派遣で妊娠の報告はするべき?派遣切りされた時の対応は?

今回は派遣スタッフの妊娠・出産について挙げてみたいと思います。

妊娠や出産は女性にとって人生の中の大きな経験であり、誰でも安心して子供を産みたいと考えるもの。

しかし仕事を抱える女性にとっては自分が無事出産をする事ができるのかという不安を常に抱えている人も多い事でしょう。

まして派遣社員であれば有期契約で働く事が普通で、正規雇用者と比較するとその不安は増して大きなものなのかもしれません。

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妊娠・出産時には大きなお金がかかる

経験した事がある人であればご存じの方も多いかと思いますが、妊娠や出産には大きなお金がかかります。

当然妊娠中であっても生計を立てていかなければなりませんし、妊娠中の検診にも結構なお金がかかります。

 

通常は15回前後の検診で1回の検診費用が5000円とすると、検診だけで7~8万円はかかる事になるでしょう。

また回数も母親の体調次第なので人によってその回数は様々。自治体等から補助金が出ないかどうか等も確認しておく必要があります。

出産時であっても分娩方法や入室部屋によっても異なりますが、通常は30~40万円はかかることが普通ですので、あらかじめお金の工面も考慮しておかなければなりません。

 

また実際にお子さんを無事出産できたとして、その後にはベビー用品を始めとした準備品を用意しておかなければなりませんし、小さい頃から教育を考えているのであれば教材・教育費・また学資の積み立て等も考えると、やはりまとまったお金が必要となってきます。

 

派遣で妊娠は報告する?

さて派遣社員として勤務している女性が妊娠・出産を控えている時に悩んでしまうのが「妊娠を報告するかどうか」です。

妊娠を報告すると「派遣会社にクビを宣告されるのではないか」「派遣先に理解を得られないのでは」という不安から、次回の更新が難しいと考えてしまう人も多く、次の仕事を見つける準備をする女性もいます。

また派遣社員は産休や育休がきちんと取得できるのか?と不安を持つ女性も多く、派遣会社に伝えるとしてもどのタイミングで伝えるか・どのように告げたら良いか・更新時まで黙っておくべきなのか、という事を考え込んでしまうスタッフさんも多いようです。

 

通常の流れとしてはもし妊娠が分かったら、まずは派遣会社に報告をするようにします。

派遣先ではなく、派遣会社の担当者にその旨を報告し、担当者から派遣先に伝えてもらいます。

派遣会社に報告をする時期は安定期に入ってからでも大丈夫です。

 

きちんと報告をしておくのは、健診で休暇を取ったりする事もあるでしょうし、急な体調不良に対応できるようにしておく事・体力仕事など体に負担がかかる仕事は出来るだけ避けるようにしておく事など、様々な事情に対応できるからです。

自分がギリギリまで働くつもりであっても、急な体調不良等で派遣先を退職しなければならない場合も考えられますので、事前に派遣会社には伝えておく方が良いでしょう。

またもし体調不良等で欠勤をする場合には、その業務を周囲の人間がカバーしたり引継ぎをしなければならないケースも考えられますので、やはり派遣会社を通じて報告をしておくべきと思います。

 

派遣の妊娠をメールで報告する場合は?

妊娠した場合、派遣会社の担当者には直接伝える方が多いかと思いますが、中にはメールで報告をするという人もいます。

日々の派遣のお仕事でなかなか担当者に会う時間がないという場合や、産休等の関係で念のため内容をメールとして残しておきたいという人もいるかと思います。

 

派遣社員が妊娠をメールで報告する際には、主に以下の内容は含めるようにしましょう。

  • 妊娠をしたこと
  • 出産予定日
  • 産休・育休取りたい旨
  • 産休までは仕事を頑張りたい旨
  • 周囲に迷惑をかけてしまう事へのお詫び

 

実際に派遣会社担当者にメールで妊娠を伝える際には、以下のような内容が考えられます。

お疲れ様です。登録をしております派遣スタッフの○○です。

突然ですが先日産婦人科を受診したところ、現在妊娠○ヵ月である事が分かりました。

出産予定日は○月○日となっております。

突然のご報告となり、誠に申し訳ございません。

体調不良などで、ご迷惑をおかけするかもしれませんが、産休までは仕事を頑張りたいと思っています。

今後のことについてご相談したいこともありますので、後ほど改めて直接ご報告させて頂きます。

恐れ入りますが、宜しくお願い致します。

 

妊娠をメールで伝えた後は、詳細の説明が必要なため、大抵は派遣会社の担当者が時間を作って対面等で直接お話があるはずです。

この時に産休・育休についての説明や、今後の契約についての説明があるかと思います。

事前にメールで報告をした場合であっても、やはり後日に直接担当者にはしっかりと話しておきたいですね。

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妊娠すると派遣切りされる?

