派遣で「半休」が取れない理由?

女性の写真

今回は派遣社員の半休について挙げてみたいと思います。

リフレッシュのためにも大切に使いたい有休休暇。

また会社の中には半休制度が設けられている所もあります。

時間を効率的に使いたい人や、ちょっとした仕事を片付けて帰宅したい時など

半休が使えると便利と思う人も多いのではないでしょうか。

スポンサーリンク

半休とは?

半休という言葉を聞いて、もしかしたら初耳という人もいるかもしれません。

一般的には有休休暇は1日単位で取る事がどの会社でも多いかと思います。

しかし労働者の中には半日だけ休暇を取りたい・午前だけ仕事をして午後には帰宅したいといったように様々な希望があり、有休休暇のおよそ半日分を取得するものが半休という事になります。
確かに半休が認められる事になれば休暇の使い方の幅が広がる事になりますし、それにより休日の過ごし方にも変化を付ける事が可能かと思います。

 

ですがこの半休は、実際には労働基準法の中には具体的な定めはありません
半休に関するルールは法律上で定められたものではなく、労使間で決めるルールと言えます。

行政解釈としてもこの半休については「年次有給休暇は1労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない」としており、使用者(会社側)には半休まで認める義務はないとしています。
つまりは労働者(派遣スタッフ)が半休を希望して、派遣会社がそれをOKとすれば、派遣社員でも半休を取得できるという事です。

 

また半休に法律的な定めはないとは言え、ルール無用で何でもアリかと言えばそうではありません。
半休と言えど、本質的には有休休暇と同様に考え、例えば労働者が不利になるような条件(例えば半休を1日分の有休消化として扱う等)を付する事はやはり違法となる可能性があります。

 

またもちろん頻繁に派遣スタッフ側が自由に半休を取得できるとなると、実際の就業先である派遣先でも仕事に支障が出る可能性もゼロではない事から、派遣先の意向も組んで決定する事になるかと思いますが、あくまで半休の決定権は雇用主である派遣会社側にあると言えます。

 

派遣で半休が取れない理由?

働く女性

半休が認められれば派遣スタッフにとっても休暇の使い方の幅が広がりそうですし、また半休を認めている派遣会社は少数かと思いますので、派遣会社からしても他社への差別化やPRにもなりそうな気もします。
しかし実際には半休はほとんどの派遣会社で認められていません。

まず理由として考えられるのは有休休暇の残日数の管理給与計算が煩雑になる可能性が挙げられます。
労働基準法では有休(半休)取得した日に支払う給与の計算方法が3つ程あり、この3つのうちで自社で採用する給与計算方法を決めておく必要があります。

①平均賃金での計算
②普段通りの給与計算
③健康保険の標準報酬日額での計算

派遣社員において考えてみると、この中で派遣会社が半休の給与計算として一番導入しやすいのは②普段通りの給与計算(時給での計算)という事になるかと思います。
この場合は通常通り勤務したものとして計算をするので、他計算方法と比べれば複雑な給与計算は必要とされないかもしれません。

 

しかしとは言っても有休は労働者が申請して消化されるものであり、申請をされてその都度計算をする必要があり、各スタッフ毎に有給と半休それぞれを管理をするのは派遣会社にとっても手間になる事でしょう。

また時間区切りで働く事が多い派遣スタッフにおいては、半休とは言っても午前・午後のどちらで半休を取得したのかによって半休の定義が異なる可能性もあります。

例えばスタッフの勤務時間が午前9時~午後17時の7時間勤務であった場合、午前(9~12時)=3時間・午後(13~17時)=4時間といったように時間差があり、これは法律的には問題はないものの、どちらの半休を取得するのかで少しの不公平感が生じる可能性があるように思います。

午前午後どちらでも0.5日の消化という運用であれば不公平感は消化されやすいですし、もしくは半休を取得した場合には午前午後それぞれの勤務時間を平等になるように変更する(例えば午後勤務を13→14時開始に変更する)等して対応をする事もできますが、それでもその他にも勤怠の集計や有休残日数の管理・残業管理の煩雑さを考えれば、やはり1日単位での取得をしてもらった方が派遣会社としても有難いというのが本音ではないでしょうか。

 

また半休制度を導入する上では実際の就業先である派遣先への影響も考えておく必要があります。

派遣先としてはその日毎に人員の穴埋めの形でスタッフを配置している所も多いかと思いますので、スタッフの都合で半日で帰宅されては人員調整が付きづらくなるケースもありますし、シフトを考慮する派遣先としても計画を組みづらくなります。
かと言って半休を使用するには派遣先の都合に合わせなければならないというルールにしてしまうと、そもそもの有給の意義からも外れてきますし、半休としての使い勝手も悪くなる可能性もあります。

会社によっては半休の使用回数制限を設けていたり、夏季や冬季等に限定して使用を認めている会社もあるようですが、そこまでしてまで半休取得のニーズがあるかどうかと言えば、少し疑問も残ります。

 

またいくら半休の有無を派遣会社が決定するとは言っても、職場での実質的な決定権は派遣先が握っているようなケースも多いので、派遣会社としてもなかなか簡単には半休制度を打診しにくい部分もあるのでしょう。

スポンサーリンク

半休を取得して残業したらどうなる?

