなく、入社後に即戦力として勤務してくれる派遣社員がいればそれば大きな力となります。
少し古いデータにはなりますが厚労省の「平成26年就業形態の多様化に関する総合実態調査」を見ても、派遣先企業がスタッフに対し即戦力としての活躍を求めている事が伺えます。
※平成26年就業形態の多様化に関する総合実態調査より一部引用
ですが実際の採用現場では、近年では派遣社員が即戦力ではなくなってきているという声も時々聞かれます。
以前は派遣=スペシャリストというイメージを持っている方も多くいましたが、最近では派遣社員の「質の低下」が噂されている所もあるようです。
やはり昔と比較すると規制緩和が進んだ事や賃金の低下による労働者の質の低下・仕事への意識の変化など様々な理由が考えられます。
中小の派遣会社においては経営自体が厳しい状況にあり、スタッフの育成・教育にまで注力できる余力がないといった事情もあるのかもしれません。
求人誌を見ても「未経験OK」「スキル不要」「ブランクOK」といった求人も多く、即戦力を念頭に置いた募集は以前ほどは見かけない気もします。
またもしスタッフ側に十分なスキルが備わっていたとしても、新たな職場の環境やシステムにすぐに適応する事は難しく、業務に慣れるまでにはある程度の期間が必要な場合もあるでしょう。
派遣=即戦力というイメージが多少薄れてきている印象もありますが、今後派遣社員を受け入れる上ではその対応や教育方法にも少しずつ変化を付けていく必要があるのかもしれません。
使えない派遣をクビで辞めさせる事はできる?
使えないと思う派遣社員をクビにして交代させることは出来るのでしょうか。
本音を言えば、何度注意をしても改善が見られない派遣社員を「クビにしたい」と思う人はいる筈です。
実際に、適当な理由を付けて派遣社員を交代させたいと考える社員も中には存在します。
当サイトでは過去に派遣をクビになった経験を持つ方(14名)に対し、「クビになった理由」について聞いてみました。
クビの理由 | 回答者 |
派遣先の経営悪化 | 5人 |
人間関係上のトラブル | 3人 |
勤務態度を理由として | 2人 |
遅刻・欠勤によるもの | 1人 |
スキル不足 | 1人 |
契約満了により(雇止め) | 1人 |
心身の事情によるもの(自発的に) | 1人 |
※2020年10月調査「派遣スタッフコミュニティサイト」
回答としては、「派遣先会社の経営悪化」や「人間関係トラブル」が多くを占める結果となりました。
会社の経営状況など派遣スタッフ側に非がない理由も一部ありますが、多くは派遣社員の普段からの勤務態度などが原因となってクビになるケースが多いようです。
また残念なことですが、「派遣社員が使えない」「派遣社員をクビにしたい」という場合、会社によっては職場イジメが起きてしまう場合もあります。
例えば過去には以下のようなイジメがありました。
- 集団によるイジメ(無視・仲間外れ)
- 暴言・陰口
- 過度な仕事量を与える
- 仕事を与えない
- プライベートに干渉する
- 頻繁に呼び出し説教をする
主には「言葉の暴力」や「集団によるイジメ」により、派遣社員が自主的に辞めるように仕向けるケースが見られます。
使えない派遣社員をクビにしたいがために、本人が嫌がるような行為をし続けることもあるようです。
ですがご存じの方も多いように、登録型派遣のように有期労働契約の場合、やむ負えない理由がなければ契約期間中に解雇にすることはできません。
特に派遣のような有期契約ではその解雇の妥当性が厳しく判断され、社員の立場などを利用した権利の乱用にあたる解雇は無効とされます。
また「契約期間満了であれば簡単に解雇できる」と考える人もいるのかもしれませんが、契約を更新しない場合には少なくとも30日前の予告が必要になり、理由によっては雇い止めが違法とされる場合もあります。
「使えない派遣社員はいつでもクビにできる」と考えるのは、大きな誤解です。
解雇や雇い止めに関してはその正当性を慎重に判断する必要がありますし、それこそイジメを仕向けて辞めさせるというのは何の解決にもなりません。
まずは改善に向けて、スタッフ本人とじっくり話し合うことから始めてみてはいかがでしょうか。
派遣社員は使えない?まとめ
派遣スタッフさんが使えないと言われてしまうケースについて幾つか挙げてみました。
中には本当に派遣スタッフさんが使えないというケースもあるかもしれませんが、お互いの気持ちのすれ違いから誤解や葛藤が生まれてしまう事は人間誰しもあるものです。
また派遣スタッフからしてみても、社員さんに対しては様々な不平・不満を心の底に持っている事も多いもの。
お互い様と言えばそれまでですが、双方が立場の違いや仕事のやり方を理解し合い、お互いの気持ちを汲みながら仕事を進めていきたいものですね。
今回は派遣が使えないと言われてしまう理由について挙げてみました。
スポンサーリンク