派遣で損害賠償請求をされた?

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今回は派遣先からの賠償請求について書いてみようと思います。

一言に派遣社員とは言っても人によって様々な職種の仕事に就いているかと思いますが長く働く間には色々な事が起こり得ます。

例えば「仕事上で取り返しのつかないミスをしてしまい派遣先に損害が生じた」「入社時に自分が出来ると思っていた仕事よりもスキルの高い仕事を任されて派遣先が期待するパフォーマンスが出せなかった」「自分の欠勤や遅刻が原因で派遣先の仕事の進捗に支障が出てしまいトラブルになった場合」など、派遣社員とは言え事前の契約の範囲内での仕事が出来なければ契約違反を問われる可能性も出てくるかもしれません。

ですがその場合、派遣先や派遣会社から損害賠償請求されるような事はあるのでしょうか。

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損害賠償請求される事はある?

派遣スタッフのスキルや勤務態度に問題があって損害が生じていたり派遣契約に定められた内容を遂行できない場合には、派遣先は労働者派遣契約を解除する事が出来ます。

しかしこれに対し派遣会社がスタッフを解雇できるかどうかはまた別の問題であり、派遣会社がスタッフを解雇するには「合理的な理由」が必要になります。

勤務不良など、派遣先に損害を与えた原因が全て派遣スタッフにあるのであればスタッフが相応の責任を取らされる可能性はありますが、派遣会社側のスタッフのマッチングにも問題があったのであれば派遣会社はスタッフを解雇する事は出来ない筈です。

 

損害賠償についても同様にスタッフが登録時に経歴やスキルの虚偽申告をしたり幾度もの勤務不良があったりすれば派遣先や派遣会社から賠償請求されるケースも考えられますが、そうでなければ派遣会社は簡単には賠償請求する事もできませんし、スタッフを解雇する事もできません。

もし派遣会社が派遣先から派遣契約を解除されたとしても、その派遣料金や賠償金をスタッフに負担させる等の措置は、相応の理由がなければ簡単にする事は出来ないでしょう。

またその損害理由が明らかに派遣スタッフにある場合には改めて賠償請求される可能性もありますが、損害賠償請求をされたとしても現実的にはスタッフ個人の資力では限界がある場合も多く、その賠償額も限定的になる事が一般的かと思われます。

 

また派遣会社には一般の会社と同様に「使用者責任」があります。

派遣会社にとって派遣スタッフは従業員と同じ位置付けですのでその自社の従業員が他社に損害を与えてしまった場合には、使用者として責任を負わなければならないケースも考えられます。

損害賠償される理由が派遣スタッフが故意にやったものなのか、事故的に起こってしまったものなのか等の理由によっても派遣会社とスタッフの責任割合が変わってきます。

 

脅し文句で終わる事も多い

ただし過去には派遣会社の担当者からスタッフに向けて損害賠償請求を口にしたケースもあり、実際にそのような話を聞いた事があります。

多くはスタッフが契約期間中に突然退職してしまったり、無断欠勤を繰り返していたりといったスタッフに対して担当者が激怒し、損害賠償を口にしてしまうといったケースが多いようです。

しかしあくまで個人的な経験の中での話ではありますが、その後実際に損害賠償請求をされた事例はほぼありません。

大抵はスタッフに態度を改めて欲しいという心情から、つい感情的になり損害賠償といった事を脅し文句のような形で口にする担当者も時々いましたが、実際に賠償請求をしたり裁判を起こすといったケースはです。

ですがとは言えスタッフさんとしても普段から損害を与えないよう、細心の注意を払いながら業務に取り組む必要があります。

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損害賠償請求をしない3つの理由

なぜ派遣会社が損害賠償請求をしないのかと言えば、まず具体的な損害を確定する事が難しいからです。

損害賠償を請求するには、具体的で且つ客観的に見て妥当な損害が発生していなければなりません。

派遣スタッフとして就業するにあたり、派遣先に対してどの程度の損害が発生していたかという事は確定する事はなかなか難しいものです。

 

また本格的に訴訟等を考えたとすると、当然に訴訟コストが発生する事になります。

裁判ともなれば時間も費用も手間もかかり、いちいち1人のスタッフの多少の損害に対して毎回のように訴訟を起こしている派遣会社は見たことがありません。

このような事はあまり言いたくありませんが、実際には派遣スタッフの無断欠勤や無断退職は頻繁に起こる事であり、派遣の中では珍しい事ではありません。

連日のように起こるスタッフの行動に対しいちいち損害賠償請求を起こしてくるような派遣会社はあまりありません。

 

また派遣というのはご存知の通り、派遣先・派遣会社・スタッフという三者のトライアングルで形成されます。

雇用主は派遣会社でありながら、派遣期間中は派遣先の指揮監督下にあるという特殊な形態であり、その管理等も容易ではありません。

また普段のスタッフの管理の仕方などによって、損害が発生したとしてもどこに責任の所在があったのか、判断が難しいという事も考えられます。

例えばスタッフの過失によって派遣先に損害が発生したとしても、派遣先の管理・監督が緩かったために損害が発生するというケースもあり得る事です。

あくまで損害の種類にもよりますが、これらの理由により派遣スタッフが損害賠償請求されるケースは少ないと考えられます。

 

派遣スタッフにも自覚が必要

とは言ってもそのようなトラブルがあった場合、スタッフを解雇まではしないまでも、以後その派遣スタッフには仕事を割り振らないようにする等の措置を取ってくる派遣会社は多くあるでしょう。

そのような不利益な取扱いは許されるものではありませんが、現実問題として考えた場合には十分に起こり得る事です。

そのため派遣スタッフ自身も仕事を任された際には、その仕事が本当に契約範囲内の仕事かどうか・自分のスキルに見合った仕事かどうかという事を十分に確認をしてから就業する事も大切です。

 

また前述したように派遣会社から派遣スタッフに対して損害賠償されるケースがあるとすれば、面接時に職歴等の虚偽申告があるとか、毎日のように無断欠勤を繰り返している場合など、明らかに派遣スタッフに問題がある場合に絞られてくるかと思われます。

また裁判ともなれば派遣会社だけの問題ではなく、その矛先は派遣先にも向けられる事になります。

指揮命令権は派遣先にある訳ですから普段から職場で派遣先が業務管理上のミス防止取り組みをどのように行っていたかという監督責任も裁判上では争点になってくるかと思います。

 

現実的に考えればスタッフ自身が賠償請求されるケースは少ないですが、とは言えそれは派遣スタッフ自身が普段から契約に基づききちんと仕事をこなしている事が大前提です。

普段はあまり意識しないかもしれませんが、派遣先ではスタッフの仕事ぶりを周囲が意外によく見ているものです。

自分に割り振られている仕事を毎日きちんとこなすようにしていきたい所ですね。

今回は派遣スタッフへの損害賠償請求について挙げてみました。

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