派遣の手取り額はいくら?具体的な計算方法も
今回は派遣社員の手取り額について挙げてみたいと思います。
派遣社員としての就業経験がない人の場合、給与として一体いくらくらいの手取り額がもらえるのか気になる人もいるかと思います。
時給から計算すれば大まかな給与額は計算できますが、そこから社会保険料や交通費など差し引いた場合の金額も気になりますね。
手取りにしてみたら意外と少ない金額だった…なんて事のないように、派遣の手取り額についてしっかりと把握しておきましょう。
スポンサーリンク
目次
派遣で給与から差し引かれるものは?
まず派遣の給与から差し引かれる社会保険料について簡単に整理をしておきたいと思います。
基本的には給与から社会保険料等を差し引いた金額が、手取り額となります。
健康保険は、病気やけがに対して、その費用の一部を国・会社などが負担する保険です。
厚生年金保険は適用を受ける事業所に勤務する人で70歳未満の人が加入する公的年金制度です。
老後の年金だけでなく、けがや病気で障害が残ったときの障害年金や亡くなったときに遺族へ遺族年金が支給されます。
雇用保険は労働者が失業した場合や雇用の継続が困難になったときに、生活や雇用の安定を図るために必要な給付が行われます。
市町村が主体となり高齢化社会を支える介護費用を支援するための仕組み。介護保険料の支払いは40歳以上の人が対象になります。
つまりこれらの社会保険料がいくらか分かれば、派遣社員の手取り額が分かることになります。
社会保険料の計算方法は?
各社会保険料の計算方法は以下のようになっています。
健康保険料 | 標準報酬月額×健康保険料率 |
厚生年金保険料 | 標準報酬月額×厚生年金保険料率 |
雇用保険料 | 標準報酬月額×雇用保険料率 |
介護保険料 | 標準報酬月額×介護保険料率 |
上記の4つの合計金額の二分の一(派遣会社と派遣スタッフで折半)が自己負担額として毎月の給料から引かれて、残りが手取り額という事になります。
ですが実際には4つを合計して二分の一にして…なんて面倒な計算をしている訳ではなく、標準報酬月額別の一覧表が用意してありますのでそれを見るだけで自分が差し引かれる社会保険料がすぐに分かります。
※参考サイト 全国健康保険協会・保険料額表
実際に手取りを計算してみる
それでは上記の保険料額表を元に、簡単に手取り額を計算してみましょう。
まずは自分の「標準報酬月額」を決定する事から始めます。
4月・5月・6月にもらったお給料のうち、支払基礎日数(出勤日)が17日以上の月のお給料が対象となります。
例えば
- 4月の出勤日数が21日で給与が23万円
- 5月の出勤日数が16日で給与が18万円
- 6月の出勤日数が19日で給与が21万円 ※(給与額は適当です)
だったとすると、5月は16日しか出勤していないので対象にならず、4月と6月の合計額は44万円(23万+21万)。そこから÷2カ月=22万円。
標準報酬月額は22万円となります。
そこで先ほどの保険料額表を見てみると標準報酬月額が22万円の場合は「18等級」である事が分かります。(東京都の場合)
全国健康保険協会 保険料額表(18等級の場合):一部抜粋
21~23万円未満(18等級) | |
健康保険料 | 10901円 |
厚生年金保険料 | 20130円 |
結果としては、健康保険料として10901円・厚生年金保険料として20130円の保険料となり、合計で31031円の保険料を支払う事になります。
この金額が9月以降のお給料から差し引かれます。
スタッフの給与が20万円であれば、約16万9千円くらいの手取り額となります(200000円ー31031円)。
また別途雇用保険料も支払いが必要ですし、40歳以降の方は介護保険料も含まれてくる事になります。
社会保険料って高いですね…。苦笑
手取り額を増やすのも簡単なことではありません。
どんな人が社会保険に加入するの?
