派遣の交通費は確定申告時に非課税にできる?

今回は派遣の交通費について挙げてみたいと思います。

派遣社員はアルバイトやパートよりも時給が高く設定されている事が多いものですが、交通費が支給される案件は少ないものです。

自宅から派遣先職場が遠い場合には、毎月自費で交通費を負担しているスタッフさんも多い事でしょう。

そんな時、もし確定申告時に交通費を非課税扱いにできて還付請求ができたら、幾らかのお金が戻ってきて助かるというスタッフさんも多いのかもしれません。

それでは派遣社員の交通費は非課税扱いにする事はできるのでしょうか。

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派遣社員に交通費が別途支給されない理由は?

実際に派遣社員は他の雇用形態と比較しても、交通費が支給される案件自体が少ないものです。

労働局の調査によると交通費の支給率は、正社員が約97%パートさんでも約88%の人に交通費が支給されています。

一方で派遣社員で交通費が支給されている人は全体の20%前後と言われており、パート等と比較しても派遣社員の場合は明らかに交通費の支給率が低いことが分かります。

 

ではなぜ派遣社員の交通費の支給率は低いのでしょうか。

実際には、交通費を支給するかどうかというのは派遣会社のさじ加減次第です。

派遣先から支払われる派遣料金の中で、スタッフに交通費を別途支給するかしないかは派遣会社次第なので、派遣会社が交通費を支給しないと判断したのであれば当然支給されません。

 

また派遣会社が求人募集を出す際でも、例えば時給1500円で募集を出す場合と、1350円+交通費(上限あり)で募集を出す場合を比較すると、やはり1500円で募集を出す場合の方が、応募者の引きが良いという理由が挙げられます。

無理に交通費を支給するよりも、高めの時給を全面に打ち出した求人広告の方が効果が高い傾向があるという事ですね。

そのため派遣会社は交通費を別途支給とするよりは、少しでも時給を高く設定する事に注力する傾向があります。

もちろん遠隔地など、交通費を支給した方が募集状況が良いとされる案件については、別途交通費支給とする事もあります。

 

その他にも交通費を支給する事で派遣会社側の賃金管理が面倒になるという理由もあるでしょう。

特に登録型派遣の場合には頻繁に勤務地が変わるので、そのたびに通勤費を計算するとなると、派遣会社側に事務的なコストがかかりやすくなります。

煩わしい事務コストを圧縮する意味でも、交通費支給案件はできるだけ少なくしたいという意図もあるかと思われます。

 

派遣の交通費は確定申告で非課税にできる?

それでは派遣社員の交通費は非課税扱いにできるのでしょうか。

まず派遣社員に関わらず、バスや電車などの公共交通機関を利用して通勤している場合の通勤費(費用)は10万円まで非課税扱いとなっています。

これは派遣社員でも同じで、例えば通勤手当を別途支給されている派遣社員であれば、この非課税の扱いを受けることができます。

 

しかし前述したように、一般的な派遣社員の場合には通勤手当は別途支給されていない事がほとんどです。

与えられた時給の給料の中で通勤費もやりくりしてね、といった形態が多いかと思います。

また派遣社員もサラリーマン(給与所得者)ですので、給与所得控除(65万円)が既に適用されており、事業主やフリーランスのように必要経費を申告することも出来ません。

 

それでは派遣社員が通勤費を非課税にするとすれば、まずは派遣会社に「通勤交通費証明書」を作成してもらう事が考えられます。

この「通勤交通費証明書」は給与の中に交通費が含まれていないことを証明してもらう内容の書類です。

自分で派遣会社側になんとか交渉して作成をお願いしてみるのも良いと思います。

 

もし会社から書類をもらえたら、確定申告時に「給与の収入金額」の欄に、源泉徴収票の支払い総額から通勤交通費額を差し引いた金額を記入し、税務署で提出をする事になります。

通勤交通費証明書の他にも申告時に必要な書類があれば用意しておきましょう。

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派遣が確定申告で通勤交通費証明書を提出しても認められない?

通勤交通費証明書というのは前述のとおり、通勤のために必要な交通費について証明する書類です。

ですがこの証明書を発行してもらえるかどうかは派遣会社にもよりますし、発行を拒否されるような場合もあるかもしれません。

派遣会社側にはこの証明書を発行するような法的な義務までは無いからです。

 

またもし仮に通勤交通費証明書を派遣会社に発行してもらえたとしても、必ずしも交通費が非課税扱いになるとは限らない点に注意が必要です。

派遣社員の場合、基本的には給与明細に交通費として記載される金額については非課税となりますが、給与として記載されている場合には課税されてしまうのが通常です。

「通勤交通費証明書」が発行されたとしても、派遣会社が別途手当のような形で交通費を支給する義務が発生する訳ではありませんし、せっかく提出をしても税務署で修正を求められてしまうケースもあります。

こればかりは税務署の判断次第としか言いようがありませんが、通勤交通費証明書を提出しても必ずしも非課税扱いになる訳ではない事は留意しておきましょう。

 

確定申告をしても交通費が非課税にならない場合の対策は?

それでは通勤交通費証明書を提出しても交通費分が非課税にならないような場合はどうすれば良いでしょうか。

上記のように非課税にならないケースは十分に考えられます。

 

対策としては、これは当たり前の事になりますが、やはり最初から交通費が支給されるお仕事を選択する事です。

交通費が別に支給されるお仕事であれば交通費分は非課税扱いになりますので、今回のような心配をする必要もなくなります。

 

もしくは派遣会社側に交通費別途支給の形態に変更を求めてみる事も1つの方法です。

もちろん必ずしも承諾してもらえるとは限りませんが、派遣会社の中には今までの給料の範囲内で交通費分の金額を交通費として扱ってくれる会社もあります。

あくまで相談ベースで、支給形式の変更を派遣会社に相談してみるのも良いでしょう。

 

または交通費を別途支給してもらう事が難しいようであれば、派遣の場合には時給アップを交渉してみる方法もあります。

特に近日に更新時期が迫っている人や、長期間勤務をしてきた人には交渉の余地はあるかもしれません。

その場合でも、交通費の件以外にも具体的な交渉材料(以前よりも業務量が増えた・新人研修を行うようになった・業務に必要な資格を取得した、等)を考えて、それとなく相談をしてみるのも良いのではないでしょうか。

 

派遣社員の交通費と確定申告まとめ

派遣社員の交通費と確定申告について挙げてみました。

派遣の交通費については、やはり派遣登録時や派遣先での就業開始時に詳しく確認をしておく事が大切です。

事前に確認をしておく事で後々になってトラブルを招く事もある程度防ぐことも出来ます。

また交通費について非課税になるか心配なようであれば、やはり最初から交通費別途支給の求人を選ぶべきと言えます。

最近では交通費支給の案件も増えていますので、自分に合った求人を選ぶことが大切です。

派遣社員の交通費と確定申告の件は未だにトラブルになりやすい問題でもありますが、交通費の件も含めて契約内容等は事前にしっかりと確認をしておきたいですね。

今回は派遣の交通費は確定申告時に非課税にできる?について挙げてみました。

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