派遣社員の時給が高いのはなぜ?職種別の時給も紹介
今回は派遣社員の時給について挙げてみたいと思います。
以前にアルバイトやパートのお仕事経験がある人は、派遣社員の時給が高いと感じたことがある人も多いかと思います。
確かに例えば飲食店やサービス業のアルバイトやパートではせいぜい900~1000円前後の時給設定が多いですが、派遣社員の場合には1200~1500円の時給設定のお仕事も多くあります。
同じような仕事をしていたとしてもアルバイト・パートさんと派遣社員の間には時給の差があるケースも多くあります。
派遣社員の時給が高いのにはどのような理由があるのでしょうか。
スポンサーリンク
目次
派遣社員とアルバイト・パートの時給の差
派遣社員の時給が高いという事はよく言われますが、それは事実なのでしょうか。
ここでは実際の派遣社員の時給とアルバイト・パートの時給の差を見てみます。
アルバイト・パート
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、パートタイム労働者の平均は時給1032円という調査結果が出ています。
パートタイム平均時給:1032円
最低賃金が上昇している事も関係していますが、特に女性の25~29歳以降で1000円以上の時給となっており、30~34歳では1090円となっています。
都道府県別に見ると平均時給が高いのはやはり「東京」の1221円となっており、地方においては平均時給が800円代のエリアがある事を考えると、他エリアよりも東京の平均時給が高いことが分かります。
エリアや職種・企業の規模等により時給の差はありますが、いずれにしてもパート等の平均時給は1000円前後で推移している事が分かります。
派遣社員
求人サイトの大手会社である「エン・ジャパン」の調査によると、2018年3月度の調査では派遣社員の平均時給は1536円だそうです。
派遣社員平均時給:1536円
特に全体の6割を占めるオフィスワークの時給が引き上げられている事や、派遣社員の確保が難航している会社も多い事が、平均時給の上昇に繋がっていると見られているようです。
エリア別では関東エリアが1584円・東海エリアが1323円・関西エリアが1334円となっています。
職種やエリアによってバラつきはありますが、平均時給で見てもアルバイトやパートと比較すると派遣社員の方が時給は高いという事は言えるかと思います。
それでは派遣社員の時給が高い理由にはどのような事が挙げられるのでしょうか。
派遣社員の時給が高い理由
さてまずこのように派遣社員が時給高いのには幾つかの理由があります。
ここではその考えれる理由を幾つか挙げてみます。
まず雇用形態の差を考えてみると、派遣スタッフは派遣会社に雇用されて派遣先に派遣されますが、アルバイトやパートさんは「直接雇用」です。
派遣と違い、アルバイト・パートさんは勤務先となる会社に直接雇われている事になります。
会社からすれば直接雇うとなると研修をしなくてはなりませんし、シフトの管理や給与計算等の面倒な事務処理も生じます。
1人を雇うことで従業員に対しての事務処理等のコストは意外と高く付くことになります。
一方で派遣社員を雇えばそのようなコストはほとんどかかりません。
給与計算も派遣会社が行ってくれるしシフトの管理も派遣会社側が行ってくれる事も多いでしょう。
会社はそのような余分な事務コストを支払わなくて良い分、派遣社員の時給を高めに設定できるという事が考えられます。
加入条件を満たせば、会社は従業員を社会保険に加入させなければなりません。
これは会社側の義務でもあります。
また保険料は会社側と従業員で折半となるため、会社が直接雇用で従業員が増えるほど、会社側の社会保険負担費用も増えることになります。
その点においても派遣社員の場合には、企業が派遣会社側に支払う派遣料金の中に社会保険料分も含まれています。
派遣社員の場合には企業側に無駄なコストがかかりにくい為、直接雇用と比較すると時給が高くなる傾向があるという事は言えます。
求人や契約内容にもよりますが、基本的には派遣社員にはボーナスは出ませんし、交通費も支給されません。
また正社員であれば勤続年数に応じて退職金が支給される事もありますが、派遣社員の場合には退職金も支給されません。
特にボーナスや退職金の積み立て原資というのは企業にとっても大きな負担です。
派遣社員の場合にはこれらのコストもかからないので、多少時給を高くしても割に合うのです。
現在では終身雇用・年功序列の色は薄れつつありますが、それでもまだまだ大手を中心にその傾向は根強く残っています。
会社での功績や勤続年数等に応じて会社側は従業員の昇格・昇進も考えなくてはなりません。
