派遣社員は妊娠時に産休・育休を取れる?

今回は派遣社員の妊娠・産休等について挙げてみたいと思います。

派遣社員には女性スタッフの占める割合が多く、また既婚者の女性も多いため、就業期間中に妊娠がわかったり出産ををするといったケースも多く見受けられます。

妊娠・出産自体は喜ばしい事ではありますが、一方で今の派遣の仕事はどうするのか・産休後もきちんと職場に復帰させてもらえるのか等、気になる部分が多いかと思います。

今回はそんな派遣社員の妊娠・育休・産休について触れてみます。

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妊娠・産休・育休に関する法律

辞書の写真

労働者は妊娠・出産・育児等においても法律によって保護されています。

それではベースとなるその法律にはどのようなものがあるのでしょうか。

 

①妊娠・出産等を理由とする不利益取り扱いの禁止

派遣スタッフに関わらず、労働者が妊娠・出産・結婚をした事などを理由として、

事業者が労働者に対して不利益な取り扱いをする事は禁じられています。

(男女雇用機会均等法9条3項)


②育児休業等の申出・取得等を理由とする不利益取扱いの禁止

事業主は、育児休業・介護休業や子の看護休暇の申出をしたこと又は取得したことを

理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない事になっています。

(育児・介護休業法第10条、第16条、第16条の4)


③職場におけるセクシュアルハラスメント対策の措置

事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメントについて必要な措置を講じなければ

ならない事になっています。(男女雇用機会均等法第11条第1項)


④妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置

事業主は労働者が妊娠中及び出産後の健康管理に関する必要な措置を講じなければ

なりません。(男女雇用機会均等法第13条)

 

不利益な取り扱いとは?

上記の法律のように労働者に対して「不利益な取り扱い」が禁じられています。

それでは実際に「不利益な取り扱い」とはどのような事を指しているのでしょうか。

 不利益な取り扱い:例

・妊娠・出産等を理由として解雇をする

・契約更新をしない

・退職を強要する

・役職等を降格させる

・故意に就業環境を害する(いじめ等)

・減給処分

・自宅待機命令を出す

・人事の評価を下げる

・部署等の無理な配置変更をする

・職場(派遣先)が就業を拒む

 

会社はなぜ産休・育休を拒むのか

妊娠中のスタッフや産休を求めるスタッフの中には、残念ながら上記のような不利益な取り扱いを受けた経験を持つ人も中にはいます。

それでは派遣先や派遣会社側はなぜ産休等を拒みたがるのでしょうか。

 

①代替スタッフが必要になる

ご想像が付く人も多いかと思いますが、まずはスタッフさんが産休を取るとなると、業務によっては派遣会社(派遣先)は代替スタッフを用意しなければ

なりません。

派遣会社側は新たにスタッフを手配する事になりますが、同等のスキルを併せ持つスタッフを手配出来るかどうかは分かりませんし、その代替スタッフに一から仕事を教えるとなれば研修人員や時間も人件費も別途かかります

 

②代替スタッフの次の就業先の確保

また出産休養後に無事に仕事に復帰したとしても、今度は今まで穴埋めをしてくれていた代替スタッフの次の就業先にも配慮する必要があります。

もちろん代替スタッフはバトンタッチでその場で契約終了となってしまう可能性もあります。

契約形態によっては簡単に契約を終了できないケースもありますし、また退職処理をしたとしても、そのスタッフに対して派遣会社は次の仕事を手配する必要もあるでしょう。

また代替人員を手配せずに1人減った人員のまま今まで通り業務をこなすとなれば、当然に他スタッフの仕事ボリュームが増え、作業も逼迫するといった事も考えられます。

 

③前例ができるため

また厳しい言い方にもなりますが、産休等の休暇を認める事は、その会社にとっても「前例」を作る事になります

当然にそれ以後に他の社員や派遣スタッフから同様の申し出があった時には、前例が出来ている以上は、会社はそれに応じる必要が出てきます

本来会社は労働者に必要な措置を講じる事が大前提なのですが、現実的にはそれをしない会社がある事も事実です。

 

④復帰後に十分なパフォーマンスが出せるかどうか

また他にも会社側が懸念する事があるとすれば復帰後の仕事です。

無事に出産をし産休を終えたとしても、しばらくは育児をしながら仕事をこなしていく事になるでしょう。

育児経験がある人があれば分かるかと思いますが、時にはお子さんが体調を崩してしまったり、お迎えがあったりとなると、勤務時間内でも十分な力を発揮できないケースも多くなります。

 

もちろん育児をしながら仕事をしている訳ですからそれは当たり前の事ですし、妊娠・出産は本来であれば周囲にも祝福されるのが普通です。

会社側の対応としても「ゆっくり休んで元気なお子さんを産んできてくださいね」といった対応が本来は常識であります。

 

しかし中には利潤を優先する会社もあり、全ての会社が協力的な姿勢を示してくれるとは限りません。

本来は不本意であるにしても、会社側と十分に話し合いをしなければならないケースも考えられます。

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産休・育休は法律で定められた権利

育児休業・休暇は労働者にとっての法律で定められた権利です。

スタッフさんがきちんと申請しているにも関わらず、それを受け入れないのは会社側の法律違反と言えます。

育児休業等についても、下記のような法律が定められています。

 労働基準法65条

・使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあつては、14週間)以内に出産する予定の女性が

休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。

・使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間

を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に

就かせることは、差し支えない。

・使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させな

ければならない。

 育児・介護休業法5条1項

・引き続き雇用された期間が1年以上であること

・養育する子が1歳6か月に達する日までに、その労働契約(更新される場合には、更新後の契約)が満了することが 明らかでないこと (2017年1月より改正)

