派遣の仕事でうつ病になった?

派遣の仕事でうつ病になった?

 

今回は派遣社員の鬱病(うつ病)について挙げてみたいと思います。

不景気や働き方の多様化など、労働環境がめまぐるしく変化していく中で、職場にストレスを

感じている人も増えています。昔のような終身雇用制度は崩れ、将来的な退職金も見込めず実力主義へと

移行していく中、会社の体制に付いていけず将来の自分の身の振り方に悩み、ついにはうつ病を発症して

しまう人も中にはいます。これは正社員等に限った話ではなく、派遣社員のような非正規にも言える事

です。特に今後は正規雇用を減らし派遣社員のような非正規を増やしていく企業が増えていく中で、

スタッフ間に更なるストレスの連鎖が生じていく可能性も考えられます。

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派遣社員がうつ病を発症する原因

まず派遣社員がうつ病を発症してしまう原因について考えてみたいと思います。

うつ病を発症する場合というのは人それぞれで遺伝的要員でうつ病を発症する人もいますが

日常のストレスが引き金になってうつ病を発症する人もいます。またストレスと一言に言っても

「環境の変化から来るストレス」と「人間関係から来るストレス」があると言われています。

派遣社員にあてはめて考えてみると確かに派遣は契約期間を区切って様々な職場を転々とする人も多く

任される仕事もその都度変化を迫られる事も多いものです。また本来は派遣の仕事は派遣先の指揮命令者が

指示をするものですが、実際には派遣先の複数の社員がランダムに派遣スタッフに指示を出してくるような

ケースも多く、またその対応も雑な扱いをされる職場もあります。多少嫌なことがあったとしてもいつ契約を

切られるかわからないという不安感から自分の主張を表に出す事もままならず、ストレスを溜め込んで

いるスタッフさんも多い事でしょう。

またうつ病が発覚すると派遣先や派遣会社がまず注視するのはそのスタッフに対して過重労働があったか

どうかという点に注目しがちですが、派遣スタッフにとってのストレスは過重労働だけではありません。

例えば仕事のやり方が分からなくて周囲の社員に聞く人がおらず仕事が思うように進められなければ

それもストレスになり得ますし、自分が想定した以上のスキルの高い仕事を任されれば、そこには重い

プレッシャーがのしかかる事もあります。また派遣社員は即戦力と捉われている一面もあり、前任者から

十分な仕事の引継ぎ指導がなされずに仕事だけを任され、知識がないままに仕事を進行していく場合等も

大きなストレスとなるでしょう。

また上記のようなケースは派遣先も気付かずに無意識に発生した原因の場合も多いものですが

派遣先企業によっては故意に派遣社員をストレス発散のターゲットとしているような職場さえも中には

あると聞きます。例えば派遣先の正社員がストレスが溜まった時に、自分よりも立場の弱い派遣社員に狙いを

付けて、自分のストレスを派遣にぶつけるような格好です。昨今では正社員とは言え成果主義が進んでおり

思うような待遇も得られず、社員間の人間関係が崩壊しているような派遣先職場も中にはあります。

社員からストレスをぶつけられたとしても派遣社員は相談先がない・クビ切り対象にされるのが嫌で言われるが

まま・セクハラを受けても何も言えないといったように、職場での立場の弱さから自分の主張さえ押し殺さな

ければならないケースさえあります。そしてこれらの耐え切れないストレスが過大となり、結果的にうつ病などの

病気発症の引き金になる可能性があるという事は言えるでしょう。

またうつ病を発症しやすい人の特徴として「まじめな人」「女性」という共通点があります。

特に派遣社員はほとんどが女性で構成されており、派遣先企業では社員など周囲の目を気にしながら仕事を

しなければならない事も多い為、必要以上に気配りが必要な時もあれば、周囲の評価を気にしなければ

ならない事もあります。派遣社員は特にうつ病を発症するリスクと隣り合わせという事は意識しておいても

良いのかもしれません。

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派遣会社や派遣先の対応は?

さてこのようにうつ病を発症してしまうような環境下にあるスタッフに対して、派遣会社や派遣先は

どのような手立てを打つ事が出来るでしょうか。特に派遣スタッフは職場でも孤立してしまうような

ケースが多く、派遣会社や派遣先がその兆候を見つけて対策を練っていく必要があると思われます。

まず考えられる事はスタッフのすぐ傍に相談できる人物を配置しておく事が考えられます。

派遣スタッフは上司に相談をしにくい・実はよく業務を理解していないが手探りで仕事を進めて

しまっているという事も少なくありません。また相談相手がいないだけに自分だけで業務を進めてしまい、

その結果ミスを犯し後々に上司からお叱りを受けたり残業を強いられるといった状況に陥る事もある

でしょう。このような悪循環が派遣スタッフのストレスに繋がっている事は十分に起こり得ます。

仕事の点でも職場環境の点でも相談相手が傍にいれば派遣スタッフとしても心の拠り所ができ、自分の判断

だけで仕事をしていた時と比べれば、ある程度環境は改善されるかと思います。

また派遣先の指揮命令者や派遣先責任者も普段からスタッフとコミュニケーションを取り、いつでも苦情や

相談を気軽に受け付けられる体制を整備しておく事は必要かと思います。スタッフの普段の仕事ぶりや体調の

変化などに気を配り、問題が発生する兆候が見えた時には、派遣会社側とも連携を取って問題改善に取り組んで

いくべきでしょう。

傷病手当金の活用

自分ではうつ病にはかからないと思っていたつもりでも、実際にはうつ病に発症していたという事も

考えられます。またうつ病の症状が徐々に出てきて、発症を把握したという人もいるでしょう。

このように派遣社員がうつ病を発症してしまった場合、どうすれば良いでしょうか。

色々な考え方があるかと思いますが、個人的には無理に仕事を続ける事はお勧めできません。

うつ病を発症するというのはそれほど身体に負荷かかかっている事が考えられますし、うつ病を

一度発症してしまうと完治するのも難しく、療養も長期間に及ぶことが多いからです。

派遣のお仕事に責任感を持って取り組んでいるのは立派な事かとは思いますが、それと健康とは

別に考えなくてはなりません。派遣のお仕事は体調が復帰してからでも新たに始められますので

その仕事を断念することも検討した方が良いように思います。

またせっかく普段から保険料を支払っている訳ですから「休職制度」を利用する事も考えられます。

例えば健康保険料を支払っていれば傷病手当金(病気や怪我で休んだ時に生活費を保障する制度)を

もらえる可能性があります。この傷病手当金はうつ病にももちろん適用され、手続きとしては

精神科や心療内科などのお医者さんでうつ病などのメンタルヘルス不調を専門に診てくれる医師に

療養が必要な旨の診断書を書いてもらい、派遣会社の総務などに傷病手当金を受けたい旨を伝えれば

手続きをしてもらう事ができると思います。このような制度を利用せずに身体にムチを打って無理やり

職場に向かおうとするスタッフさんもおり、その根性や気持ちの強さは認める部分はありますが、

やはり健康を害してしまっては元も子もありません。傷病手当金の支給額は普段のお給料の約6割くらい

になるかと思いますが、手当金で支給されるお金には税金を課されませんし社会保険料も引かれないので

普段の手取り額に近いくらいの金額を受け取れる可能性もあります。せっかくこのような休職制度がある

訳ですから、うつ病を含め、もし自分が病気や怪我を発症してしまった時には利用を考えておきたいですね。

今回は派遣の仕事でうつ病になったケースについて挙げてみました。

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