その点においても企業からしてみれば派遣社員は自社の従業員ではなく、将来的な昇進や昇格を考える必要がありません。
一方で派遣会社側で派遣スタッフの昇進や昇格を実施しているかと言えばそのようなケースは少なく、中には10年近く派遣をやっていてもほとんど時給が上がっていないというスタッフさんさえいます。
企業側からしてみれば派遣社員の場合には昇進や昇格を視野に入れる必要がないため、その分も派遣の時給の高さに関係していると思われます。
また広告宣伝費も関係しているでしょう。
例えば企業が求人を出すとしても広告費は意外に高くつきますし、広告を出稿したとしてもあまりに無名の中小・零細企業が求人広告を出しても人員は集まらないケースもあるかもしれません。
逆にある程度知名度がある派遣会社であれば人員は集まり易いでしょうし、広告宣伝費も派遣料金の中に込みなので企業側は宣伝費を支払う必要がありません。
その点においても多少高い時給を支払ってでも派遣社員を雇った方がトータルで雇用面のコスパが良いという利点もあります。
また直接雇用だと会社側は簡単には従業員を解雇できません。
もちろん派遣社員だから簡単に首切りできるという意味ではありませんが、派遣社員が3か月等の契約期間で更新を続けながら働く以上は、人員が必要なくなれば期間満了で終了してしまう事も考えられる訳です。
会社は解雇をするには厳格な解雇要件があり、客観的に見て合理的な理由な必要です。
また解雇を繰り返せば社会的信用の失墜や、不当な解雇には行政指導等の処罰も考えられます。
万一の時には人員調整がしやすい派遣社員は、企業からしてみれば多少高い時給を支払ってでも、雇用するメリットがあると言えるでしょう。
派遣社員の場合は一般的には「即戦力」の人材として認識されている事が多いものです。
もちろん未経験OKの求人も多いですし、中には即戦力とは言えないようなスタッフさんもいるケースはありますが、基本的には派遣会社がその派遣先の要求レベルを満たしたスタッフを派遣しています。
勤務先で一から研修をする必要があるアルバイトやパートさんを雇う事を考えると、派遣社員は研修コストや教育コストが削減できる場合もあるため、その分を派遣社員の時給に転嫁できる事も考えられます。
派遣で時給が高い職種は?
派遣社員の場合でも、やはり職種によって時給の差は生じます。
一般的には高いスキルが求められる職種は時給が高い傾向にあります。
それでは派遣社員では具体的にどのような職種が時給が高いのでしょうか。
ここでもエン・ジャパンの「三大都市圏 募集時平均時給調査」を参考にさせてもらいました。
職種別平均時給
オフィスワーク:1563円
営業・販売・サービス系:1461円
クリエイティブ系:1798円
IT系:2163円
技術系:1770円
医療・介護系:1246円
その他:1150円
※エン・ジャパン「三大都市圏 募集時平均時給調査」より一部引用
全体的に見るとオフィスワーク(⼀般事務、営業事務、経理・財務など)の平均時給が、全体の中でも平均的な水準の1563円となっています。
そしてクリエイティブ系(WEBデザイナー、編集・制作・校正、デザイナーなど)や、IT系(SE、プログラマ、ネットワークエンジニアなど)、技術系(CADオペレーター、CAD・設計など)の平均時給が1700~2100円程度と高いことが分かります。
逆に医療・介護系やその他(製造業務、軽作業、ドライバーなど)は平均時給が低めの水準となっている事が分かります。
スポンサーリンク
派遣で時給が高くなる資格は?
派遣で時給が高くなる場合がある資格にはどのようなものがあるでしょうか。
あくまで会社にもよりますが、一般的には以下のような資格が挙げられます。
- 日商簿記検定
- TOEIC
- 宅地建物取引士
- 社会保険労務士
- 証券外務員
- MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
- 基本情報技術者
- FP(ファイナンシャルプランナー)
- フォークリフト
上記以外にも派遣で時給が高くなる資格は多くありますが、自分がやりたい仕事に合った資格を取得することが大切です。
現在では数多くの資格がありますが、その中で収入に直結するような資格はごく僅かです。
中には資格を取得するだけで満足してしまう方もいますが、実際に仕事で役に立たなければ何の意味もありません。
また資格を取得する勉強期間としては数カ月~数年かかるのが普通ですので、もし無意味な資格を取得したとすると時間の無駄遣いにもなってしまいます。
やりたい仕事をはっきりとさせ、自分にとって本当に有効な資格を取得するようにしたいですね。
派遣で時給が高いのはきつい仕事?
