日雇い派遣と週20時間の関係って?雇用保険の加入条件は?

今回は日雇い派遣と週20時間について挙げてみたいと思います。

ダブルワーカーや主婦・学生からも人気の日雇い派遣。

自分の都合に合わせて働くことができ、色々な職場を経験できる事もあり人気があります。

ですが平成24年10月施行の派遣法改正により、日雇い派遣は原則禁止となっています。

労働契約が30日以内の場合には「日雇い派遣」に該当するのはご存じの方も多い通りですが、それだけでなく週の労働時間にも注意をする必要があります。

今回はそんな日雇い派遣と週20時間の就労について挙げてみます。

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日雇い派遣と週20時間?

日雇い派遣は原則として禁止です。

正社員との収入格差や会社間の雇用管理責任・派遣社員の雇用安定などを理由として、日雇い派遣は原則として禁止となっています。

 

日雇い派遣は派遣法35条でも原則として禁止されています(例外規定を除く)。

第35条の3(日雇労働者についての労働者派遣の禁止)

派遣元事業主は、その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、 技術又は経験を必要とする業務のうち、労働者派遣により日雇労働者 (日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者をいう。)を従事させても 当該日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる 業務として政令で定める業務について労働者派遣をする場合又は 雇用の機会の確保が特に困難であると認められる労働者の雇用の継続等を 図るために必要であると認められる場合その他の場合で政令で定める場合 を除き、その雇用する日雇労働者について労働者派遣を行ってはならない。

このように労働契約が30日以内の場合には「日雇い派遣」とみなされ、禁止となっている事が分かります。

 

ですが同時に注意をしなければならないのはその「勤務日数」です。

上記の条文だけ見ると、契約期間が31日以上さえあれば実際の勤務日数が1~2日だったとしても日雇い派遣に該当しないのか?という別の疑問も生じます。

 

この点については厚生労働省のHPに記されています。

Q:例えば、雇用期間が31日以上の労働契約を締結しているにもかかわらず、就労日数が1日しかない、あるいは契約期間中の初日と最終日しか就労日数がないといった場合は、明らかに「社会通念上妥当」と言えないと考えられるが、そのような理解でよいか。

→ A:(答)そのようなご理解でよい。

 

また同時に以下のような点も記されています。

Q:例えば、労働契約期間内の就労時間の合計を週単位に換算した場合に概ね20時間以上あるような場合には、雇用期間が31日以上の労働契約を締結することが「社会通念上妥当」と言えるという理解でよいか。

→ A:(答)そのようなご理解でよい。

つまり労働契約が31日以上であっても実際の勤務日数が1~2日程度では社会通念上妥当とは言えず、概ね「週20時間」以上働いている必要があるという事が言えます。

日雇い派遣の判断には労働契約期間だけでなく、上記のように実際の勤務時間(日数)などにも配慮する必要があることになります。

POINT「契約期間が31日以上」+「週20時間以上の勤務」が必要

 

日雇い派遣の雇用保険の条件は?

ご存じの方も多い通り、雇用保険の加入条件は以下のようになっています。

  1. 勤務開始時から最低31日間以上働く見込みがあること
  2. 1週間あたり20時間以上働いていること

 

上記1の「勤務開始時から最低31日間以上働く見込みがあること」と、上記2の「1週間あたり20時間以上働いていること」を見ると、先ほどの日雇い派遣の時の条件と同様ですね。

つまり対象の派遣スタッフは全員が雇用保険に加入している事になります。

 

ところで日雇い労働者は雇用保険に加入できないのでしょうか。

日雇いであっても雇用保険に加入できる場合があります。

それが「日雇労働求職者給付金制度」というものです。

 

まず以下のような人は雇用保険法における「日雇労働者」に該当します。

  • 日々雇用される者
  • 30日以内の期間を定めて雇用される者

日雇労働は主に「建設現場」や「港湾運輸」などの仕事に多い働き方かと思います。

 

日雇労働者の雇用保険の加入条件は適用事業所に雇用されていればよく、契約期間や勤務時間などの条件はありません。

一般的な雇用保険と異なり自分で加入手続きをする必要がありますが、認可されれば日雇労働被保険者手帳の交付を受けられ、失業時などに一定の条件を満たせば給付金を受け取ることができます。

 

ただし以下に該当する場合には、日雇労働被保険者ではなく「一般被保険者」となり、日雇労働被保険者手帳交付の対象外となる可能性があるので確認が必要です。

連続2か月間の各月で18日以上同一の事業主に雇われた場合

 

日雇い仕事のようにその日暮らしとなる生活の場合には、仕事中のケガや事故・失業などのトラブル時の事をきちんと考えておく事も大切です。

日雇いとして勤務する上でも雇用保険の有無は大切ですので、しっかりと考えておくようにしましょう。

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日雇い派遣の例外条件は?

上述しているように日雇い派遣は原則禁止となっています。

ですが原則と言っているように、そこには「例外」が存在します。

例外事由に該当する方は日雇い派遣で働いても問題はありません。

 

例えば以下のような「適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認める業務」は日雇い派遣禁止の例外となっています。

  • ソフトウエア開発
  • 機械設計
  • 事務用機器操作
  • 通訳、翻訳、速記
  • 秘書
  • ファイリング
  • 調査
  • 財務処理
  • 取引文書作成
  • デモンストレーション
  • 添乗
  • 受付・案内
  • 研究開発
  • 事業の実施体制の企画、立案
  • 書籍等の制作・編集
  • 広告デザイン
  • OAインストラクション など

 

また以下のような条件に該当する人も日雇い派遣OKです。

  • 60歳以上の方
  • 雇用保険の適用を受けない学生
  • 年収500万円以上の方で副業として日雇派遣に従事する方
  • 世帯年収の額が500万円以上の主たる生計者以外の方

 

何でこれらの人は日雇いOKなの?という声もありそうですが、一般的に考えれば60歳以上の高齢者や学生さんは正社員として雇用される機会がほぼないため、日雇い派遣原則禁止の例外となります。

また年収500万円以上など、ある程度収入に余裕のある方であれば日雇い派遣によって生活に影響が出ることも少なそうです。

日雇い派遣禁止の目的は、日雇い労働のような雇用が不安定な人を少しでも減らしたいという意図があり、このような例外事由が定められていると思われます。

 

一部では「日雇い派遣が禁止になると今までそれで生計を立てていた人が困るのでは?」という声もありそうですが、現状ではこのような制度となっています。

最近ではこのような日雇い派遣禁止の動きを受けて「日々紹介」のような仕事形態も多いようですが、法改正を含め今後の動向を見守っていく必要がありそうですね。

 

日雇い派遣と週20時間まとめ

日雇い派遣と週20時間について幾つか挙げてみました。

上述したように日雇い派遣とみなされないためには契約期間が31日以上であったり、実質として週20時間以上の勤務が必要と言えそうです。

またこれらは「派遣」で適用されるルールであり、アルバイトやパートには適用されませんので自分に合った働き方を選択するようにしましょう。

 

また中にはルール違反となるような契約をする派遣会社の話も聞くこともあります。

もしこれから日雇い派遣のお仕事をする方は、信頼のおける派遣会社選びをする事が大切です。

こちらの記事でも日雇い派遣(派遣バイト)でおすすめの派遣会社を紹介していますので参考にしてみてください。

参考記事:短期・単発でおすすめの派遣会社は?

 

日雇い派遣のルールを守ってきちんとした職場で就業するようにしましょう。

今回は日雇い派遣と20時間について挙げてみました。

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