30日以内の日雇い派遣が禁止って?違反したらどうなる?

今回は派遣の日雇い派遣のお仕事について挙げてみたいと思います。

短期間の間だけお仕事をしたい時や本業がお休みの時にお小遣い稼ぎをしたい時など、日雇いや短期のお仕事を希望する人も多いかと思います。

また日雇いや短期だとその短い期間だけで契約が終了しますし人間関係の後腐れみたいなものもありません。

その辺りの気軽さから中高年だけではなく学生さん等にも、日雇いや短期のお仕事は人気があります。

しかし派遣法改正により、今まで日雇い・短期仕事をメインで生計を立てていた人たちも仕事をしにくくなったという声も聞きます。

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日雇い派遣の原則禁止

2012年10月に派遣法が改正され、幾つかの項目において改正がなされました。

2012年の法改正時に主に改正されたポイントを挙げてみると

  • マージン率の情報開示
  • 1年以内に退職した職場への派遣を禁止
  • 日雇い派遣の原則禁止

などの点が改正され、特に日雇い派遣の原則禁止については話題となっています。

 

この日雇い派遣の禁止の内容としては、労働契約の期間が30日以内の派遣仕事が原則禁止という事です。

ですから1日の単発仕事でもダメですし、29日・30日間の派遣仕事も禁止です。

逆に31日以上の派遣はOKという事ですね。

今まで長期のお仕事がイヤで短期のお仕事ばかりやっていたというスタッフさんも多かったので、この禁止令は衝撃を受けた人もいるでしょう。

また今まで本業が休みの日に単発仕事でお小遣い稼ぎをしたり、長期の休みが取れた時に数週間の短期の派遣仕事をしてお金を稼いでいる人もいたので、この派遣法改正には反対の声も多かったものです。

 

日雇い派遣禁止の条文は?

辞書の写真

上述したように2012年に派遣法が改正され、日雇い派遣が原則禁止となりました。

ここで少し難しいですが実際の派遣法の条文も見ておきましょう。

第35条の3(日雇労働者についての労働者派遣の禁止)

派遣元事業主は、その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、 技術又は経験を必要とする業務のうち、労働者派遣により日雇労働者 (日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者をいう。)を従事させても 当該日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる 業務として政令で定める業務について労働者派遣をする場合又は 雇用の機会の確保が特に困難であると認められる労働者の雇用の継続等を 図るために必要であると認められる場合その他の場合で政令で定める場合 を除き、その雇用する日雇労働者について労働者派遣を行ってはならない。

 

条文の通り、30日以内の日雇い派遣は原則禁止となっています。

ですが全面的に禁止となっている訳ではなく、例外規定が設けられています(青字部分)。

雇用管理に支障を及ぼすおそれがない業務(ソフトウェア開発・機械設計など)や、雇用機会の確保が特に困難である労働者の雇用継続等に必要な場合(学生の場合・60歳以上の場合など)には日雇い派遣の仕事ができる事になっています。

 

日雇い派遣禁止の理由

今まで短期や日雇い派遣をしてきたスタッフさんからすると「なぜ急にこのような禁止令が出たのだろう?」と感じる人もいるかもしれません。

スタッフさんにとっては単純に自分の職場が奪われたと感じる人がいる訳ですから、そのように思う人がいるのも自然な事なのでしょう。

 

なぜ禁止になったかと言えば、日雇派遣は短い期間で労働契約が終了するため、責任の所在が不明確となったり、違法な業務への派遣や労働災害の発生が問題視されるようになった為です。

また日雇い派遣の場合には特に、雇用側である派遣会社・派遣先のそれぞれがスタッフの労働環境等の管理責任を果たしていない場合が多かった事もあり、日雇派遣は原則禁止になったという背景もあります。

 

リーマンショック以降、「年越し派遣村」や「ワーキングプア」といったキーワードを聞いた人も多いかと思いますが、派遣社員が劣悪な労働環境で勤務している事が社会的な問題となり、派遣社員が「長期的」に安定して就業ができるようになる事を目的として、特に雇用が不安定とされている日雇い派遣が禁止とされました。