妊娠が分かると、「クビにされるのでは…」「次回の更新を断られるのでは…」といった不安がつきまとうスタッフさんも多いようです。

ですが法律では、妊娠や出産を理由とした労働者への不利益な扱いを禁止しています。

 

男女雇用機会均等法は、男女の均等な機会及び待遇の確保を図るとともに、女性労働者の就業に関して妊娠中及び出産後の健康の確保を図ること等を目的として母性を保護し、女性が働きながら安心して出産できる条件を整備するため、妊娠中及び出産後の女性労働者の健康管理に関する規定を定めています。

男女雇用機会均等法第9条は、事業主が労働者の妊娠・出産・産前産後休業を取得したことや、厚生労働省令で定められている事由で不利益な取扱いをすることを禁止しています。

 

派遣スタッフへの不利益な扱いとしては以下のようなケースが挙げられ、妊娠や出産を理由に派遣労働者にこのような扱いをする事は禁止となります。

  • 妊娠・出産を理由に派遣契約の更新を取りやめること、解雇すること
  • 妊娠・出産を理由に派遣先が派遣会社に派遣労働者の交代を求めること

これは使用者への責任を求めたもので、雇用主の派遣会社だけではなく派遣先にも適用される事であり、労働者派遣法47条の2によっても定義されています。

また派遣先を始めとした会社側は、職場における「セクシュアルハラスメント対策の措置」を講じる必要があり、また「妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置」も講じる必要があります。(男女雇用機会均等法第11条・男女雇用機会均等法第13条

さらに派遣会社や派遣先は、妊娠後や出産後の健康管理に関する措置も講じなければならないとされており、女性の派遣スタッフが保健指導や健康診査を受診するための時間についても、男女雇用機会均等法12条によって定められた時間以上は確保しなければなりません。

 

ですがこのようなルールがあっても、実際には妊娠を理由として派遣切りされたというスタッフさんも存在します。

さすがに会社側もあからさまに「妊娠を理由としてクビ」とは言ってきませんが、「欠勤が多い」「早退が多い」等を理由として、やんわりと次回の更新を断ってきたり早期の退職を勧めてくる場合もあります。

 

もしその派遣切りが妊娠を理由としたものなのであれば、労基署労働局の雇用均等室に申し出て是正指導してもらう事もできますが、必ずしも思い通りの結果が得られるとは限りません。

また最終的には訴訟等を見越した方法もありますが、妊娠・出産を控えている大事な時にそのような問題に頭を悩ませることは良い事ではありません。

まずは派遣会社側と出来るだけ波風を立てずに、話し合いの席を持つことから始めてみましょう。

関連記事:派遣社員は保育園に子供を預けて仕事はできる?

 

妊娠した時、派遣はいつまで働ける?

妊娠が分かった時、派遣社員はいつまで働くことができるのでしょうか。

出産後の費用もあるため、できればギリギリまで働きたいと考える女性もいるかと思います。

 

実際には妊娠しても7~9ヵ月目くらいまで働いている女性は多くいます。

中には臨月まで働いていたという方もいます。

大抵の場合には妊娠が分かってから3か月未満で仕事を辞めるか、ギリギリまで7~9カ月目まで働くといった女性が多いように思います。

 

妊娠してから1~4ヵ月目では妊娠初期であり、つわりが始まってきます。そのためつわりが酷くなってきたり派遣の更新時期になった事をきっかけに仕事を辞めるという人もいます。

妊娠5~7ヵ月目になると妊娠中期となると安定期に入ってくるので、あえてこの時期に入ってから妊娠を派遣会社に伝える人もいます。

妊娠8~10カ月目になり妊娠後期に入ると、おなかもかなり目立ってきて動くのも大変になってきます。

いつ赤ちゃんが生まれてもおかしくはない時期のため、より慎重に行動をしていく必要があり、もし体調がよくないのであれば早めの休暇・退職を決意することも大切なことです。

 

妊娠をしてからいつまで働けるのかについては、本人の仕事への気持ちや、職場環境・周囲の配慮・協力が得られやすい職場かどうか等が関係してきます。

例えば職場が工場や倉庫・接客販売など、立ち仕事がメインの場合には体長が悪くなったり足がむくむと仕事の継続が難しくなる事も多くなり、またもし勤務中にケガ等をしたら大変です。

または逆にデスクワーク等の座り仕事であれば、無理をしなければギリギリまで働いたという人もいます。

体に負担がかかりやすい仕事であれば3か月未満など早めに退職をする人が多く、座り仕事等であればギリギリまで働く人もいます。

 

派遣社員が妊娠したら産休はとれる?

