派遣社員が裁判員制度の裁判員に選任された?

派遣社員が裁判員制度の裁判員に選任された?

 

今回は派遣社員の裁判員制度の選任について挙げてみたいと思います。

今まで裁判と言うと裁判所で裁判官等が有罪・無罪の判決をし、中には微妙な判断を要する

事案もあり、その判決内容に賛否の声が生まれる事もありました。裁判員制度が始まってからは

国民である以上は当然に派遣社員も裁判員に選任される可能性があり、もし選任されれば基本的に

裁判に出席をする事になります。その場合、派遣のお仕事を休めるのか・裁判の日の給料は発生するのか

等、色々と不安になる人もいるかもしれません。今回はそんな派遣の裁判員選任について触れてみます。

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裁判員制度とは?

裁判員制度とは平成21年5月から始まった制度になります。

今までの刑事裁判は、裁判官3人で行われていました。しかし今後の裁判員制度では、裁判官3人と

選任された裁判員6人で刑事裁判を行うことになります。国民が裁判員として刑事裁判に参加する事で

被告人が有罪かどうか,有罪の場合どのような刑にするかを裁判官と一緒に決めていく制度です。

裁判員裁判の対象となるのは、一定の重大な犯罪に関する事件だけとなっており、例えば、殺人罪、強盗

致死傷罪、放火罪、誘拐罪、危険運転致死罪など、重大な犯罪に関する裁判が対象になります。

この制度の意図として国民が裁判に参加する事により裁判が身近で分かりやすいものとなり,司法に対する

国民の信頼の向上に繋がることが期待されています。

裁判員裁判は辞退する事はできる?

さて派遣社員が裁判員に選任されたとして、それを辞退する事はできるのでしょうか。

結論として基本的には裁判員裁判を辞退する事は出来ません。国民全員が広く参加する事が呼びかけられて

おり、原則として参加する事になっています。しかし政令では負担が過重なものとならないように

一定の辞退理由が定められており、以下の場合には裁判所に申し立てをし、認められれば辞退をする

事ができます。

・70歳以上の人
・地方公共団体の議会の議員(ただし会期中に限ります。)
・学生,生徒
・5年以内に裁判員や検察審査員などの職務に従事した人,3年以内に選任予定裁判員に選ばれた人              及び1年以内に裁判員候補者として裁判員選任手続の期日に出席した人

・一定のやむを得ない理由があって,裁判員の職務を行うことや裁判所に行くことが困難な人
やむを得ない理由としては,例えば,以下のようなものがあります。

・重い病気又はケガ
・親族・同居人の介護・養育
・事業上の重要な用務を自分で処理しないと著しい損害が生じるおそれがある。
・父母の葬式への出席など社会生活上の重要な用務がある。
・重大な災害で被害を受け,生活再建のための用務がある。
・妊娠中又は出産の日から8週間を経過していない。
・重い病気又はケガの治療を受ける親族・同居人の通院・入退院に付き添う必要がある。
・妻・娘の出産に立ち会い,又はこれに伴う入退院に付き添う必要がある。
・住所・居所が裁判所の管轄区域外の遠隔地にあり,裁判所に行くことが困難である。

これらに該当する場合には辞退を申請する事ができますが、基本的には裁判員に選任された場合には

出席をするという事を念頭に考えておいた方が良いでしょう。この裁判員制度への参加は公の職務として

公民権の行使に該当するため、国民の義務として参加する必要があります。

また無断で欠席をすると罰則・罰金が課される可能性もありますのでくれぐれも注意したい所です。

裁判員休暇を取る場合、その日のスタッフの給料は?

さて裁判員に選任され裁判日に休暇を取る場合、派遣社員はその日の給料を得ることは出来るのでしょうか。

結論としては派遣労働者の雇用主は派遣会社であり、賃金の支払い義務も派遣会社に課せられていますので

裁判員休暇を取った場合にその日の給料が支払われるかどうかは派遣会社の就業規則によるものとされています。

就業規則でNOであれば給料は支払われず、それは違法扱いとはなりません。また法務省などは裁判日に

有給休暇の導入などを推進しているようですが、派遣会社側は裁判員制度の参加についてその為の休暇制度

を設ける事までは義務付けされておらず、あくまで派遣会社側の判断に委ねられています。確かに裁判日を

有給休暇扱いとする派遣会社も増えてきていますが、例え有給が認められたとしても、派遣先が裁判員制度

に対する有給手当のための派遣料金を支払う義務まではなく、裁判日の給料が支給されるかどうかは

派遣会社の規則によるものとなりますので事前に確認をしておく必要があるでしょう。

また大前提として派遣スタッフから裁判員制度への休暇を申し出られた派遣先はそれを拒否する事は

出来ませんし、派遣スタッフが裁判員休暇を取るからと言って、それを理由に派遣会社や派遣先が

派遣契約の解除を迫る等の不利益な扱いをする事は禁止されています。

人によっては裁判員制度に対して消極的に考える人もいるのかもしれませんし、かつ派遣会社次第で

その日の給料が支給されないケースでは参加したくないと考える人もいるのかもしれませんが、

司法・裁判に参加する大切な機会ですから、選任された時には積極的に参加をするようにしたいですね。

今回は派遣社員の裁判員制度の参加について挙げてみました。

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