以前にも派遣切りなどが社会問題になったとき、日雇派遣で働いている方たちの雇用の不安定さが大きな問題となりましたが、この改正には少しでもそのような派遣社員の雇用を安定させようという意図があります。

また雇用保険の加入条件として「31日以上の雇用見込みがある事」の条件がありますので、30日以内の日雇い派遣を禁止とし、派遣社員が雇用保険に加入する事で、雇用の安定を図る意図も含まれているかと思われます。

 

しかし実際問題として考えると、日雇い派遣が禁止となる事で、逆に仕事を失う人が多くなるという懸念もあります。

また日雇い派遣が禁止になったからと言って、それが直接的に長期の就業や正規雇用に結び付くとは少々考えにくい所もあります。

例外条件の緩和や禁止令の解除など改正を求める声もありますが、今後このルールがどのようになっていくのかその動向にも注目していく必要があります。

 

日雇い派遣の例外事由

ただし上記のようにあくまでこの日雇い派遣の禁止令は「原則」であって、上記の条文で述べたように例外規定もある事に留意しなければなりません。

基本的に30日以内の派遣は禁止となったものの、「雇用の機会の確保が特に困難であると認められる労働者の雇用の継続等を図るために必要であると認められる場合」として下記の条件にあてはまる人は30日以内の派遣であっても、お仕事ができる事になっています。

  1. 60歳以上の方
  2. 雇用保険の適用を受けない学生(いわゆる昼間学生)
  3. 生業収入が年間500万円以上の方(副業として派遣労働を行う場合)
  4. 生計を一にする配偶者等の収入により生計を維持する方で、世帯収入の額が年間500万円以上

 

また下記のような専門業務に関しては、「雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認める業務」とされており、30日以内の日雇い派遣であってもOKとされています。

ソフトウェア開発/機械設計/事務用機器操作/通訳、翻訳、速記/秘書/ファイリング/調査/財務処理/取引文書作成/デモンストレーション/

添乗/受付・案内/研究開発/事業の実施体制の企画、立案/書籍等の制作・編集/広告デザイン/OAインストラクション/セールスエンジニアの営

業、金融商品の営業

 

上記からすると、まず60歳以上の方や学生さんは、ほぼ日雇い派遣であっても働く事が出来そうです。

また雇用管理に支障を及ぼすおそれがない専門職であっても日雇い・短期はOKとされています。

ちなみに、今回は禁止されたのは30日以内の日雇い派遣であって、アルバイトやパートの場合には禁止されていませんので念のため。

もし日雇い派遣のお仕事を希望する場合には、自分がこの例外要件に当てはまっているかどうか、確認をするようにしたいですね。

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日雇い派遣禁止に違反したらどうなる?

例外要件に当てはまる人等を除き、日雇い派遣が禁止となっている以上はやはり行ってはいけません。

もし日雇い派遣に違反したらどうなってしまうのでしょうか。

 

派遣会社は、もし日雇い派遣の労働者を受け入れる場合には(例外事由に当てはまる場合)、日雇い派遣を行っても良い人物であるかどうかを確認する必要があります。

具体的には源泉徴収票学生証・所得証明書等の証明書類をスタッフに提出してもらい、日雇い派遣禁止の例外要件に当てはまる人である事を確認します。

また派遣会社はどのような書類で確認を行ったかという記録を管理台帳に記載しておく事になっています。

多くの派遣会社ではきちんと証明書類の提示を求めているかと思いますが、中にはスタッフの申告だけで確認を済ませ証明書類の提示まで求めない派遣会社まであったりと、実際の現場での対応は様々です。

 

もし違反をしていた事が明らかになった場合には、派遣会社への指導・改善命令・事業停止・免許取消などの対処も考えられます。

またもし派遣スタッフが偽造や詐称を行っていた場合には派遣登録の解除や解雇も考えられるでしょう。

いずれにしても法で定められている以上は、そのルールに違反をするべきではありません。

自分が例外要件に当てはまらず、どうしても短期のお仕事を探すのであれば、他に短期アルバイトを探す等して対処していった方が良いでしょう。

 

日雇い派遣の例外の証明書類は?

