派遣社員にさせてはいけない10のこと。危険なNGワードとは
今回は派遣社員にさせてはいけない事について挙げてみたいと思います。
近年では派遣社員を活用する事例が増えてきました。
派遣社員を受け入れる企業からしてみれば、即戦力になる人材を確保できるだけでなく、専門分野に強い人材を発注できたり人件費等のコストを抑えられるメリットがあります。
ですがその仕組み上、派遣社員に対して「させてはいけないこと」もあります。
今回はそんな派遣社員にさせてはいけない事について挙げてみます。
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派遣社員にさせてはいけないこと
会社側が派遣社員に対してさせてはいけない事(してはいけない事)にはどのような事があるでしょうか。
幾つか例を挙げてみます。
労働者派遣法によって、以下のような禁止業務を派遣社員にさせる事はできません。
- 港湾運送業務
- 建設業務
- 警備業務
- 医療関係業務
- いわゆる「士」の業務(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士 等)
上記のように専門性や高い業務や危険が伴う業務・他の法律に従う業務などは基本的に派遣社員にさせてはいけない事になります。
派遣スタッフの方々もこれらの業務をやることのないように注意しましょう。
あらかじめ定められた契約範囲外の仕事を派遣社員にさせてはいけません。
派遣先としても、労働者派遣契約で定めた範囲を超えて派遣スタッフに指揮命令をする事はできない事になっています。
契約範囲外の仕事をさせる事は違反となりますし、自分がカバーできない仕事を無理に押し付けられると会社に損害を与えてしまう可能性もあります。
もし契約範囲外の仕事を任せる必要がある時には、企業側は派遣会社の担当者と相談し、あらためて契約内容の変更を検討する必要があります。
また派遣スタッフ側としても、明らかに契約範囲外の仕事を頼まれている時には担当者に確認することも大切です。
勤務開始時には就業条件明示書等にて、自分が担当する仕事の範囲をしっかりと確認しておきましょう。
当然に派遣社員の場合であっても、残業した分の残業代はきちんと支払われます。
36協定があり法定労働時間を超えて勤務をしていれば残業代をもらう権利はありますし、派遣先は36協定の範囲を超えて時間外や休日労働を派遣社員にさせてはいけません。
契約書には「残業は1日につき何時間まで」のような記載があるので、契約範囲以上の残業を強いられた場合には派遣社員はそれを断ることも出来ます。
併せて介護や育児など、派遣社員側に正当な理由がある場合には、企業側は派遣社員に無理な残業をさせてはいけない事になります。
また派遣社員の場合、企業側の都合によって勤務シフトを急に変更させられたりするケースも考えられますが、もし勤務時間を変更する場合にはやはり契約内容の見直しが必要になります。
派遣社員側としても残業代を支払ってもらえない・契約範囲外の残業を強いられる等のケースがあれば、派遣会社などに相談をしてみましょう。
派遣社員を受け入れる際、派遣先によっては「事前面接」が行われる事があります。
紹介予定派遣を除き、派遣先による労働者を特定する行為は禁止されています。
つまり派遣労働者に事前面接をさせたり性別を限定する・履歴書を無理に提出させる等行為はさせてはいけない事になっています。
このような行為において罰則はありませんが、行政指導が入る可能性はあります。
実際には顔合わせ等と称しながら事前面接が行われるケースがありますが、本来はこのような行為を派遣社員にさせてはいけません。
派遣社員として就業していると、派遣先の社員さんや上司から飲み会や新年会などに誘われる事もあるかと思います。
飲み会というのは職場仲間とコミュニケーションを取る良いきっかけにもなりますが、あくまで本人の自由意思による参加が原則です。
本人が参加したくないのに強制的に参加させるような事はしてはいけませんし、もちろん業務終了後の飲み会には残業代は発生しません。
また派遣スタッフとしても、飲み会をどうしても断る際には誘ってくれた相手の気持ちを配慮して丁寧に断ることが大切です。
就業開始前には派遣先の雰囲気やイベント有無などを担当者に質問することも出来ますので、気になる方は事前にチェックしておいても良いでしょう。
派遣会社から受け入れたスタッフをさらに別の会社に派遣すれば二重派遣の恐れも出てきます。
また請負契約であるにも関わらず発注者が指揮命令をすれば、それは偽装請負となり派遣法違反となります。