それでは派遣社員が妊娠した場合、産休をとることは出来るのでしょうか。

産前休業と産後休業を合わせて産休と呼び、労働基準法第65条に定められた制度で、妊娠したことを会社に報告し請求すれば産前休暇・産後休暇を取得することができます。

 

請求先は派遣先ではなく、雇用主である派遣会社に対して請求します。

また産休は雇用形態には関係ありませんので、正社員であっても派遣社員であっても取得することが出来ます。

産休に入る時点で働いていれば、産休を取得することが可能です。

産前休業:出産予定日の6週間前から請求すれば取得できる

産後休業:出産の翌日から8週間は強制的に休業

 

産前休業については6週間前からまるまる休みたいという場合には取得できますし、出来るだけ長く働いておきたいという場合には出産ギリギリまで働くことが出来ます。

逆に産後休業については原則として8週間は働くことが出来なくなりますので、その期間中は育児と体調管理に専念するようにしましょう。

 

派遣で妊娠した嘘の理由で辞めるのはアリ?

派遣社員の方の中には、退職理由として「妊娠したため」と嘘の理由を付いて退職をする方も中にはいるようです。

確かに退職時にはその理由に困ってしまう事もありますし、できるだけネガティブにならない理由を考えたいという人もいるのでしょう。

 

ですがやはり妊娠を理由とした退職は避けておいた方が良いように思います。

派遣先や派遣会社としても職場での対応今後の契約の事について対応を考えなければならないケースもありますし、スタッフ自身に対しても詳細を突っ込まれる場合もあります。

または妊娠と言うと周囲が気遣ってくれたり、退職時にはお祝いを言ってくれたりプレゼントをしてくれる同僚や先輩もいるかもしれません。

嘘も方便とは言いますが、角が立たない理由を考えるとしても、妊娠を理由とした嘘の退職は控えておいた方が良いでしょう。

 

妊娠・出産に関する保険給付

それでは派遣スタッフが妊娠・出産をした時に見込める給付金としてはどのようなものがあるでしょうか。

健康保険

出産一時金

健康保険に加入されている方には子どもひとりの出産につき42万円が支払われます。

受け取り条件としては国民健康保険、健康保険に加入していること・妊娠85日以上(妊娠4ヶ月以上)で

出産している事。

出産手当金

産前産後の休暇中は健康保険から出産手当金が支給されます。支給額は〔支給開始日以前の

継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均÷30日×2/3〕となります。例えば給与(標準報酬月額)が

20万円だったとすれば20万÷30=6666円。6666円×2/3=4466円。産休取得日が98日

だったとすると4466円×98日=約437668円となります。

雇用保険

育児休業給付金

育児のために休業する母親や父親に対して、その生活を支援するための給付金です。

給付額は育児休業開始日〜180日目(6か月)までは月給の67%・181日目〜休み最終日までは

月給の50%の金額が支給されます。

 

その他にも給付金や社会保険料の免除がある等、お金がかかりやすい妊娠・出産に関する制度は幾つか

あります。またその制度の殆どが給付条件が定められており、派遣スタッフとしてはその条件に漏れない

ように、派遣会社と相談をしながら今後のお仕事の流れを決めていく必要があります。

 

派遣社員が妊娠した場合まとめ

派遣社員が妊娠した時の対応について幾つか挙げてみました。

妊娠・出産を予定する女性に対しての不利益な取り扱いは決して許されるものではありませんが、中にはそのような意識が薄い派遣会社や派遣先が存在するのも事実です。

妊娠は人生の中での大切な経験ですから体には無理をしないようにし、時には仕事を辞退する決意をすることも大切です。

仕事についてじっくり考える期間として、安心して妊娠・出産に望みたい所ですね。

また妊娠時というのは周囲の協力や配慮が得られるかどうかも大切なポイントです。

妊娠や出産時にも安心して相談ができるような派遣会社を選ぶようにしましょう。

今回は派遣社員の妊娠について挙げてみました。

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