よく派遣の求人の中には時給が高い仕事が掲載されている事も多いかと思います。
時給が高い求人を見ると「きつい仕事なのでは?」「すぐに辞める人が多いから時給が高いのでは?」と感じる方もいるのかもしれません。
確かにきつい仕事のために必要人員が集まらず、時給が高めに設定されている場合も多くあります。
ですが時給が高いからと言って必ずしもきつい仕事とは限りません。
派遣の時給が高くなりやすい例として、以下のような仕事・職種が挙げられます。
- 専門職・技術職
- 管理職(人をまとめる仕事)
- 資格が必要な職種
- 精神的にきつい仕事
- 人が集まらない時間帯
- 勤務エリア(都心は時給が高め)
- 大手会社関連の仕事
- レア求人(めったに募集がない求人)
また例えば離職率が高い職種なども時給が高くなる傾向があります。
例えば派遣の代表的な職種でもあるコールセンターは、会社の顔でもありコミュ力も必要とされ意外と離職率が高いため、昔ほどではないにしても時給が高めな求人が多いです。
逆に時給が低いからと言ってラクな仕事とも言えません。
時給が低めに設定されていたとしても、就業してみたら意外にきつかったという職種も多くありますので、できれば実際に働いてみて自分に合ったお仕事を選んでいくのが良いですね。
アルバイトと派遣はどっちがいい?
それではアルバイトと派遣ではどちらが良いのでしょうか。
どちらにも善し悪しがあるので一概にどちらが良いと断定はできませんが、それぞれのメリットを挙げてみたいと思います。
アルバイトのメリット
- シフトの自由度が高い
- 直接雇用である(クビになりにくい)
- 採用ハードルが低い
- 正社員登用がある場合も
- 交通費が支給される事が多い
- 社会保険に加入できる(加入条件あり)
- 自宅から近くの職場も選べる
- ダブルワークができる
- 友人ができやすい
派遣のメリット
- シフトの自由が高い
- 時給がアルバイトより高い
- 複数社登録&エントリーできる
- 様々な企業で働ける
- 自分で仕事を探す手間が少ない
- 責任の軽い仕事が多い
- ダブルワークができる
- 社会保険に加入できる(加入条件あり)
- 大手・有名企業に入社できる事も
- トラブル時は派遣会社がサポート
- 紹介予定派遣がある
アルバイトと派遣、それぞれにメリットがありますので、どちらが良いかは人の考え方によっても異なります。
ですがトータルで見ると、待遇面等が良いことから個人的には派遣社員としての働き方をお勧めします。
自分の生活スタイルやお仕事の希望条件に合った雇用形態を選ぶようにしたいですね。
別の派遣会社の方が時給が高いって?
派遣先企業が複数の派遣会社からスタッフを受け入れている場合、自分が登録している派遣会社よりも別の派遣会社のほうが時給が高いケースがあります。
これらは求人誌などに各社の求人内容が掲載されている場合や、別の派遣会社のスタッフと仲良くなって待遇について会話をしている時などに発覚します。
入社時には担当者から「他社のスタッフさんには時給額を言わないように」と釘を刺される事もよくある事です。
別の派遣会社と時給の差が生じる理由としては、やはり「派遣会社の営業力」や「派遣会社の利益割合」が関係してきます。
派遣会社毎に営業力に差があるので当然にスタッフの時給も変わってきますし、会社側が利益として取る割合も派遣会社によって変わってきます。
派遣スタッフの方々からすれば別の派遣会社の方が時給が高いと分かった場合、ガックリしてしまうかもしれませんが、逆に言えばそれが時給交渉の材料になる場合もあります。
もしその派遣先での勤務歴がある程度長く、次回の更新時期が近いようであれば、やんわりと時給交渉してみるのも良いかもしれませんね。
時給が高い派遣会社は?
派遣社員の時給が高い理由について幾つか挙げてみました。
やはり時給だけを見ると派遣社員の方が高いように見えますが、企業側からすればトータルコストが安く付くので派遣社員を導入しているという事情があります。
また派遣社員の立場から考えてみれば時給が高い分、即戦力としても高いスキルが求められる場合もありますし、会社の状況次第では期間満了で急に仕事がなくなるような事態も想定しておかなければなりません。
また派遣社員として働く上では「大手」の派遣会社での登録をお勧めします。
やはり大手派遣の方が時給が高めの求人や大手企業案件の取り扱いが豊富なケースが多いからです。
特に個人的にはテンプスタッフやマンパワー等は時給が高めの案件が多い印象があります。
こちらの記事でもおすすめの派遣会社についてご紹介していますので参考にしてみてください。
参考記事:当サイトでおすすめの派遣会社
時給の高さだけに捉われず、自分のやりたい仕事に合った派遣会社を選ぶようにしたいですね。
今回は派遣社員の時給が高い理由について挙げてみました。
スポンサーリンク