 

上記のように派遣社員であっても育休を取得できる事がわかります。

また2017年から育休条件も緩和されており、以前よりさらに取得しやすくなっています

もし会社側から「産休ルールを就業規則に定めていないから無理」等と言われたとしても、「妊産婦健診のための時間の確保」や「妊娠中又は出産後の症状等に対応するための措置」も均等法で定められており、就業規則に記されていなくても労働者は休業を申請をする事ができます。

 

派遣は3か月更新だから休業は無理?

時々、「派遣社員は3か月更新だから育児休業は無理なのでは?」という声が聞かれます。

確かに派遣社員は2~3か月の契約を更新していく事が多いです。

もう一度、上記の育児介護休業法第5条第1項を見てみると「引き続き雇用された期間が1年以上であること」とあります。

確かにこれだけ見ると「派遣社員は育休を取れないのでは?」と考えてしまう人もいるのかもしれません。

 

ですが派遣社員の雇用主は派遣先ではなく派遣会社です。

育休申し出前の1年間、同じ派遣会社との契約が継続していれば上記条件に該当する事になります。

もちろんその間に派遣先が変わっていても、同一の派遣会社から派遣されていたのであれば同様です。

逆に言えばその間に派遣会社を変更していると条件を満たしません。

派遣社員だから育休が必ずしも取れないという事はありませんので、安心して会社に相談してみましょう。

 

派遣先が理解を示さない場合も

妊娠中や出産後のスタッフに対し、派遣先や派遣元は各法律で定められているように、必要な措置を講じる事が求められます。

上記のように不利益な取り扱いが禁じられている事はもちろん、スタッフの状況に応じて、例えば勤務時間の変更休憩時間の延長勤務の軽減措置を図るなど、必要な措置を取る必要があります。

 

ですが残念ながら全ての派遣先や派遣会社がこのような対応に100%スムーズに対応しているとは限りません

まず妊娠や出産というケースに慣れていない担当者や派遣先上司も多いですし、また会社の人員やシフト上の都合などで、不利益な取り扱いを受けた経験を持つ人も中にはいる事でしょう。

それどころか対応方法を全く知らないといった担当者でさえいる程です。

 

例えば妊娠中及び出産後の女性スタッフが、医師等から何らかの指導を受けた場合には、その医師からの指導を守る事ができるように、事業主は必要な措置を講じなければならない事になっています。

それには例えば通勤時間を緩和させたり休憩回数を増加させる・作業を制限する等の措置が考えられ、派遣先・派遣元はその派遣スタッフに対して母性健康管理の措置を実施する義務があります。

 

ですが実際にその通りの措置が全ての会社で必ずしも実施されているとは限らず、安心して出産に向き合えないといった事態さえ考えられます。

そのため時にはスタッフ側が職場に対して自ら積極的に働きかけるといった姿勢も必要になります

 

もし職場で上司の理解が得られにくい場合には、まず職場側と話し合いの席を持つことが大切です。

例えば医師からの母健連絡カードを元に、自分がどのような指導をされているのか状況を職場にも知ってもらい、落ち着いて話し合いをする事が大切と言えます。

 

妊娠中であれば母体が第一ですので、感情的になってしまったり、話に波風を立てる事は双方にとって良い事ではありません

復帰後にはまた同じ職場で勤務をする訳ですし、理由は出産だとしても会社に休暇をもらう事には変わりませんので、じっくりとお話を進めていくようにしたい所です。

 

また派遣スタッフが多い職場であったり、女性社員が多い派遣先であれば、周囲に相談を持ち掛けてみるのも良いかと思います。

同じ立場である他の派遣スタッフが産休を取った経験があれば参考になりますし、社員の中で同じ経験を持つ人がいれば、上に掛け合ってくれる事もあるかもしれません。

妊娠・出産時というのは周囲の協力が不可欠です。

自分だけで考え込まずに、遠慮なく協力を求めるようにしましょう。

 

本来であれば周囲にも祝福されてゆっくりと出産・育児にあたりたい所ですが、なかなかスムーズに取得ができない事があるのも事実。

出産は生命の誕生でありこれ以上に喜ばしい事はありませんが、残念ながらお互いの立場や意見の違いからトラブルを生んでしまうケースもあります。

周囲の協力を得ながらゆっくりと体を大事にし、良い産休・育休期間を過ごしたいものですね。

 

福利厚生は派遣会社によって異なる

産休や育休を含め、福利厚生の内容というのは派遣会社によって様々です。

法律で定められた休暇をきちんと取得させている派遣会社もあれば、そうでない派遣会社も実際にはあります。

一概には言えませんが、やはり大手企業の方が福利厚生が充実している傾向があります。

※参考:福利厚生が充実した派遣会社一覧

福利厚生が充実した派遣会社を幾つか挙げていますので参考になさってみてください。

派遣会社に登録をする際には制度が整った会社を選びたいですね。

今回は派遣社員は妊娠時に産休・育休を取れる?について挙げてみました。

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