ですが派遣社員であっても社会保険に加入できる人と、加入できない人がいます。
派遣社員が社会保険に加入する条件は以下になります。
- 2ヶ月以上の雇用契約期間で、週の所定労働時間が30時間以上の就業をした、もしくは、するのが予め決まっている場合
- 週の所定労働時間が20時間以上で、月額賃金が88000円以上あり、且つ一年以上雇用契約期間がある場合
つまりは派遣のお仕事をフルタイムで勤務し、かつ2ヶ月以上の雇用契約で就業する場合は、この条件に該当する事になります。
派遣スタッフさんには様々な考え方の人がいて、必ず社会保険に加入しておきたいという人もいれば、手取り額を少しでも多くしたいから社保に加入したくないという人もいます。
ですが社会保険の加入条件に当てはまるスタッフさんは強制加入となりますので、手取り額を優先してどうしても加入したくないという事であれば、加入条件を満たさないように就業することになります。
事前に自分が加入条件に該当するかどうか、しっかりと確認をしておきましょう。
スポンサーリンク
派遣社員の手取り額を多くするコツ
派遣社員が少しでも給与の手取り額を多くするにはどのような工夫が挙げられるでしょうか。
幾つか挙げてみます。
標準報酬月額を減らす
先ほど説明したように、給与から差し引かれる社会保険料は「標準報酬月額」を元に計算をする事になります。
標準報酬月額は毎年4月・5月・6月の報酬により算出され、その年の9月から翌年の8月までの標準報酬月額が決まります。
そのためこの4月から6月に残業等を減らすことが出来れば標準報酬月額が下がり、社会保険料を減らす事ができる可能性があります。
保険料率が安い派遣会社
派遣会社によっては健康保険料率が低い会社もあります。
健康保険料率が低めの派遣会社であれば月に2~3千円の保険料の差が付くことや、年間にすると数万円の違いが生じる事もあります。
例えばリクルートスタッフィングのリクルート健康保険組合や、ランスタッドの関東ITソフトウェア健康保険組合などは保険料率が低いと言われています。
そのためもし時給が同じ仕事だとしても、このような派遣会社の場合には手取り額が他社よりも高くなる可能性があります。
交通費ありの求人
派遣社員の場合には、派遣先までの交通費が支給されません。
給与からは交通費が差し引かれることはありませんが、結局は交通費を自分で負担することになるので、差し引かれているのとほぼ同じです。(ここでは確定申告等は考慮しません)
そのため出来れば交通費が支給される求人を選ぶことも、結果的には手取り額を多くすることに繋がります。
1か月で1万円の交通費がかかったとすると、年間12万円の出費になるので、可能であれば交通費が支給される求人を選んだ方が賢明です。
時給交渉をする
上記にて説明してきた通り、給与から差し引かれる社会保険料は報酬月額によって一定の額が決まってしまっています。
そのため手っ取り早く手取り額を上げたいのであれば、今よりも時給を上げて頂くように派遣会社に交渉をしてみるのも一手です。
今までに時給交渉をした事があるというスタッフさんは意外に少なく、交渉自体が嫌いな人や交渉事が面倒な人・交渉しても断られると最初から思い込んでいる人がいかに多いかが分かります。
ですが実際に交渉を持ち掛けてみると意外に上手くいく事も多いものです。
もちろんいきなり200~300円の大幅時給アップを突然交渉すると撃沈するケースも多いですが、時給アップを納得できるような理由や状況が整っていれば時給交渉は成功する可能性は十分にあります。
時給交渉をする際のポイント
主に時給交渉をするポイントは以下のような点です。
- 入社時よりも業務量がアップしている点を主張する
- 更新手続き時に交渉をする
- 後輩の指導・研修を行っている場合はアピールする
- 他社の派遣スタッフよりも時給が低い事を示す
- 交通費が上がってしまった場合はそこも主張する
- 同じ企業の他社派遣会社の広告の時給をチェックし交渉材料にする
- ○○円アップして欲しいと金額を明確に提示して交渉する(最初は50~100円が相場)
- 業務に必要なスキルや資格を取得した事をアピールする
例えば時給100円アップしただけでも、フルタイムで週5日勤務の人であれば、月に約2万円前後お給料が増えることになります。
手取りを増やす為にも小さな金額でも良いので、もし時給交渉をする機会があればトライしてみたいですね。
手取りを増やす=副業という考え方も
社会保険料を減らす事もできず、時給を交渉するのにも失敗した・他に転職する予定もないという場合、手取り額を増やすにはやはり今以上に仕事を増やすしか方法はありません。
収入を増やすには様々な方法がありますが、副業を始めるというのも1つの方法です。
幸い派遣社員の場合には副業を許可されているケースも多い事から、時間を有効に活用して副業を行っている人も多くいます。
短期や日雇い・単発アルバイト等を上手く活用して、空いた時間や休み期間中だけ副業をこなしているという人もいます。
派遣社員が副業を探す際のポイントは以下のような点が挙げられます。
- 会社の就業規則を確認しておく(会社によっては副業NGの場合も)
- 肉体労働はできるだけ避ける(ダブルワークで肉体労働は疲れます)
- 本業の職種・業種とかぶらないようにする(本業と同じ職種だと飽きる・ライバル会社への副業禁止ルールなど)
- 副業が日雇い派遣の場合は例外規定に当てはまっているかどうか(日雇い派遣の原則禁止)
- 本業の仕事とのスケジュール調整ができるか(シフト制の場合など)
派遣会社によっては副業を禁止としている会社もあるので事前に確認をしておくようにしましょう。
派遣の一人暮らしでは手取りはいくら必要?
