派遣会社は儲かる?
派遣会社は儲かる?
今回は派遣会社の設立について挙げてみたいと思います。
派遣スタッフからしてみれば派遣会社はスタッフを派遣しているだけでマージン利益を得る
事が出来るのだからラクで稼げると思う方もいるのかもしれません。確かに派遣スタッフは
派遣会社が指定する派遣先へ派遣され労働力を提供し、その対価として派遣先から派遣会社へ
派遣料金が支払われるという仕組みだけを見ればそのように感じる人も多いのでしょう。
しかし目に見えないコストや周囲を取り巻く法改正の影響等で派遣会社各社の今後の動向が注目
されつつあります。今回はそんな派遣会社の経営について触れてみたいと思います。
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派遣会社のマージン率
さて派遣社員として働く人たちの中には派遣会社のマージン率というのを見た事がある人もいるのかも
しれません。特に最近では就業条件明示書等に派遣料金を記載したりHP上にマージン率を掲載する企業が
増えてきたので意識して見るようになった人もいるでしょう。マージン率とは派遣料金から派遣スタッフの
給与を差し引いた残りの額の割合のことを指します。一般的には次のような計算で算出されます。
マージン率 = (派遣料金の平均額ー派遣労働者の賃金の平均額)÷(派遣料金の平均額)
マージン率は当然派遣会社各社で事なり、また派遣料金も業種・職種によっても開きがあります。
例えば一般的には専門職の派遣料金が高いのに対し事務所等の一般職は料金が低い傾向があります。
派遣先の必要とする労働者と雇用を希望する労働者の需給バランスからすれば自然な事と言え
会社ごとに幅はあるものの、一般的なマージン率は25~30%前後で設定している派遣会社が
多いように思います。
派遣会社の利益は?
さて派遣会社のマージン率が25~30%前後だとすれば例えば派遣スタッフの時給が1200円
だった場合、派遣先から支払われる派遣料金は1500~1600円程度と考えられます。
売上げは派遣料金ベースで考えるとしその派遣スタッフが月22日勤務で8時間労働だったとすると
1500円×8時間×22日=264000円程度の派遣料金が派遣先から支払われる事になります。
年間で考えると×12か月で3168000円です。1人のスタッフが稼ぎ出す金額は大きいですね。
ですが当然にコストについても考えなければなりません。
まずスタッフの給与を考慮すると1200円の時給ですから
1200円×8時間×22日×12か月=2534400円がスタッフの賃金になります。
3168000円ー2534000円=634000円がスタッフの給与を差し引いた金額になります。
ですが給与だけではなく社会保険も派遣会社は折半で負担しなければなりませんので、ざっくり
月2万円が派遣会社の負担とすると1年間で24万円の負担が生じます。
634000円ー240000円=394000円。仮に自社に50人のスタッフがいて同じ条件で
稼働すれば394000円×50人=1970万円となり一般のサラリーマンでは動かす事が
難しい位の大きな金額になります。
ですが当然コストはスタッフの人件費だけではなくその他の支出も考えなければなりません。
派遣会社はオフィスを構える必要がありますが事務所の設置基準要件があり、20㎡以上と決まっています。
最近の派遣会社はスタッフの登録利便性を考慮し駅近立地等にオフィスを構える事が多いので
30㎡位の約9坪の空中オフィスだとしても坪2万円位のオフィスであれば月18万円の
オフィスの家賃が発生する事になります。1年間で18万円×12か月=216万円の家賃が
発生する事になり1970万円ー216万円=1754万円。
50人のスタッフを管理する規模の派遣会社であれば営業とコーディネーター・事務員等を
含めても人員は最低5人程度は必要でしょうか。社員3名+パートさん2人で回すとしても月に
90万程度は人件費を見込むとすると。1年間で90万×12か月=1080万円。
1754万円ー1080万円=674万円が残ります。
また派遣会社である以上は求人広告を出さなければなりません。広告は1週間毎の掲載期間の求人が
多く広告サイズやプランによって異なりますが基本料枠が3万円程度として月の広告費が15万円程度
とすると年間で180万円になり諸経費や光熱費を月5万円と見込むと年間で60万円かかります。
674万円ー180万円ー60万円=434万円。月の営業利益は÷12か月で
434万円÷12か月=36万円程度が見込める事になります。あくまでシュミレーション計算ですが
簡単に儲けられるとは言えないのかもしれませんね。
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今後の派遣会社経営は?
もちろん数百名規模でスタッフを抱えている大手派遣会社はありますし、派遣先職種やマージン率
によっても大きく変動しますが、派遣会社の経営が簡単ではない事が垣間見えるような気がします。
また上記は派遣スタッフが1日も休まずに稼働した場合で計算しましたが、スタッフの中には
遅刻や突然の無断欠勤を繰り返す人もおり、当然利益にも大きく影響してきます。
やはり多くのスタッフをいかに長期間稼働させるかが派遣会社経営のポイントの1つになってきます。
また最近では中小の派遣会社を中心に廃業する会社も増え、今後その傾向は増えていくように思います。
またそもそも派遣会社を設立するには細かい設立要件があり派遣元責任者の要件や必要とされる職務内容・
欠格基準等も定めらています。また財産基準についても定めがあり500万の暫定措置を除けば
1000万~2000万円の基準ハードルを越える必要があります。またバブル期等に比較すれば
派遣先からの派遣料金も低下しており、中には社会保険を適用しない等グレーな枠を抜けられない
派遣会社もあり、引いては派遣スタッフ自身の雇用環境にも影響が出る可能性すらあります。
また今後人口の減少や改正労働者派遣法の無期転換ルール・派遣社員へのキャリアアップ支援など
派遣会社に重くのしかかる法改正の取り巻きから経営体力が乏しい中小・零細の派遣会社は増々
事業の継続が困難になる事も予想され、資本力のある大手派遣との二極化が進む事も考えられます。
派遣スタッフはシフトの融通が効いたり時には休暇を取りやすい等の利点から気軽に派遣スタッフ
として仕事を始めたいという声も多いものですが、その裏側では派遣会社間の熾烈な競争や淘汰が
進んでおり、派遣スタッフ自身としても今後の働き方について自分自身でキャリアアップを計る等の
努力が求められます。派遣というのは1つの働き方ではありますが、その与えられた仕事をいかに
今後の自分のスキルや力に繋げていけるかが大切なのかもしれませんね。
今回は派遣会社は儲かる?について挙げてみました。
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