派遣先で備品を壊したって?

派遣先で備品を壊したって?

今回は派遣社員の破損・汚損事故について挙げてみたいと思います。

派遣先で就業する上で時々起こり得るのがこれらの事故です。

もちろん故意に派遣先の物を壊すような人は殆どいないかと思いますが、一生懸命働いて

いる上ではなにかの拍子に物を破損させてしまったり壊してしまうといった事は決して

あり得ない話ではありません。派遣社員がもしも派遣先で破損事故などを起こしてしまった

場合、責任負担等はどのようになるのでしょうか。

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様々な派遣先での破損・汚損事故

それでは派遣先で起こり得る破損や汚損事故とはどのようなケースが考えられるでしょうか。

派遣スタッフさんによっても働く現場の業種・職種は様々。デスクワークもあればサービス業・

飲食・販売・営業・肉体労働とその状況は多種多様です。

例えば派遣職でも多いデスクワークで言えば、デスクに置いておいたドリンクが倒れ

PCにこぼしてしまい故障してしまった・備品を壊した・キャビネットの鍵やセキュリティカード

を紛失した等のケースもありますし、肉体労働でも荷物を移動中している最中に物を落下させて

しまった・フォークリフトを操作している時に誤って物を破損した・清掃作業中に派遣先の物を

壊した・汚損してしまったといったケースも考えられます。

どのような現場でも破損・汚損事故というのは起こり得る事であり、職場というのは多くの

備品類や機器に囲まれる環境で就業するのは通常である事から、派遣スタッフさんとしても

常に注意をして作業をしなければならない事になります。

労働法上の原則から言えば?

労働法上の原則から考えればやはり軽過失の事故などは雇用主が責任を負うといった考え方が

一般的になります。労働の環境下では様々な少々の事故が起こる事は当然に想定される事であり、

通常の範囲で仕事をしていれば起こってしまっても仕方がないような一般的なミスにおいては

雇用主が責任を負うというのが原則的な考え方になるでしょう。

会社側は従業員に労働力を提供してもらっている立場でもあり、その上で事業利益を得ています。

多くの人が働く以上はミスや事故が一定割合起こってしまうという事は当然に想定される範囲

であり、また避けられない事でもあります。

また会社側には管理責任というものがあり、派遣業界に関わらずそのミスや事故が従業員本人の重過失

であればともかく、軽過失のミスであれば基本的には会社側が責任を負う形が一般的かと思います。

 

とは言っても実際の現場ではどうかと言えば、その処理方法は様々なケースがあります。

例えば派遣先と派遣会社がその費用を折半にして負担する事で決着・もしくは雇用責任を踏まえ

派遣会社が全額賠償・または話し合いの上でスタッフに費用を一部負担してもらうケース等、

事故が起きた原因や状況・会社間の意向によってその決着方法は左右される事も多く、またこれが

数百円程度の負担額であればさほど問題にならないかもしれませんが、数万円以上の損失負担

ともなると、誰がいくら負担するのかといった事はトラブルに発展するケースや揉めるケース

も出てくるのかもしれません。

派遣先・派遣会社間の契約書面上では?

それではそもそもの派遣会社と派遣先の派遣契約書面上ではどのような取り決めになっている

のでしょうか。このようなミスや事故は法的にはっきりとした線引きがない以上は、

当然にあらかじめ両会社の契約書上で取り決めをしておくのが無難と言えます。

通常は派遣契約書面上において損害賠償の定め等を決めておくのが一般的です。

例えば一般的な「労働者派遣契約書」には以下のような損害賠償の定めの記載がされている

事が多くあります。

「損害賠償」 第○○条

1 甲又は乙が本契約に違反し、相手方に損害を与えた場合、相手方に対してその損害を

賠償する義務を負う。

2 派遣業務の遂行において、派遣労働者が本契約又は個別契約に違反し、

もしくは故意又は重大な過失により甲に損害を与えた場合は、乙は甲に賠償責任を

負うものとする。但し、その損害が、甲が使用する者の派遣労働者に対する指揮命令

により生じたと認められる場合は、この限りではない。

3 前項の場合において、その損害が派遣労働者と甲の使用する者との双方に起因

するときは、甲乙協議して損害の負担割合を定めるものとする。

上記だと甲=派遣先・乙=派遣会社になります。

ざっくり言えば派遣スタッフさんが契約違反を犯したり重過失(著しく不注意があった場合など)

