派遣のスキル不足を理由に契約解除できる?

今回は派遣のスキル不足による契約解除について取り上げてみたいと思います。

「派遣社員は即戦力」そんな言葉を期待して、派遣先企業は派遣社員を受け入れます。

ですが実際には、スタッフによってスキルや力量は様々。必ずしも派遣先企業の希望通りの人材が派遣されるとは限りません。

そんな時、企業側としては「契約を解除してしまいたい」「他の派遣社員と交代して欲しい」といった要望を持つ方もいることでしょう。

派遣のスキル不足を理由に契約解除される事はあるのでしょうか。

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派遣のスキル不足はなぜ起こる?

通常、派遣会社が人材を紹介する際には、企業側に対してヒアリングが行われます。

そのヒアリング内容を元に、派遣会社側はどのように人材をマッチングしていくのか検討します。

登録スタッフの中から手配するのか・それとも新たに募集をかけてより適した人材を探すのか等、派遣会社によってそのアプローチ方法は様々です。

 

ですが残念ながら、必ずしも企業が希望するオーダー通りの人材が派遣されるとは限りません。

時には派遣先企業からスタッフのスキル不足の理由により以下のような不満・苦情が生じることがあります。

  • 希望していたOAスキルが無い
  • あまりにも仕事スピードが遅い
  • 業務上のケアレスミスが多い
  • 取引先との信頼関係が壊れた

 

上記のような不満を持ちつつも企業側とスタッフには直接の雇用関係がないため、思い通りの対処ができず企業側は手を焼いてしまう事もあります。

 

また派遣社員の場合、その特殊な形態からスキル不足によるトラブルが起こりやすいとも言えます。

派遣社員の受け入れでミスマッチが生じる原因には、以下のような理由が考えられます。

  • 派遣先企業へのヒアリング不足(事前に派遣会社担当者と派遣先企業で十分なコミュニケーションが取れていない)
  • 事前面接の禁止(どのような人材が派遣されるか企業側は予測が付きにくい)
  • 派遣登録時のスタッフへのスキルチェック測定が不十分(派遣会社がスタッフの適性を見極めきれていない)
  • 派遣社員が自身のスキルについて虚偽の報告をしていた場合
  • 給与や待遇について、企業側とスタッフの間で認識が違っている(スキルに見合った報酬が支払われていない→雇用条件のミスマッチ)
  • 人員調整が上手くつかず、派遣会社がスキル不十分なスタッフを派遣している(スキル・能力のミスマッチ)
  • (スキル以外にも)派遣先の職場の雰囲気・人間関係が影響しているケース等(労働環境のミスマッチ)

 

そのためもし一定レベル以上のスキルを求めるのであればその水準を明確にした上で、派遣契約を締結する前に担当者としっかりと打合せを重ねておく事が大切です。

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派遣のスキル不足により契約解除できる?

派遣社員がスキル不足の場合、契約解除することは出来るのでしょうか。

企業側が求めた一定水準のスキルをスタッフが保有していない場合、すぐにでも辞めてもらいたいと考える担当者もいるのかもしれません。

 

ですがまず最初に整理しておかなければならない事は、派遣先企業と派遣社員の間には”雇用関係はない”という事です。

あくまで派遣会社と派遣先企業が「労働者派遣契約」を結んでいるに留まり、その労働者派遣契約を中途解除できる条件も、通常はその契約内において定められます。

 

また原則としては途中で派遣契約を解除することは難しく、倒産など特別な事情がない限り一方的な契約解除は困難です。

もし契約解除できる場合であっても、休業手当や残余期間の派遣料金など相応の負担を求められる事が一般的です。

例え派遣社員の「スキル不足」が原因で解約したい場合であっても、労働者派遣契約の契約解除が認められる可能性は低く、他スタッフへの交代要請や当スタッフへの教育・指導などに留まるケースが多いかと思います。

 

また万が一契約解除をできる場合であっても、「派遣会社の合意を得ること」や「相当の猶予期間を設けて契約解除を申し入れること」「派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること」等にも留意しなければなりません。

派遣の導入は緊急時の雇用や即戦力の人材確保に有効ですが、一方ではスキル不足等を理由に契約解除する場合でも、企業側は一定の義務を負うことになります。

そのような事態にならぬよう、やはり契約前に担当者と入念にコミュニケーションを取って、適切な人材を確保してもらう事が大切です。

 

派遣をスキル不足で辞めたい?

上記では主に企業側の立場から説明をしてきました。

ですが派遣スタッフ側の立場からしても、「スキル不足を理由に辞めたい」と感じる人は意外に多いようです。

 

例えば以下のようなケースが考えられます。

  • 上司から指示される仕事をこなせない
  • 周囲のスタッフの業務レベルに付いていけない
  • 営業担当から「未経験でも大丈夫」と聞いていた
  • 「スキルが不足しているから時給を下げる」と言われた
  • 職場の足手まといになっている etc..

 

様々な理由により、辞めてしまいたいと考える派遣社員が多くいます。

 

ですが特別な事情がない限り、会社を辞める必要はありません。

あなたは自身のスキルはあらかじめ派遣会社に報告しており、その上で社内選考を通りマッチングされ企業に派遣されています。

もしミスマッチがあったとしても、スタッフ交代や損害賠償を含め、それは基本的には派遣会社と派遣先企業の話し合いの元で解決する問題と言えます。

明らかな能力不足であればまだしも、多少のスキル不足であれば業務を通してスキルを少しずつ上げていく事も十分に可能です。

 

また万が一契約解除される場合であっても、企業側は30日前に予告をしなければならず、少なくとも30日分以上の賃金の相当する額について補償をする必要があります。

派遣の場合にはこのようなトラブルがどうしても起きがちですが、解決が難しい場合には派遣会社の担当者にも相談をしながら、じっくりと解決を図っていくようにしたいですね。

 

派遣のスキル不足による契約解除まとめ

派遣のスキル不足による契約解除について幾つか挙げてみました。

派遣社員の導入には様々なトラブルが発生することがあります。

事前面接・派遣料金・スタッフ教育・解雇など、予測もしなかった事態に巻き込まれる事もあるでしょう。

ですがどのような問題においても、あらかじめ当事者同士による綿密なコミュニケーションが取れていれば防止できる事も多い筈。

スキル不足だからと安易な交代や契約解除を求めず、まずはスタッフとの意思疎通から見直してみるのはいかがでしょうか。

今回は派遣のスキル不足による契約解除について取り上げてみました。

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