派遣社員がインフルエンザにかかったら?

今回は派遣社員とインフルエンザについて挙げてみたいと思います。

毎年この冬の時期になると多くなってくる病気がインフルエンザ。

既に病院に予防接種に行った人も多いのではないでしょうか。

派遣社員の場合、派遣先によっては緊急要因として派遣されている事もあり、インフルエンザにかかったら早めの対処が必要な場合もあります。

今回はそんな派遣社員とインフルエンザについて挙げてみます。

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派遣社員がインフルエンザにかかった時は?

厚生労働省の発表によると、9月9日から15日までの1週間だけでも昨年の同時期の患者数の8.7倍に達しているとの事。

それだけ今季のインフルエンザの怖さを感じます。

病院によってはワクチン不足も懸念されるため、気になる方は早めの予防接種を受けた方が良いのかもしれません。

インフルエンザにかかると概ね一週間程度は療養が必要であり、派遣社員の場合には時給制で働くケースが多いため、休むと収入にも影響が出やすい事から普段からの体調管理・予防は大切です。

 

さて派遣社員がインフルエンザにかかってしまった場合、どのような対応をすれば良いでしょうか。

まずインフルエンザにかかってしまった場合、無理をして出社をしてはいけません。

身体を休めて安静にする事はもちろんですが、インフルエンザにかかりながら出社をすると周囲に感染してしまう可能性があります。

 

また感染症等にかかった労働者の就業を禁止するものとして、以下のような法律もあります(季節性インフルエンザには適用なし)

労働者安全衛生法第68条

(病者の就業禁止)事業者は、伝染病の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかった労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない。

感染症法18条

(就業制限) 都道府県知事は、一類感染症の患者及び二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者又は無症状病原体保有者に係る第十二条第一項の規定による届出を受けた場合において、当該感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該者又はその保護者に対し、当該届出の内容その他の厚生労働省令で定める事項を書面により通知することができる。

2 前項に規定する患者及び無症状病原体保有者は、当該者又はその保護者が同項の規定による通知を受けた場合には、感染症を公衆にまん延させるおそれがある業務として感染症ごとに厚生労働省令で定める業務に、そのおそれがなくなるまでの期間として感染症ごとに厚生労働省令で定める期間従事してはならない。

特に派遣社員の場合には「契約を打ち切られたくない」「休むと給料が減ってしまう」といった事情から、中にはインフルエンザを隠してでも出社しようとする人もいるかもしれませんが、決して無理は禁物です。

また派遣会社側としても社員の安全に配慮する義務があり、社内でのウイルス蔓延を防ぐように配慮しなければなりません。

 

もし派遣社員がインフルエンザにかかってしまった場合、まずは就業先である派遣先会社と雇用主である派遣会社に速やかに連絡をするようにします。

順番としては派遣先担当者→派遣会社に連絡を入れれば良いでしょう。

また症状によっては会社から、医師の診断書を求められるケースもあるかと思います。

診断書の費用は概ね2000~5000円程度です(病院側が設定できる)

 

診断書がないと自己欠勤と扱われてしまいますので、派遣会社から指示があった場合には発行しておいた方が良いかと思います。

またインフルエンザの場合には期間が長引いてしまう為、症状や復帰時期についてこまめに担当者等に連絡を入れておいた方が良いでしょう。

 

インフルエンザに有給を使いたくない?

インフルエンザなど病気にかかってしまった場合、単純に休んでしまうとその期間は無給になってしまいます。

派遣社員として半年以上真面目に勤務してきた方であれば、有給が何日も溜まっているスタッフさんもいるのかもしれません。

有給を消化するのはもちろん労働者の権利ですし、診断書も不要なので病気時に有給を消化している方も多いかと思います。

 

ですが本来で言えば、有給はリフレッシュ休暇のようなもの。

できればインフルエンザの時に有給を使いたくないという方もいるでしょう。

もちろん病気だからと言って必ずしも有給を消化しなければならない訳ではありません。

休んだ日は無給にはなりますが、有給を消化せずに休んでも構いません。

 

また中には既に有給を使い切ってしまった方や、入社して間もないために有給がない方もいます。

インフルエンザなど、病気や怪我で仕事を休んだ時には健康保険の「傷病手当金」の制度が利用できる場合があります。

連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかった場合には、給与日額の3分の2程度の手当金を受け取れる制度です。

傷病手当金は正社員・派遣社員など問わず申請することが出来ますが、特に派遣社員の場合には傷病手当金を活用する機会が少ないようにも思いますので、制度の1つとして覚えておいても良いでしょう。

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派遣はインフルエンザで傷病手当金を受け取れる?

