派遣をクビになった?解雇予告手当と休業補償どっちがお得?
派遣をクビになった?解雇予告手当と休業補償どっちがお得?
今回は派遣をクビになった時の補償について挙げてみたいと思います。
派遣社員として勤務している中で解雇というのは他人事ではありません。何のトラブルもなく
派遣先でお仕事をしていても解雇になるケースというのはあります。余計な不安を煽る訳では
ありませんが、実際に派遣社員で勤務していた人でもクビになった経験を持つ人も中にはいるのでは
ないでしょうか。しかしクビになったからと言ってその後も生活をしていかなければならないのは
皆同じです。今回はそんな派遣社員がクビになった時の補償額について触れてみます。
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混同しやすい派遣の「解雇」
そもそも解雇(クビ)と言われた時、皆さんはどのようなイメージを持っているでしょうか。
派遣として仕事が出来なくなる、等の漠然とした事を考える人も多いと思います。
一度整理して考えてみたいのが、その解雇という意味が、
①その派遣先で今後仕事が出来なくなるという意味での解雇なのか、
②派遣会社(雇用主)から雇用契約の解除を告げられたのか
この2つの意味のどちらの意味で告げられたのかという事です。どちらの意味で解雇と告げられたのか
によって後々の対応も異なってきます。
それぞれのケースの対応と手当
①の解雇の場合
例えば上記の①の意味で何かしらの理由で派遣先を解雇と言われたとしても、派遣会社との雇用関係は
継続します。その派遣先では働けなくなったとしても派遣会社から「別の仕事をすぐに探します」等と
言われた場合にはこの①のケースと考えて良いでしょう。
例えば派遣会社と派遣先との労働者派遣契約が中途解除されたり、派遣先の上司に「明日から来なくて良い」と
言われた場合でも派遣会社と派遣スタッフとの雇用契約はそのまま継続しています。
また同時に派遣会社は派遣先と連携して派遣先の関連会社での就業のあっせんを受ける事や、派遣会社において
他の派遣先を確保するなど、派遣スタッフの新たな就業機会の確保を図らなければならない事になっています。
またその派遣先では働けなくなったとしても派遣会社と派遣スタッフの雇用関係は継続している訳ですから
派遣会社は派遣スタッフに賃金を支払う必要があります(民法第536条第2項)。
解雇を告げられた時に残りの契約期間が残っていて、同等条件の仕事を紹介される事もない場合は
それはその期間スタッフを休業させるという事になり、休業手当として平均賃金の6割以上の手当を
支払わなければなりません(労働基準法第26条)。
②の解雇の場合
②の場合は派遣会社が派遣スタッフを解雇する場合で、派遣会社とスタッフの雇用契約が解除される事に
なります。しかし安易な理由で解雇ができる訳ではなく、やむを得ない事情がない限り、派遣会社が
契約期間の途中で派遣スタッフを解雇することはできません。本当にやむを得ない事情でその派遣スタッフを
解雇しようとする場合は、少なくとも解雇日の30日前に解雇の予告を行うか、平均賃金の30日分以上の
解雇予告手当を支払わなければならない事になっています(労働基準法第20条)。
試用期間中の解雇や2か月以内の契約の解雇は解雇予告手当の対象にならないケースはあるものの、
基本的に解雇にはやはりスタッフへの解雇予告手当の支給が必要になります。
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解雇予告手当と休業補償どちらがお得?
さてでは派遣スタッフにとって解雇予告手当と休業補償はどちらがお得なのでしょうか。
派遣会社の中には派遣先の都合で就業できなくなった時に、「解雇予告手当を1か月分支給するので
今回はあきらめて欲しい」と言う派遣会社もあるかもしれません。
文字通りの意味だけを汲み取れば、解雇予告手当が30日分で休業補償が6割以上という数字だけを
見れば解雇予告手当をもらった方がお得と考える人もいるのかもしれません。
休業手当の額を計算する際には次のような計算式で計算されます。
休業手当の金額 = 平均賃金 × 休業日数 × 0.6
ちなみに平均賃金とは過去3か月の賃金を元に計算されます。
例えば3月末で①の解雇になったとし、1月の給与が20万・2月の給与が18万・3月の給与が19万
だったとすると、20万+18万+19万=57万。週5勤務で1~3月の勤務トータル日数が62日
だったとすると57万円÷62日=9193円。9193円×0.6=5515円が1日あたりの
休業手当という事がわかります。5月末までの契約で残り2か月間契約が残っていたとすると
5515円×60日=330900円となります。解雇予告手当が例えば20万円程度だったとすると
このケースでは休業補償の方が高い事になります。逆に残りの契約期間が1か月であったならば
解雇予告手当の方が高い金額という事になり、過去の平均賃金額や残りの契約期間によって
どちらが高くなるかという事を計算する必要があります。
また上記では休業補償の平均賃金を6割として計算しましたが、労基法26条ではあくまで
「6割以上」としている訳であって下限を6割と定めているだけに過ぎません。また解雇理由が
合理的理由のない解雇であれば民法415条・536条によって6割ではなく100%全額を請求できる
とも考えられ、全額請求の場合には上記で言えば休業補償額は50万円以上の休業補償額となり
解雇予告手当の額と比較してもかなり高い補償額になってきます。
解雇を告げられた場合にはどのような理由で解雇とされたのか・またその理由が合理的なものか
どうか・支給される手当の妥当性等を考慮して慎重に判断をしていきたいものですね。
派遣会社の選び方
派遣社員として長く就業をし続けていると、状況によっては更新がなされなかったり条件が下がったりといった話が出てくる事もあるかと思います。
特に3か月程の契約期間の更新を繰り返す派遣社員にとって、長期的に働くには派遣先だけでなく派遣会社選びも大切になってきます。
様々なケースがあるので一概には言えませんが、やはり中小零細の会社と比較すると、大手の派遣会社の方が安定している事が多いものです。
そのため最悪の事態を出来るだけ避けるには「大手」の派遣会社に登録をする事をお勧めします。
フォロー体制は元より、サポートや担当者の対応・福利厚生や契約条件など、大手会社の方が様々な点で優遇されている事が多いからです。
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