それでは半休を取って残業をした場合はどうなるのでしょうか。

例えば先ほどの例を挙げると、9時~17時勤務の人が、午前の半休を取り、午後13時から出社をしたとします。
時給は1500円の仮定です。

本来であれば13時~17時までの勤務となりますが、少し頑張って18時まで残業をしたとします(1時間の残業)。

この場合残業代は発生するのかしないのか、もしくは残業代に+25%の割増賃金が付くのかが考え所になります。

 

結果としては1500円分(1時間の時給分)だけ残業代が発生する事になります。
割増賃金については上記の例で言えば8時間以上勤務していない訳ですから、25%の割り増しとはなりません。
単純に13~18時まで働いたのと同様という事ですね。

半休でやりたい あんな事・こんな事

もしも半休が取得できたらどのような事が出来るでしょうか。空想の中で考えてみます。

  • 髪を切りに行きたい
  • 役所に行きたい
  • たまっているDVD一気に観たい
  • ショッピングに行きたい
  • 子供と遊ぶ時間を取りたい
  • 料理に没頭したい
  • 人生設計の見直し
  • メイクを変えてみる
  • ペットのトリミング
  • 会社周辺から日帰りドライブに出発
  • 金曜の午後から半休取って三連休にしたい
  • 断捨離で部屋の掃除
  • 実家に顔を見せに行く(親孝行)

 

パッと思いついた事を挙げてみました。
こうしてみると半日の休みでできる事って、意外に少ないのかもしれませんね。

というより半日の休暇の使い方に慣れていないから、レパートリーが少ないのかもしれません。
半休が一般的になれば、もっと種類も増えていきそうです。

半休を取る言い訳

有給休暇はスタッフが申請をすればいつでも取得できるものですが、とは言え派遣先に対しての最低限の配慮は必要と言えます。

また通常の1日の有給休暇と半休を比較すると、個人的には意外と半休の方が取得しずらいようなイメージがあります。
それはきっと有給は一般にも広く浸透しているのに対し、半休はまだまだ一部の会社にしか普及しておらず、馴染みの薄い制度だからなのかもしれません。

そのため出来るだけ波風を立てずに半休を取得するために何かしらの理由付けをしたいという人も中にはいるでしょう。

それでは半休を取得する際の会社への言い訳はどのようなものがあるでしょうか。

 

家族の体調不良

欠勤をする時などにもよく聞く事情ではありますが、突発的な家族の体調不良を理由としたケースです。
「子供が急に体調を崩してしまった為、午後は休ませて欲しい」といったケースが考えられます。

 

役所に行かなければならない

役所に書類を取得しに行かなければならない等のケースです。
「今日までに印鑑証明書を取りに行かなければならない」といったように、多少の緊急性も感じられる為、
有給や半休を取りやすい理由とも考えられます。
特に役所は平日・夕方までの営業であるため、会社が休みの土日には取得しずらいといった事情もあります。

 

子供の行事

子供の行事やPTA参加を理由としたケースです。特に行事・催事関係は出席しないと周囲との関係が悪化する場合もあるため、保護者として参加しておきたいという事情が考えられます。他にも行事や会としては例えば自治会への参加・マンション等の組合決議など、考え方によって様々存在します。

 

立ち合いが必要

家での立ち合いが必要というケースです。例えばガス機器が故障し、点検修理のため家での立ち合いが必要といった場合が考えられます。午後から点検員が来るので…といったケースがよくあるケースでしょう。

 

親の介護

介護というのはスタッフさんの様々な言い訳の中で特によく聞くフレーズになりました。本当に介護が必要なケースもあるとは思いますが、欠勤時・遅刻時など色々なシーンでこの理由が聞かれます。親の介護が必要…午後からヘルパーさんが来るから…等、幾つかのケースが考えられます。

 

免許・資格の更新

免許証や資格の更新手続きのために半休を取りたいというケースです。更新手続き自体は短時間で済むものの、日にちが限られている事が多いため、午後から半休を使用して手続きをしておきたいという場合が考えられます。

 

いずれの言い訳にしても、「短時間で済ませられる用だが丸1日有給を取るほどでもない」といった事情が目立つように思います。しかしよく本音と建て前とは言いますが、できるだけウソは付かずに正直に申請したいものです。

 

半休の優越感

半休が取れるとなれば、皆さんは午前・午後どちらの半休を取りたいでしょうか。

個人的な好みもあるかとおもいますが、恐らくは午後からの半休を取りたいという人が多いように思います。

もちろんその理由としては家庭の事情や、プライベートな都合がある場合もあるのかもしれませんが、それ以外にも午後半休にはちょっとした”優越感”があります。

帰宅時にまだ皆が仕事をしている最中に「午後から半休だから」と言ってそっと抜け出す優越感はなかなか味わえないものです。
または帰宅時にも多くのサラリーマンがあくせく歩いている中、自分だけが午後からゆったり休めるという優越感もあるでしょう。(くだらない?)

 

半休というのは主に使用者側の事務手続きが煩雑になるという理由から、なかなか普及しない事も多いものですが、これだけ取得希望者が増えている今の状況下では、もう少し積極的な運用を検討しても良いかなという気もします。

難しい問題ではありますが、今後少しでも半休を取得できる会社が増えてくれば、労働者の働き方にも少しのゆとりが出てくるようにも思います。

今回は派遣社員の半休取得について挙げてみました。

スポンサーリンク