派遣社員が個人情報を流出したらどうなる?

派遣社員が個人情報を流出したらどうなる?

 

今回は派遣社員が個人情報を流出した場合について挙げてみたいと思います。

派遣スタッフにとっても個人情報の管理は真剣に考えておかなければなりません。

スタッフは派遣会社に雇用されているとしても実際に働くのは派遣先です。派遣先では顧客の個人情報や

営業機密情報など様々な情報を取り扱う事になります。そのため派遣先の社員たちと同じく情報の取り扱い

には細心の注意を持って取り組む事になります。

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企業機密情報保持の誓約書の提出

派遣登録をしたり実際に派遣でお仕事をした事がある人は、機密情報保持の誓約書を書かされた

経験がある人も多いのではないでしょうか。特に昨今では派遣先も情報の取り扱いには過敏になって

おり、このような書類の提出を求める所が多いかと思います。

本来であれば情報を取り扱う派遣先が直接スタッフに誓約書を取り付けたいのが本音かとは思いますし、

それ自体は違法な事ではありません。しかし雇用主はあくまで派遣会社である事から、派遣会社が

派遣スタッフに誓約書の趣旨や流れを説明し同意をしてもらった上で誓約書を提出してもらう方法が

一般的になっているかと思います。もちろんスタッフがこれに同意しなかったからといって

派遣先がスタッフに対して不利益な取り扱いをする事は許される事ではありません。

情報流出は誰の責任?

さて例えば派遣スタッフが派遣先の顧客情報を流出させた場合、誰が責任を取る事になるのでしょうか。

結果的には派遣先・派遣会社・派遣スタッフの三者全てが責任を取る事になるでしょう。

まず派遣スタッフ本人としては守るべき派遣先の個人情報を漏えいしている訳ですから、当然この

不法行為に対する損害賠償責任が発生する事になるでしょう。また派遣契約を締結した際に守秘義務違反

に対しての損害賠償規定があれば賠償額等もそれに準じて決定される事になるかとも思います。

スタッフの処分についても派遣先ではなく派遣会社の就業規則に則り、処分がくだされるようになります。

また派遣会社も派遣先にスタッフを派遣する事で派遣料金を得ており、何よりスタッフの雇用主でも

ありますので当然に民法上の使用者責任が生じる事になるでしょう。

また派遣先としても派遣スタッフや派遣会社だけに責任を求める事は難しく、また実際の現場での

指揮命令権は派遣先にある為、派遣会社と同じく派遣先にも使用者責任が求められるケースが一般的かと

思います。

賠償額はどれくらいになる?

さて個人情報漏えいによる損害賠償の額はどのくらいの金額になるのでしょうか。

あくまで案件にもよりますが、平均的には1人あたり5000~30000円程度が一般的かと思います。

案外低い?と感じる方もいるかもしれませんが、これが数万人規模の賠償対象者がいれば莫大な賠償額に

なります。派遣スタッフは個人だからと甘く見ていると大きな賠償額を背負う可能性もあるので

普段の業務には十分に注意して取り組みたい所です。

また一言に個人情報と言ってもその性質によって賠償額は異なるケースも多く、例えば名前や住所などの

一般的な情報は比較的低めの賠償額に落ち着く事が多いのに対し、他人のプライバシーに関わるような

センシティブな情報については高額な賠償額になる可能性があります。例えば性生活に関わる情報や信仰・思想

・犯罪歴などがセンシティブ情報として挙げられるでしょう。他人のコンプレックスに触れる情報を

扱う企業は特に注意する必要があるとも言えます。

今後は情報漏えいが増える?

近年では派遣社員を活用する企業が増えてきました。多くはコストカットの目的から派遣を使う

ケースが多いように思います。最近の話で言えば役所もマイナンバー対応や臨時給付金のために多くの

派遣社員を活用していますし、役所の末端社員はほとんどが派遣スタッフで構成されていると聞きます。

他でもコンビニや飲食店でさえ派遣スタッフの活躍の場が広がっています。また若年層の働き方の多様化や

派遣法改正により企業が繰り返し派遣を使い易くなった事もあり、今後派遣社員の数自体も増々増えてくる

でしょう。

派遣社員を活用する事自体は問題はありませんが、中には研修体制が不十分なままで業務に就いたり

情報管理の大切さを理解しないままに派遣されるスタッフがいる等、不測の事態から情報漏えいに

繋がるケースもあるかと思います。また派遣スタッフの情報に対する意識だけではなく、派遣会社や

派遣先においても情報管理に関する研修を都度行う等、その対応が求められてくるかと思います。

今回は派遣社員の個人情報漏えいについて挙げてみました。

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