派遣スタッフの方の中には一人暮らしをしている方も多くいます。
もしくはこれから一人暮らしを始めるという方もいるでしょう。派遣社員が生活をしていくのに手取り金額はいくら必要なのでしょうか。
一人暮らしをしていくには一般的には以下のような費用がかかります。
一人暮らしを始める際にはまず家賃を支払っていく必要があります。
エリアによっても異なりますが、例えば東京都で1Kの物件を借りると6~8万円の家賃が発生します。
一般的には家賃は収入の3分の1以内に抑えるべきと言われています。
ここでは6万円と仮定します。
家賃:6万円
生活をしていく上では当然に食べていく必要があり食費の計上が必要です。
総務省の調査では一人暮らしの食費の平均は約40000円となっています。
食費:約4万円
一人暮らしであっても電気やガス・水道料金を支払っていく必要があります。
総務省の調査では一人暮らしの水道光熱費はトータル約1万円となっているようです。(電気が約5,400円・ガス代が約3,100円、水道料金が約2,200円)
水道光熱費:約1万円
現在では派遣社員が一人暮らしをする上でもインターネットやスマホの利用は欠かせなくなっています。
また最近ではネットゲームの課金などにお金がかかっている人も多くいます。
総務省の調査では約6600円の通信費がかかるとされているようです。ここでは約6千円としています。
通信費:約6千円
休みの日に友人とリフレッシュをしたり恋人との交際など、一人暮らしをする上では交際費も欠かせません。
調査では10000~15000円程度の交際費がかかるとされていますが、交際費は人によって大きく異なります。
ここでは交際費を15000円としています。
交際費:15000円
人によっては自分の好きな趣味や将来のための習いごとに時間を費やす人もいるでしょう。
ここでは趣味・習い事の費用として1万円を計上します。無趣味な方や習い事をしない方は当然にお金はかかりません。
趣味・習い事:1万円
派遣社員の場合には、交通費が支給されないケースが多いため、手取りの中から交通費を捻出します。
ここでは派遣先への交通費を1万円と計上します。
交通費:1万円
時には不安定な立場に立たされる可能性がある派遣社員の場合、将来を考えて貯金を考える人もいるかと思います。
ここでは毎月2万円を貯金するとして手取りから計上します。
貯金:2万円
一人暮らしをする上では生活上の出費や想定外の出費が起こることも多いものです。
消耗品や日用品・冠婚葬祭など様々な出費に対応する必要があります。
ここでは雑費を1万円と計上します。
雑費:1万円
合計
6万(家賃)+4万(食費)+1万(水道光熱費)+6千円(通信費)+1.5万円(交際費)+1万円(趣味・習い事)+1万円(交通費)+2万円(貯金)+1万円(雑費)
=181000円
今回の計算では181000円の手取り額が必要という結果になりました。
もちろん人によって生活にかける費用は異なりますし、趣味や習い事などプライベートな費用にかける金額等によっても必要な手取り額は異なります。
181000円の手取りとなると、月給ベースでは22~23万円の給料が必要となるでしょうから、週5日フルタイム(1日8時間)で月22日勤務すると仮定すると、できれば時給1300円以上のお仕事を選びたい所です。
派遣社員の一人暮らしは中々厳しい一面もありますが、毎月の収入と日々の支出をしっかりと管理して、きちんとした生活を送っていきたいですね。
派遣の手取り額はいくら?まとめ
派遣の手取りについて幾つか挙げてみました。
派遣社員の場合、スタッフさん自身が時給交渉などをしなければ、基本的には入社時の時給で給与が支給されていく事になります。
実際のところ、派遣社員の場合には自動的に時給が上がるような事はほぼありません。
そのため簡単に時給を上げるには、お仕事を変えてみるか派遣会社を変更してみる事も1つの方法です。
特に大手派遣会社では時給が良い求人や福利厚生が充実している案件が多く、仕事を変えるだけで月に数万円お給料が変わってくる事もあります。
おすすめの派遣会社をご紹介していますので参考にしてみてください。
参考記事:当サイトでおすすめの派遣会社
派遣のお仕事を通して自分のペースでお金を増やしていけるようにコツコツと頑張っていきたいものですね。
今回は派遣の手取り額はいくら?について挙げてみました。
スポンサーリンク