上述したように派遣社員がインフルエンザにかかってしまった場合、支給条件を満たしていれば傷病手当金を受け取れる場合があります。

 

傷病手当金の支給は、以下の条件を全て満たしている必要があります。

  • 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
  • 仕事に就くことができないこと
  • 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
  • 休業した期間について給与の支払いがないこと

 

また以下のような場合には、傷病手当金の一部または全部が調整される可能性があるので注意が必要です。

  • 給与の支払いがあった場合
  • 障害厚生年金または障害手当金を受けている場合
  • 老齢退職年金を受けている場合
  • 労災保険から休業補償給付を受けていた(受けている)場合
  • 出産手当金を同時に受けられるとき

※全国健康保険協会HPより一部引用

それでは傷病手当金で実際にいくらもらえるのでしょうか。

傷病手当金は標準報酬日額の3分の2の金額が一日毎に支給されます(休んで4日目以降の日に対して支給)。

例えば日給(標準報酬日額)が10000円の派遣スタッフの場合、10000円×2/3=6667となり、1日あたり6667円の傷病手当金が支給されると考えられます。

さすがに満額とまではいきませんが、2/3支給されるだけでも助かります。

 

ですが傷病手当金の支給条件を満たしている場合であっても、申請がスムーズにいかない場合も想定されます。

派遣社員が傷病手当金の申請をするケースは意外に少なく、もし派遣会社の担当者にその旨を話しても「?」と首をかしげられてしまうような事もあるかもしれません。

ですが傷病手当金の申請書は4枚セットになっており、3枚目では会社側に欠勤について証明をしてもらう必要があるので、申請には会社側の協力が必要です。

もし担当者が傷病手当金について知らなかった場合には、事情をきちんと説明した上で申請を進めていきましょう。

またインフルエンザなど病気・欠勤時の対応は各派遣会社で異なるケースもあるため、普段から就業規則や就業ルールによく目を通しておく事も大切ですね。

 

派遣がインフルエンザでクビになったら?

派遣社員がインフルエンザで休んだ場合、クビになる事はあるのでしょうか。

確かに5~7日くらい休むとなると、解雇や雇い止めを不安に思うスタッフさんもいるのかもしれません。

 

本来で言えば、病気で休んだからと言って簡単に解雇ができるものではありません。

解雇をする合理的な理由が必要であり、会社の就業規則や病欠制度の内容についても確認をする必要があります。

長期的に復帰が難しい病気や業務に耐えられない病気であればまだしも、インフルエンザのように回復可能な病気でクビにする事は不当のようにも考えられます。

本人がきちんと連絡をしていたにも関わらず、インフルエンザでクビになってしまうのは酷な話です。

 

ですが現実を言えば、病気や休養から派遣をクビになってしまう可能性はゼロとは言えません。

実際に病気の事情を説明していたにも関わらず、契約が打ち切りになってしまった例もあります。

もしくは例えば会社の規則に従わずインフルエンザである事を隠して出社をした場合には、就業規則違反と捉えられる場合もあるかもしれません。

特にスタッフの替えが効きにくい少人数の派遣先で働いている場合には、病欠による影響が大きいため要注意と言えるでしょう。

 

何日も無断欠勤が続いているなど特別な場合を除き、ケースによっては不当解雇の可能性もあります。

もし解雇や雇い止めに納得がいかない場合には、労基署や労働相談コーナー等に相談をしてみるのも良いでしょう。

また普段から派遣先や派遣会社担当者との人間関係を良好に保っておく事も大切かもしれませんね。

 

それってインフルエンザ・ハラスメント?

会社内で働く上では、職場によってはいじめや嫌がらせを受けてしまう事もあります。

中にはセクハラ・パワハラ・モラハラなど、人が嫌がるような行為を平気で行うような上司が一部ではいるものです。

 

インフルエンザも感染症の1つ。

ひょっとしたらインフルエンザがハラスメントのきっかけになるケースもあるかもしれません。

最近の新語として「インフルエンザ・ハラスメント」という言葉もあるようですが、その一例として以下のような理不尽な上司の発言が挙げられます。

  • (インフルエンザと言っているのに)「出社して来い」
  • 「忙しい時期なのにみんな迷惑している」
  • 「気合が足りていない」
  • 「体調管理ができていないから病気になるんだ!」
  • 「マスクを2枚重ねにすれば大丈夫」
  • (完治しているのに)「感染するからまだ出社しなくて良い」
  • インフルエンザで休んだ日数分を復帰後に無給で働かされた
  • 有給休暇を使わせてもらえない

 

インフルエンザにかかった場合、会社を休んで安静にしている事が大切です。

客観的に見ても、いつも通りの仕事ができる状態とは思えません。

それにも関わらず上司が本人に対して出勤や仕事を強要するような場合、それはパワーハラスメントになる可能性もあります。

 

もちろん出勤を強要するだけでなく、上記のようにインフルエンザを理由に本人を責め立てるような発言もNGと言えるでしょう。

またこのような上司の行為は労働契約法労働安全衛生法違反となる場合もありますので、社員を管理する会社側としても十分な配慮が必要です。

 

派遣社員の場合には派遣会社が間に入るため上記のようなトラブルは少ないかもしれませんが、もしインフルエンザにかかってしまった場合には身体を休めて安静にし、完治してから職場復帰をするようにしたいですね。

 

よいお年を

派遣社員とインフルエンザについて幾つか挙げてみました。

インフルエンザはこの冬の時期になるとどうしてもかかりやすくなります。

あらかじめ予防接種を受けたり、普段から体調管理をしっかりとしておく事が大切ですね。

特に年末時は気持ちが緩み体調を崩しやすくなるので、少し緊張感を持って新年を迎えるのが良いのかもしれません。

 

今年も残り僅かとなりました。

2019年は令和の改元があった事をはじめ、北朝鮮や日韓関係などもよく話題に上がりました。

また薬物使用や闇営業問題など、芸能人のニュースも多く取り上げられました。

派遣社員においては、「非正規」という働き方があらためて注目された年でもあります。

 

今年も色々とありましたが、新しい年が幸せな一年となりますように願いたいですね。

今回は派遣社員とインフルエンザについて挙げてみました。

それでは良いお年を。

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