派遣社員はマイナンバー提出は必要?大手派遣会社の反応も解説
今回は派遣社員のマイナンバー提出について挙げてみたいと思います。
すっかり浸透してきたマイナンバー制度。
派遣として就業している人の中でも既にマイナンバーを提出した人もいるのではないでしょうか。
しかし中にはマイナンバーの提出をしたくないという人もいるようですね。
今回はそんな派遣社員のマイナンバーについて触れてみたいと思います。
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目次
派遣会社にマイナンバーの提出は必要?不要?
そもそもマイナンバーとは何の事でしょうか。
少し難しい言い方になりますが、一般的なマイナンバーの意義としては国の行政機関や地方公共団体などにおいて、主には社会保障、税、災害対策の分野で利用される事となります。
このため年金・雇用保険・医療保険の手続、生活保護・児童手当その他福祉の給付、確定申告などの税の手続などで、申請書等にマイナンバーの記載を求められることとなっています。
マイナンバーは国家が国民ひとりひとりに番号を割り当てて、個人の所得や年金、納税などの情報を1つの番号に紐付して管理する目的で作られた「共通番号制度」の事で、1人1人の識別番号のようなものという事ですね。
そして派遣社員として就業する上でマイナンバーが必要とされる理由は、派遣会社側にて各種社会保険の手続きや、各市区町村へ給与支払報告を提出する際に必要になるからです。
具体的には、源泉徴収票の作成や健康保険・厚生年金・雇用保険の加入手続きをする時の事務手続きにマイナンバーが使われます。
そのため就業実績がある派遣社員においてはやはりマイナンバーの提出が必要という事になります。
マイナンバー提出を拒否できる?
さてではマイナンバーの提出を拒否できるのでしょうか。
結論から言えば、会社側にはマイナンバーを取得する義務がありますが、従業員(派遣スタッフ)側には厳密には提出義務はなく罰則もありません。
まず国の見解としては
「内閣官房」
「社会保障や税の決められた書類にマイナンバーを記載することは、法令で定められた義務であることを周知し、提供を求めてください。
それでも提供を受けられないときは、書類の提出先の機関の指示に従ってください。
「国税庁」
「法定調書作成などに際し、個人番号の提供を受けられない場合でも、安易に個人番号を記載しないで書類を提出せず、個人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務であることを伝え、提供を求めてください。
それでもなお、提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。
経過等の記録がなければ、個人番号の提供を受けていないのか、あるいは提供を受けたのに紛失したのかが判別できません。
特定個人情報保護の観点からも、経過等の記録をお願いします。
なお、法定調書などの記載対象となっている方全てが個人番号をお持ちとは限らず、そのような場合は個人番号を記載することはできませんので、個人番号の記載がないことをもって、税務署が書類を受理しないということはありません。」
簡単にまとめると、社会保障等の決められた書類にマイナンバーを記載する事は義務であり、会社側は従業員に提出を求めてくださいという事・またその提出を求めた経緯等を会社が記録や保存をしておく事などが挙げられています。
なぜ会社側が提出を求めてくるかと言うと、会社が行政に提出する各種届出や支払報告書にマイナンバーを記載することが求められるようになったからです。
マイナンバーを提出しなくても罰則の規定はありませんが、会社側は従業員からマイナンバーを取得することが義務付けられていますので、やはり派遣会社側からは提出をするように何度も催促を受ける事も多いかと思います。
派遣スタッフさんの中にはマイナンバー提出を躊躇する人もいるようですが、マイナンバーの提出をするようにしましょう。
マイナンバー提出はコピー?原本?
派遣会社によっても確認方法は異なるかと思いますが、マイナンバーを会社に提出する場合は、「本人確認と番号確認」をする事になります。
番号確認は個人番号通知カードかICチップ付きの個人番号カードの「提示」により行われ、本人確認は免許証やパスポート等の写真付き証明書の提出が求められます。
マイナンバーは原本の提示が最も原則的な方法となっていますが、提示するのにも場所が離れている等の場合に、コピーを提出してもらうというのが一般的かと思われます。
ただしコピーを提出する際にはやはり注意も必要で、会社側のマイナンバーの使用目的や管理方法が適切であるかなどの確認は必要です。
派遣会社がマイナンバーのコピーを預かるとすれば、規模によっては数万人のスタッフのコピーを預かる事になり、もししっかりとした対策が講じられていなければ会社側の管理も煩雑になったり、情報が漏洩する可能性もゼロとは言えません。
また派遣会社の中には最初から「コピー可」としている派遣会社や、番号だけ教えて欲しいという会社・マイナンバーカードの画像を添付してメール送信して欲しいという会社等もあり、その対応方法は様々です。
会社側はマイナンバーの取得について説明責任や安全に管理する責任がありますので、もし不明点があればしっかりと確認をしておきましょう。
登録をしている派遣会社の指示に従って提出をするようにしたいですね。
マイナンバーの提出は登録時?就業時?
マイナンバーは派遣会社に登録をした際に提出(提示)するのでしょうか。
もしくは実際にお仕事を開始する際に提出するのでしょうか。
これにおいても内閣府で記載があります。
Q4-2-11 人材派遣会社は、派遣登録を行う時点で、登録者のマイナンバーの提供を求めることはできますか?