日雇い派遣の例外事由に該当する方には、お仕事を始める前に「確認書類」を提出してもらう必要があります。

きちんとそのスタッフさんが例外事由に当てはまるかどうか確認をするため、以下のような書類の提出が必要です。

 

日雇い派遣の例外の証明書類の例

60歳以上の方:運転免許証・健康保険証・パスポート等

雇用保険の適用を受けない学生:学生証・在学証明書など

副業者・世帯収入:源泉徴収票 ・所得証明書・確定申告の控えなど

(提出書類は登録する派遣会社にご確認ください)

これらの書類は本人確認の意味合いを含め、世帯として安定した収入があるかどうか・日雇い派遣を失職したとしても問題ないかどうか等、確認のために提出する必要があります。

そのため日雇い派遣を希望する方は、自分がどのような書類を提出すれば良いかあらかじめ派遣会社に確認をしておきましょう。

もし合理的な理由があってこれらの書類が用意できない場合には、代わりに誓約書を提出させる会社もあります。

二度手間にならないよう、事前に確認書類をきちんと用意しておきたいですね。

 

例外事由は毎回の確認が必要?

先ほども書いたように派遣会社はそのスタッフが例外要件に当てはまっているかどうかの確認のために、就業時には証明書類の提出を求めます。

ですが日雇い派遣の場合には30日以内に終了してしまいます。

その場合、例えば次回に別の日雇い派遣の仕事を新たにする場合でも、再度証明書類の提出が必要になるのでしょうか。

厚生労働省では以下のような記載があります。

日雇派遣の原則禁止の例外要件を満たすかどうかは、労働契約ごとに確認することが基本である。

ただし、例えば、過去に「60歳以上」に該当することを確認している場合であれば、再度の確認は必ずしも要しない取扱いでも差し支えない。
(以下省略)

※厚生労働所HP 改正に関数するQ&Aより一部抜粋

つまり基本的には契約毎に毎回証明書類を確認する必要がありますが、その派遣労働者の状況によっては必ずしも再度の確認が必要とは言えない、という事が言えます。

提出をする必要があるかどうか分からない時には派遣会社の担当者に確認をしてみるようにしましょう。

 

例外事由に当てはまるかどうか確認をする

上記のように日雇い派遣をするには条件がある事から「自分は日雇い派遣はできない」とあきらめてしまう人も多いのかもしれません。

しかし冷静に条件を考えてみると意外にも自分がその条件に該当しているケースがあります。

 

例えば上記の条件の中の4に「生計を一にする~」がありますが、生計を一にするとは言っても一緒に同じ家に住んでいる必要はない訳です。

家族と同居していなくても生計を一にしていればその家族の年収も含めて良いという考え方になります。

例えばその派遣スタッフが一人暮らしをしていたとしても、同居していない両親から仕送りをしてもらっているとすれば、それは生計を一にしていると考えられ、その両親の年収も含めて考えて良い事になります。

また兄弟や祖父母がその両親と生計を一にしていればその家族の年収も含めて判断する事になるでしょう。

 

細かく探ってみると意外にも自分が日雇い禁止の例外に含まれていたというケースもあるので、自分の状況をよく考えて判断してみる事が大切ですね。

以下は厚生労働省のQ&Aになりますので興味がある方は確認してみるのも良いでしょう。

参考:厚生労働省 改正に関するQ&A

 

日雇い派遣の禁止まとめ

日雇い派遣の禁止について挙げてみました。

日雇い派遣は2012年の派遣法改正により原則禁止となりました。

ですが例外事由に当てはまる人であれば問題なく日雇い派遣のお仕事をする事ができます。

もし興味を持ったお仕事があれば、自分が例外事由に該当するかどうか、事前に確認しておく事が大切ですね。

 

短期や単発のお仕事に興味がある方はこちらの記事も参考にしてみてください。

参考記事:短期・単発でおすすめの派遣会社

 

また今後もどのような法改正がなされるか分からないので、今後の動向にも注目しておきましょう。

今回は日雇い派遣の原則禁止と例外事由について挙げてみました。

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