があった場合には、派遣会社が派遣先に対して賠償責任を負うといった内容が前提でありますが、

ただ派遣先の指揮命令下で起きた事故等においてはそうとは限りませんよ、といった内容になります。

またその事故の損害が派遣スタッフと派遣先(従業員)の双方に原因がある時は、派遣先と

派遣会社がお互いに協議して損害の負担額等を決めましょう、といった内容です。

もちろん契約書面ですので全ての契約書内容が上記のような内容になっているとは限りません。

契約内容はお互いが自由に決められますので、固有のルールを定めておくといったケースも

あるでしょう。また事故が起こったとしても実際には派遣先にも使用者責任があるため

派遣会社だけが全額負担するといったケースが少ないかと思われます。

ですが一般的には契約書上でも上記のような取り決めがなされている事が普通であり、

会社や派遣スタッフに過失があった場合なども含めて、お互いの責任負担というものを

あらかじめ契約書等に盛り込んでおく事が通常になっています。

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過去の判例においてはどうか

それでは過去の類似の判例においてはどうでしょうか。

正確には破損事故ではありませんが、派遣スタッフが派遣先に対して損害を与えていたと

思われるような判例が過去にあります。

東京地方裁判所(平15・10・22判決)

内容:電話回線の訪問営業を行っていた派遣社員が、申し込みを希望する際に

顧客が記入する申込書を捏造する事で、派遣先からコミッションを受けとっていた

という問題。派遣先は提携先からの契約を打ち切られるという損害を受け、その損害の

負担割合等が問題になった事例

上記の訴訟では、派遣先の意向としては契約書面の内容通り、派遣スタッフが故意に申込書を

捏造し損害が発生したのであるから派遣会社側が損害を負担するべきという主張に対し、

派遣会社側の主張としては派遣先の指揮命令下で起きた事故までは責任を負いかねるといった

両会社の主張があったようです。もちろん悪いのは申込書を捏造したスタッフ本人らでは

ありますが、両会社のそれぞれの言い分はどちらも理解できるような気もします。

さて判決はどうなったかと言いますと、損害を派遣先・派遣会社ともに5割ずつの折半で負担する

といった判決で決着がつく形となりました。折半となった理由としては、裁判所は派遣会社に

対して使用者責任を認めながらも、派遣会社側はそのスタッフらの派遣先での動向確認までは困難

であるといった理由や、派遣先での不正防止措置が不十分だった可能性もある事から、

結果的に損害は折半という形で決着が付いたようです。このように多くのケースでは

会社間などでお互いに損害額を負担し合うといった事例が一般的とはなっていますが、

明らかにスタッフ本人に理由がある場合や、故意に事故を起こした場合などは

スタッフ本人にも賠償責任が生じてくる場合もありますので、業務中はよく注意を払って

仕事に取り組む必要があります。

派遣会社の賠償責任保険加入

派遣会社はこのような不測の事態も考慮し、保険に加入している事も多いかと思います。

主には賠償責任保険等に加入し、派遣先などにおける対物事故などに備えているケースも

多いでしょう。

形態としては派遣会社が契約者となり、被保険者を派遣先や派遣労働者にするといった契約

内容です。あくまで保険内容にもよりますが、スタッフが事件を起こしたり他人に怪我をさせて

しまった場合・訴訟費用が必要になった場合など、他人の身体の障害や財物の損壊等の事故に

おいて派遣会社に保険金がおりるといったケースも少なくない筈です。小規模・零細の派遣会社

の中には保険加入していない所もあるかもしれませんが、大手を中心にこのような保険に加入

している例は多いかと思います。

また様々な事故のケースはあれど最終的にはお金の問題に終始する場合も多く、また人材派遣業

は派遣元・派遣先・派遣スタッフというお互いが間接的なトライアングルの形態である事から

事故などが起こりやすい形態のようにも思えます。全てを保険でカバーできるとは言えませんが、

派遣会社や派遣先としては不測の事態に備えてこのような保険であらかじめリスク回避しておく

というのも大切なのかもしれませんね。ちなみにこれは保険の宣伝ではありません。(苦笑)

また派遣スタッフの方々も普段からの作業には十分に注意をしてお仕事に取り組むように

したい所ですね。今回は派遣先で備品等を壊した場合について挙げてみました。

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