派遣先にサービス残業を強要させられるって?
派遣先にサービス残業を強要させられるって?
今回はサービス残業について挙げてみたいと思います。
サービス残業なんて正社員等のように直接雇用されている人が強要させられるものでは?
と考える人もいるかもしれませんが、派遣先によってはサービス残業を強要する会社も実際に
あったと聞きます。派遣スタッフとしては雇用主が派遣会社だとは言っても実際に就業している
のは派遣先であり、その派遣先の指揮命令者の言う事には中々反論することも難しいと考える人も
いるでしょう。また悪質なケースでは終業時間の間際にスタッフがタイムシートを記入した後、
派遣先担当者があえて終業時間を過ぎてしまうような時間のかかる作業を依頼してくる等、実質的に
サービス残業の強要とも取れる行為をされたという申告もあります。このようなサービス残業には
従わなければならないのでしょうか。
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就業条件明示書の内容を遵守させる
派遣就業をする際には派遣会社と雇用契約を締結する事になり、派遣スタッフの皆さんにも
就業条件明示書(雇用契約書兼就業条件明示書)が交わされている事かと思います。
あまり細かく目を通さずに放置してしまうスタッフさんも中にはいるのですが、契約における
大切な内容が記載されているので、一度は目を通しておきたいものです。
さて残業についてですが、この点についても就業条件明示書には記載があることが普通です。
例えば「月30時間の範囲」など派遣先でどのくらいの残業が予定されているのか、記載がある
かと思います。派遣先が派遣スタッフに残業を命じるにはまず派遣会社において36協定という協定が
結ばれている事が必要で、かつこの就業条件明示書にその旨が記載されていなければ、派遣先は派遣スタッフに
残業を命じる事は出来ません。残業時間の記載がなく「残業なし」と記載されているのであれば、
当然に派遣スタッフは残業をする必要はなく、サービス残業などは論外で、もちろんする必要はありません。
また残業時間が記載されている場合であってもサービス残業が許される事は決してなく、勤務した時間分の
給料は必ず支払われるべきですし、8時間を超えて勤務した場合には25%の割増賃金が支払われる事に
なり、深夜労働をした場合には更に25%が加算された賃金の支払いがなされます。
また週1日の法定休日に勤務した場合には35%以上の割増賃金が支払われる事になっており、
どちらにしてもサービス残業などが許される筈もなく、勤務した時間分の給与は支払われるべきであって
時間外労働をした際には割増賃金が支払われるべきです。
派遣先が残業代をごまかしているようであればすぐに派遣会社に連絡をし、改善を図ってもらうように
しましょう。それでも改善しない場合には労基署・労働局・ユニオン等への相談も検討出来ます。
そのような悪質な行為をする派遣先は他のスタッフにも同様の行為をしている可能性がありますし、
派遣料金を受け取っている派遣会社としても残業時間のごまかしは大きな問題です。
終業時間間際に毎日少しだけ残業が発生?
派遣先が意図的でなかったとしても終業時間間際に毎日少しだけ雑務を頼まれるケースであったり、
終業時に上司への報告が義務付けられていて定時を数分~数十分過ぎてしまうケースもあるかと思います。
また派遣のタイムシートでは給与計算は15分計算等となっている場合も多く、例えば毎日10分の残業を
していたとしても15分計算の決まりであれば実質的に毎日10分のサービス残業をしている事になって
しまいます。法律面で言えば15分未満の残業時間をカットするのは労働基準法違反という事になっており
労働時間は毎日「分単位」で付ける事になっています。ただ多くの派遣会社が分単位でのタイムシートの
提出を義務付けておらず、スタッフに10~15分単位で付けされている事が大半で、多くのスタッフが
実質的なサービス残業を強いられているものかと思います。
確かに人間同士が働いている以上は多少の誤差が生じる事やちょっとした雑務が生じる事は想定される
事であり、また全てを法律に当てはめようとすると逆に窮屈になってしまうケースも考えられ、多少は寛容に
見なければならないと考えているスタッフさんもいるかと思います。この点については本人がどのように
考えるのかによっても異なってきますが、例え10分程度の残業でも毎日の事であれば週5勤務で
月に200分の残業が発生する事になり、月の月給としてもかなり給与額は変わってきます。また今まで
サービス残業を強いられている人にとっては、未払い賃金分(サービス残業分)についても過去2年分
については遡って請求する事自体は可能です。
もちろんこのような請求をしたからと言って派遣先や派遣会社がスタッフに不当な取扱いをする事は
禁止されているものですが、実際には未払い賃金の請求をした時点でその会社に居残って仕事を続ける
事は難しくなるケースも想定されます。自分がどの程度までを容認するのか、その線引きは難しい所
ではありますが、派遣スタッフという弱い立場を利用したサービス残業の強要は決して許される事では
ありません。ルールに則った就業を心掛けたいものですね。
今回は派遣社員のサービス残業について挙げてみました。
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