これらの行為は派遣労働者の雇用安定を損なう可能性がありますし、会社側に対しても派遣法や職安法によって罰則が課される可能性があります。
派遣社員にさせてはいけない二重派遣や偽装請負にも十分注意しましょう。
派遣社員も派遣先の施設を利用することが出来ます。
ですが中には「派遣社員は休憩室が利用できない」などといった事例もあるようです。
派遣先としては、以下のような施設についても派遣労働者が利用できるように配慮しなければなりません。
- 更衣室
- 休憩室
- 給食施設
また福利厚生施設だけでなく、待遇や手当・教育訓練の実施など、派遣先の通常の労働者(派遣先の社員)との待遇の均衡を図る必要があり、配慮義務や説明義務が課せられています。
平成24年10月には派遣法にて「日雇い派遣の原則禁止」が定められています。
そのため原則としては派遣社員に30日以内の労働者派遣のお仕事をさせてはいけません。
業務が例外事由に該当する場合や、人が例外事由に当てはまる場合には日雇い派遣のお仕事をすることが出来ますが、それ以外のケースでは日雇い派遣は禁止となっています。
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残念ながら例外事由に該当しない方は、労働契約が31日以上の仕事を選んだり、他のアルバイトやパート等のお仕事も併せて検討してみるようにしましょう。
男女雇用機会均等法や育児・介護休業法により派遣会社や派遣先は派遣社員に対して、妊娠・出産等の理由や育児休業等の取得・申し出を理由とした不利益な取り扱いをしてはいけません。
また社員と同様に、派遣社員に対してもセクハラ対策や妊娠・育児・出産等に対するハラスメント対策として必要な措置を講じる必要があります。
特に派遣社員は雇用上、不安定な立場に立たされる可能性もある事から、会社側としても十分な配慮が必要と言えるでしょう。
派遣社員に出張をさせることは出来ます。
ですがあらかじめ契約書にて出張時の業務内容や事業所名などを記載しておく必要があります。
②でも挙げたように派遣社員に契約範囲外の仕事をさせてはいけないので、もし契約書に出張の記載がなければ拒否する事も可能かと思います。
また出張ともなると交通費の精算や諸手当・出張先での勤怠管理など考慮すべき点は多くあります。
もし出張を命じられた際には事前に諸条件をしっかりとチェックしておくようにしましょう。
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派遣社員に聞いてはいけないことは?
同じ職場で働くとは言っても、派遣先の正社員と派遣社員では条件や仕事内容・待遇が異なることは多々あります。
そのため一緒に働く上では、派遣社員に「聞いてはいけない事」や「言ってはいけない事」があるものです。
ここでは派遣社員に聞いてはいけない・言ってはいけない事を幾つか挙げてみます。
派遣先の社員の中には派遣社員のことを「派遣さん」と呼ぶ人もいます。
最近では少なくなってきた印象もありますが、それでもこのような呼び方をする人もまだいるようです。
確かに派遣社員である事に間違いはありませんが、スタッフ1人1人にも当然に名前がありますので、個人名で呼ぶようにした方が良いでしょう。
スタッフさんによっては「外部の人間」といった印象や、差別的扱いを受けていると感じてしまう場合もあります。
中にはスタッフのことを「派遣会社名」で呼ぶ社員さんもいます。
例えば「テンプさん」「リクルートさん」「アデコさん」といったように、それぞれの会社名で呼ぶような形です。
ですが当然にその人は派遣会社から派遣されているスタッフさんであり、会社そのものではありません。
やはり個人名できちんと呼んであげるようにしましょう。
派遣社員に限らずですが、社内でセクハラやパワハラと感じさせるような言動は慎みましょう。
例えば性的な言動やボディタッチ・陰口や乱暴な言葉遣いなど、本人の感じ方によってはセクハラ・パワハラと捉えられる可能性もあります。
特に派遣先においては社員が派遣スタッフよりも立場的に優位に立つケースが多くなるので、無意識に精神的な苦痛を与えるような発言をしないように注意が必要です。
言うまでもなく、人には様々な事情があります。
就職活動中の人もいれば、社員になれず挫折をした人もいるかもしれません。
また派遣社員にも多くのメリットがあり、敢えて正社員を選ばず派遣という働き方を選択している人もいます。
社員さんからしてみればそのスタッフの将来を案じてアドバイスをしてくれているつもりかもしれませんが、人それぞれの考え方がありますので雇用形態については出来るだけ触れないほうが良いのかもしれません。