A4-2-11 人材派遣会社に登録したのみでは、雇用されるかどうかは未定で個人番号関係事務の発生が予想されず、いまだ給与の源泉徴収事務等の個人番号関係事務を処理する必要性が認められるとはいえないため、原則として登録者のマイナンバーの提供を求めることはできません。
ただし、本人確認をした上でマイナンバーの提供を求める機会が登録時のみで、実際に雇用する際の給与支給条件等を決める等、近い将来雇用契約が成立する蓋然性が高いと認められる場合には、雇用契約が成立した場合に準じて、マイナンバーの提供を求めることができると解されます。
(2015年9月回答)
※内閣府HPより一部抜粋
上記にもある通り、派遣会社に登録をした時点では雇用が確定しておらず必要性が認められないためマイナンバーの提供を求める事はできず、基本的には「就業開始時」に提供を求めるといった対応が一般的なようですね。
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各大手派遣会社のマイナンバーへの反応は?
それでは各大手派遣会社はマイナンバーへの対応はどのようになっているのでしょうか。
テンプスタッフでは利用規約の「手続き前の確認事項」にて以下の記載があります。
1.就業を開始する際には「誓約書」および「マイナンバー(個人番号)」の提出が必要です。
※テンプスタッフ「手続き前の確認事項」より一部抜粋
テンプスタッフでは登録時には派遣登録時にはマイナンバーの提出は不要ですが、お仕事を始める際に提出が必要となっています。
パソナでは「ご就業中の皆様へ」にて以下の記載があります。
お仕事に就かれるとき等には、パソナにマイナンバーをご提示ください。
2016年1月以降、民間企業も、社員の健康保険・厚生年金、雇用保険の諸手続きを行ったり、社員のお給与から源泉徴収して税金を納めたりする場合に、マイナンバーが必要となります。
※パソナ 「ご就業中の皆様へ」より一部抜粋
やはりパソナでも実際に仕事を開始する際にマイナンバーの提示が必要となっています。
スタッフサービスではマイナンバーについて直接確認をした所、派遣就業開始時に「通知カード」「個人番号カード」などの写しが必要という事でした。
やはりスタッフサービスにおいてもマイナンバーが必要という事になります。
マイナビスタッフでは「マイナンバーの提出について」にて以下の記載があります。
2016 年1 月から、健康保険・厚生年金・雇用保険の加入手続きを行ったり、給与から源泉徴収して税金を納めたりする場合に、皆様のマイナンバーが必要となります。
※マイナビスタッフ 「マイナンバーの提出について」より一部抜粋
やはり大手派遣会社を始め、多くの派遣会社にてマイナンバーの提出(提示)が求められている事が分かります。
提出をするのは派遣会社?派遣先?
マイナンバーは派遣先ではなく、「派遣会社」に提出をする事になります。
派遣社員の雇用主は派遣会社であってスタッフの年末調整や社会保険手続きを行うのも派遣会社です。
派遣先は派遣料金を派遣会社に支払いますがそれは派遣社員のお給料ではありません。
派遣先は自社の社員等のマイナンバーを収集する必要はありますが、派遣社員のマイナンバーを収集する必要はない事になります。
マイナンバーはどこで受け取れる?
マイナンバーの受取先は、マイナンバーカードが送られてきていて既に受け取っていればそれを持って番号が分かります。
もしくは市役所で番号記載のある住民票を発行してもらう事も出来ます。
その場合には200~300円程度の発行手数料が必要になります。
派遣現場での実際の対応はどうなってる?
マイナンバーの収集がどうなっているかと言えば、実際には派遣会社によってその対応は様々な所です。
マイナンバーを積極的に収集している派遣会社もあれば、さほどしつこくは催促してこない会社・中には派遣社員の任意としている派遣会社も中にはあるようです。
中には提出をするまで担当者から数カ月に渡り何度も留守電にメッセージが入っていたという事もあります。
またマイナンバーカードの画像を添付してメール送信して欲しいという会社もあれば、番号だけ教えて欲しいという会社・仕事開始時に番号収集を求めたり会社規則でマイナンバー収集を規定している派遣会社もあります。
マイナンバーを拒否して席を立ったスタッフ
以前に千葉の短期のお仕事でスタッフさんが駅から15分ほどのオフィスの1つの場所に集合させられました。
その時は8名ほどでしたが、その場所で登録シートの記入や派遣の説明・就業時の仕事内容の説明などがなされる予定でした。
実際に担当者から説明が始まり、書類記入の案内をしている時にマイナンバーの説明が併せてなされました。
ですがその時に1人の中年の男性が手を上げ、皆が記入を進める中、マイナンバーの提出について小声で担当者に幾つか質問をしていました。
どうやらそのスタッフは短期の仕事であればマイナンバーの提出は不要と考えていたようです。
数分質問をして、派遣会社側が原則として提出を求めている事を話され、その男性スタッフは提出を拒否しその仕事を辞退し、部屋から退出しました。
マイナンバーについて会社側の見解は様々ですが、派遣スタッフ側としても副業がバレるのではないかとか、必要以上に自分の情報を収集されたくないというスタッフもいるようです。
派遣会社へのマイナンバーの提出まとめ
マイナンバーについてはそれぞれの見解や考え方があるようですが、基本的には派遣社員の場合には就業時に提出が必要となります。
そのためマイナンバーの拒否は原則として出来ないものと考えておいた方が良いでしょう。
確かにスタッフ側とすればあまりメリットは感じられないような部分もありますし、情報を探られるような気もして乗り気でない人もいるようですが、とは言えみんなが社会保険制度を円滑に利用していく為にも必要とされる事だと思います。
マイナンバーの提出は早めに準備をしておくようにしたいですね。
今回は派遣社員のマイナンバー提出について挙げてみました。
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