派遣社員として働いていると、派遣先社員から「言われた事しかできないの?」と注意を受けたという経験を持つスタッフさんもいます。
社員さんからしてみれば指示通りの内容でしか動けないスタッフを見てヤキモキしている部分もあるのかもしれませんが、派遣社員がこなす業務は基本的には契約範囲内の仕事に限られ、派遣先がスタッフに命じることができる仕事も原則として契約で定めた作業に限られます。
時には不随した業務や周辺業務が発生する事もありますが、スタッフに契約範囲外の仕事を多く負わせることは後々にトラブルになる可能性もあります。
派遣先・スタッフそれぞれが仕事の範囲についてきちんと理解を深めておく事が大切と言えるでしょう。
派遣社員は時給制で働いている人が圧倒的に多くなります。
月給ベースで働く派遣先の社員からすれば、派遣スタッフの時給が気になる事もあるのかもしれません。
以前から均等待遇が叫ばれていますが、現在でも派遣社員と正社員の待遇差が埋まっている印象はあまりありません。
中には社員と同等の仕事をしているのに、時給が全く上がらないというスタッフさんもいます。
また派遣社員の場合には、基本的にボーナスは支給されません。
そのため夏期冬期のボーナス時期は、派遣社員にとっては少し寂しい時期でもあります。
ボーナスや退職金の話題などは出来るだけ避けておいた方が良いでしょう。
派遣社員への注意ができない?
上記のように「派遣社員にさせてはいけない」「派遣社員に聞いてはいけない」など禁止事項が多すぎると、派遣先の社員の中には注意がしにくいという人もいるかもしれません。
確かにあまり上記のような事を意識し過ぎると、かえって社員と派遣スタッフの間に溝ができてしまう可能性もあります。
そのため派遣社員を導入・活用していく上では、以下のような点に注意をすると良いでしょう。
派遣先の中には、社員とスタッフの間に全くコミュニケーションがない職場もあります。
もちろん無理に会話を交わさなければならない訳ではありませんが、日頃からちょっとしたコミュニケーションを取っておく事で業務の進捗がスムーズに進むこともありますし、スタッフからも相談がしやすくなります。
些細なことでも良いので、スタッフと会話ができる機会をできるだけ設けたほうが良いように思います。
派遣スタッフからすれば、社員と比べて差別的な扱いがあったり特別な扱いがあるとそこに壁を感じてしまう事もあります。
例えば社員はミーティングに参加できるのに派遣は参加できない・社員には情報共有されるのに派遣にはされない等、扱いに違いがあるとそれだけでスタッフのモチベーションの低下に繋がる可能性もあるかもしれません。
できる限り社員との扱いに差を付けず、同じように扱うことも大切なことです。
派遣社員を導入し始めたばかりの企業の場合、契約についての認識が不足している場合もあります。
その結果、派遣社員にあれもこれもと多くの業務を割り振ってしまったり、契約範囲外の仕事を任せてしまう事もあるでしょう。
ですが先ほども挙げたように、派遣社員ができる仕事は基本的には契約内で決められた業務に限られます。
契約範囲外の仕事ばかりやらされると、スタッフ側にも不満が溜まり最悪の場合には離職に繋がる可能性もあります。
お互いが気持ちよく働くためにも、まずはスタッフの契約範囲をしっかりと把握しましょう。
派遣社員に割り振られる仕事は、派遣先によっては単調作業であったりルーティンワークが多い場合もあります。
長期間そのような業務を続けていると、スタッフからすれば「給料をもらう為だけに来ている」「スキルアップが出来ない」といった将来への不安が募ることもあります。
そのため派遣社員に対してもスキルアップ研修や勉強会を開催する等、社内においてスタッフが成長できる機会を定期的に設けることも大切です。
モチベーションの低下は離職にも繋がりやすく、雇用も安定しません。
派遣社員が仕事を通して「成長」を実感できるような職場作りを意識するようにしましょう。
派遣社員にさせてはいけない事まとめ
派遣社員にさせてはいけない事について挙げてみました。
派遣社員にさせてはいけないことは幾つかありますが、基本的な法律・ルールさえ守っていればそれほど意識する必要はありません。
また普段からコミュニケーションを小まめに取っておく事で、業務が円滑に進むこともあります。
派遣先会社・派遣スタッフそれぞれがお互いのルールをしっかりと守って、気持ちよく働ける職場を目指したいですね。
今回は派遣社員にさせてはいけないことについて挙げてみました。
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